インドネシアは、ASEAN最大の人口を抱え、IT・エンジニア人材の層も厚いことから、日本企業の進出先・採用先として注目されています。
現地法人を作らずにインドネシアの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。この記事では、インドネシアで人を雇うときの社会保険・コスト・雇用のポイントを、EOR活用の観点で整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:BPJSへの加入が義務、EORで法人なしに雇える
インドネシアでは公的社会保障BPJS(健康保険と労働保険)への加入が義務づけられ、雇用主が一定割合を負担します。
6か月以上働く外国人も加入対象です。現地法人を作らずに雇うなら、これらの手続きを代行できるEORが現実的な選択肢です。
インドネシアの社会保険と雇用ルール
まずは、インドネシアで人を雇うときに前提となる公的社会保障BPJSの仕組みと、外国人を雇う場合に必要な許可・上限のルールを順に見ていきます。以下の観点で整理します。
BPJSの2系統と雇用主負担
インドネシアの社会保障は、次の2系統で構成されています。
- 医療保険:BPJS Kesehatan
- 労災・死亡・老齢・年金などの労働保険:BPJS Ketenagakerjaan
これらは給与に上乗せされる法定費用で、雇用主が一定割合を負担します。
医療保険(BPJS Kesehatan)の料率
医療保険(BPJS Kesehatan)は会社4%・従業員1%を負担します。
労働保険(BPJS Ketenagakerjaan)の料率
労働保険の負担割合は以下のとおりです。
- 労災保険:業種により0.24〜1.74%(会社全額)
- 死亡保険:0.3%(会社全額)
- 年金・老齢保険:5.7%を会社3.7%・従業員2%で負担
BPJS(医療・労災・死亡・老齢/年金)の雇用主負担の概要。上限・料率は改定あり。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:外国人とビザ・就労許可
外国人を雇用する場合、次の手続きが必要です。
- 雇用主が外国人雇用計画書(RPTKA)を作成のうえ就労許可(IMTA)を取得
- 本人は暫定滞在許可(KITAS)を取得
医療保険(BPJS Kesehatan)の保険料算定には月額賃金に上限・下限があり、上限は月1,200万ルピア程度とされます。
制度や手続きが複雑なため、現地の制度に沿った運用が重要です。
インドネシアの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(BPJS:医療 Kesehatan・雇用 Ketenagakerjaan)など)がかかります。(円換算は概算:1万ルピア≒98円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
最低賃金は州別(UMP)に定められ、首都ジャカルタ(DKI)が国内最高で月Rp5,396,760(2025年/約5.3万円)、2026年は月Rp5,729,876(+6.17%)へ引き上げられます(州政府/労働省)。州により水準は大きく異なります。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は最低賃金を大きく上回ります。ソフトウェア開発者の年収平均は約1.48億ルピア(月約1,230万ルピア・約12万円)、レンジは年約7,400万〜2.29億ルピアが目安です(worldsalaries/Glassdoor等)。ジャカルタ・外資系やシニアで上振れします。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:ジャカルタ州最低賃金(UMP)2025・2026年:Jakarta Globe/Antarajakartaglobe.id。
- 民間データ:worldsalaries/Glassdoor等のソフトウェア開発者給与(2025年)glassdoor.com。
インドネシアで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約10〜11%)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約16.4〜24.2万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月Rp1,230万前後)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約12.1万円 |
| 雇用主負担(約10〜11%) | 約1.2〜1.3万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約16.4〜24.2万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでインドネシア人材を雇う
ここからは、インドネシアでEORを使うとどんな利点があり、費用はどう積み上がり、どう進めればよいのかを順に見ていきます。
EORを使うメリット
インドネシアでEORを使う利点は、BPJSへの加入・納付や、外国人雇用に伴う許可手続きといった複雑な実務を、EOR事業者に任せられる点です。
とくに進出初期に、いきなり法人を設立するリスクを避けたい場合、まずEORで現地人材を雇って市場を確かめる、という使い方ができます。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担のBPJS+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
インドネシアでの雇用を検討するなら、インドネシアに対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認:対応国数で選ぶEOR比較
- サービス全体の比較:EORサービス比較
現地の小話
インドネシアの給与制度で英語圏が必ず触れるのが「THR(Tunjangan Hari Raya)」です。宗教の祝祭(主にレバラン)前に支給が義務づけられた宗教祝祭手当で、勤続1年以上なら1か月分の給与に相当します。英語のHRガイドでは “mandatory religious holiday allowance” として大きく扱われ、支給の遅延には罰金も。賞与ではなく法定の権利という点が、日本の感覚と大きく異なります。
よくある質問
インドネシアのBPJSとはどのような制度で、雇用主の負担割合はどのくらいですか?
BPJSはインドネシアの公的社会保障制度で、医療保険(BPJS Kesehatan)と労働保険(BPJS Ketenagakerjaan)の2系統があります。医療保険は会社4%・従業員1%の負担です。労働保険は死亡保険が会社全額0.3%、年金・老齢保険は5.7%を会社3.7%・従業員2%で負担し、労災保険は業種により0.24〜1.74%を会社が全額負担します。
インドネシアで外国人を雇用する場合、どのような手続きが必要ですか?
雇用主が外国人雇用計画書(RPTKA)を作成したうえで就労許可(IMTA)を取得する必要があります。また、本人は暫定滞在許可(KITAS)を取得しなければなりません。なお、6か月以上働く外国人はBPJSへの加入対象となります。
インドネシアでEORを利用する場合、費用はどのように積み上がりますか?
費用は「給与」「雇用主負担のBPJS」「EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。EORの手数料は1名あたり月額600ドル前後が相場であり、これは手数料のみで給与や社会保険料は別途かかります。
インドネシアのTHR(宗教祝祭手当)とはどのような制度ですか?
THR(Tunjangan Hari Raya)は、宗教の祝祭(主にレバラン)前に支給が義務づけられた法定の手当です。勤続1年以上の従業員には1か月分の給与に相当する金額が支給され、支給の遅延には罰金も課されます。日本の賞与とは異なり、法定の権利として位置づけられています。
まとめ
インドネシアでは社会保障BPJS(医療・労働保険)への加入が義務で、雇用主が一定割合を負担します。外国人雇用には就労許可などの手続きも必要です。複雑な実務を任せるならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、現地専門家・公的資料が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。BPJSの料率・上限額・就労許可の要件は改定があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年5月13日時点のものです。
このテーマの総合ガイド国別ガイド記事を読む →
