米国は、世界最大の市場であり、日本企業が現地採用や進出の足がかりとして人材を雇う先として重要です。
ただし米国は州ごとに制度が異なり、雇用に関わる税や保険が複雑です。現地法人を作らずに米国の人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。
この記事では、米国で人を雇うときの雇用主負担とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:連邦のFICAと州ごとの失業保険、州差が大きい
米国では連邦の社会保障税・医療保険税(FICA)を雇用主と従業員が折半し、加えて連邦・州の失業保険税が雇用主に課されます。
州ごとに制度や税率が異なるため、複雑さは主要国でも上位です。現地法人なしで雇うなら、これらを代行できるEORが有効です。
以下では、雇用主負担の中身と州差の注意点、そしてEOR活用の考え方を順に見ていきます。
米国の雇用主負担(FICAと失業保険)
米国の代表的な雇用関連の負担は、連邦のFICA税(社会保障税・医療保険税)と、連邦・州の失業保険税に大きく分かれます。
いずれも給与に上乗せされる法定費用で、FICAは雇用主と従業員で分け合い、失業保険税は雇用主が負担します。ここでは、それぞれの中身と州ごとの注意点を整理します。
FICA税(社会保障税・医療保険税)
社会保障税(Social Security Tax)は従業員と雇用者がそれぞれ給与の6.2%、医療保険税(Medicare Tax)はそれぞれ1.45%を負担します。この2つはFICA税と呼ばれ、雇用主と従業員が折半します。
社会保障税には対象給与の上限がありますが、医療保険税には収入上限がなく常に1.45%がかかります。
失業保険税(FUTAとSUTA)
FICAに加えて、連邦失業保険税(FUTA)と州失業保険税(SUTA/SUI)が雇用主に課されます。これらは失業時の所得保障を支える制度で、雇用主側が負担します。
連邦分の雇用主負担の目安。州のSUTA(失業保険)は州・業種で別途。上限あり。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:州ごとに制度が異なる
米国で雇用するうえで最も注意すべきは、州ごとの違いです。
- 失業保険(SUTA)は州が管理し、税率や対象給与は州により異なり、毎年変わる可能性があります。
- たとえばニューヨーク州の新規雇用者の失業保険レートは年度により設定されます。
- 一部の州では州の傷害保険(SDI)などの加入が義務づけられています。
雇用する州ごとに登録や手続きが必要になるため、複数州にまたがると一気に煩雑になります。
米国の給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(Social Security/Medicare)・失業保険・労災など)がかかります。(円換算は概算:1米ドル≒155円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
連邦最低賃金は時給$7.25(2025年・据え置き。米労働省)ですが、多くの州・市が独自に高く設定しています(例:カリフォルニア州・ワシントン州で時給$16〜17前後)。フルタイム労働者の年収中央値は約$62,000(週給中央値ベース、2024年・米労働統計局BLS)が目安です。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は中央値より大幅に高くなります。米労働統計局(BLS)の職業別統計では、ソフトウェア開発者の年収中央値は$133,080(2024年5月)で、レンジは下位10%で約$77,000〜上位10%で約$208,000。大手テック企業ではさらに高くなります(levels.fyi等)。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
米国で雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約8〜10%(FICA7.65%+失業保険ほか))+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約188.8〜199.9万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月$11,090前後(中央値 年$133,080))を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約171.9万円 |
| 雇用主負担(約8〜10%(FICA7.65%+失業保険ほか)) | 約13.8〜17.2万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約188.8〜199.9万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORで米国人材を雇う
ここからは、米国でEORを使う場合のメリット・費用・進め方を整理します。連邦と州にまたがる複雑な雇用税と州ごとの手続きをどう扱うか、という観点で見ていきます。
EORを使うメリット
米国でEORを使う利点は、連邦・州にまたがる複雑な雇用税の源泉徴収・納付や、州ごとの失業保険の登録といった手続きを、EOR事業者に任せられる点です。
州ごとに異なる制度に自社で対応するのは負担が大きいため、現地法人を持たずに米国人材を雇いたい場合、EORの代行価値は特に高くなります。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担(FICA約7.65%+失業保険等)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・雇用税は別です。米国は給与水準が高いため、総額も大きくなりやすい点に留意してください。
具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
米国での雇用を検討するなら、米国(および対象の州)に対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較
- サービス全体の比較はEORサービス比較
現地の小話
アメリカ雇用で英語圏の常識が「at-will employment(随意雇用)」です。雇用主・従業員どちらも理由なく雇用を終了できる原則で、英語のHR記事では大前提として語られます。解雇規制の厳しい日本とは正反対。
さらに有給休暇に法定の最低日数がなく、「PTO(Paid Time Off)」を会社が任意に設計します。先進国で法定有給ゼロは珍しく、英語圏でもしばしば議論の的になっています。
よくある質問
米国で雇用主が負担するFICA税の内訳はどうなっていますか?
FICA税は社会保障税と医療保険税の2つで構成されます。雇用主は従業員と同様に、社会保障税として給与の6.2%、医療保険税として1.45%をそれぞれ負担します。社会保障税には対象給与に上限がありますが、医療保険税には収入上限がなく常に1.45%がかかります。
米国では州ごとに雇用に関する制度が異なると聞きましたが、具体的にどんな違いがありますか?
州失業保険税(SUTA/SUI)は州が管理しており、税率や対象給与は州により異なり、毎年変わる可能性があります。また一部の州では州の傷害保険(SDI)などへの加入が義務づけられています。複数の州にまたがって雇用する場合、各州での登録・手続きが必要となり、対応が一気に煩雑になります。
米国でEORを利用する場合、費用はどのように考えればよいですか?
費用は「給与+雇用主負担(FICA約7.65%+失業保険等)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。EORの手数料は1名あたり月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・雇用税は別途かかります。米国は給与水準が高いため、総額も大きくなりやすい点に留意が必要です。
米国で現地法人を持たずに人材を雇いたい場合、EORを使う利点は何ですか?
EORを利用すると、連邦・州にまたがる複雑な雇用税の源泉徴収・納付や、州ごとの失業保険の登録といった手続きをEOR事業者に任せられます。州ごとに異なる制度に自社で対応するのは負担が大きいため、現地法人を持たずに米国人材を雇いたい場合、EORの代行価値は特に高くなります。
まとめ
米国では連邦のFICA(社会保障6.2%・医療1.45%を雇用主負担)に加え、州ごとの失業保険が雇用主にかかり、州差が大きいのが特徴です。複雑な手続きを任せるならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、米国の会計・給与専門事業者が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。税率・州の制度は毎年改定・変動があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・雇用税は別です。情報は2026年5月26日時点のものです。
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