ブラジルは、中南米最大の市場であり、日本企業が進出してきた歴史も長い国です。
一方で雇用にまつわる負担が重く、制度が複雑なことで知られます。現地法人を作らずにブラジルの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。
この記事では、ブラジルで人を雇うときの雇用主負担とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:雇用主負担が重く、給与の3割超になることも
先に要点を言うと、ブラジルでは社会保障INSS(雇用主20%前後)に加え、勤続年数保証基金FGTS(8%)、労災RAT、各種拠出が乗り、雇用主負担は給与の30%を超えることもあります。
さらに13か月目給与や休暇ボーナスなどの慣行もあり、総コストが大きい国です。
ブラジルの雇用主負担と独自の慣行
ここからは、ブラジルで人を雇うときに発生する雇用主負担を、社会保険・各種拠出と、13か月目給与などの独自の慣行に分けて順に見ていきます。
いずれも額面給与とは別に発生し、人件費の総額を押し上げる要因です。
社会保障INSSと勤続年数保証基金FGTS
ブラジルの主な雇用主負担のうち、中核となるのが社会保障INSSと勤続年数保証基金FGTSです。
- 社会保障INSSは、業種・リスク区分により給与の20〜28.8%程度を雇用主が負担します。
- 勤続年数保証基金FGTSは、雇用主が毎月の給与の8%を政府管理の口座に積み立てます(解雇時などに従業員が引き出せる)。
労災リスク税RAT・Sシステム拠出・第三者拠出
上記に加えて、各種の拠出が乗ります。
- 労災リスク税RAT(業種により1〜3%)
- Sシステム拠出(約3.3%)
- 第三者拠出(合計で給与の5〜6%程度)
これらを合わせると、雇用主負担は給与の30%超に達することもあります。
雇用主負担は各種拠出を合わせ30%超になることが多い。RATは業種で変動。概算。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:13か月目給与など独自の慣行
ブラジルには、法律で定められた独自の支払いがあります。
- 「13か月目給与」として、雇用主が年末賞与の財源として月給の8.33%相当を積み立てます。
- 月給の3分の1相当の休暇ボーナスが別途発生します。
これらは社会保険料とは別に発生するため、人件費の総額は額面給与を大きく上回ります。
所得税(DIRF)も雇用主が源泉徴収します。制度が複雑で負担も重いため、現地制度に精通した運用が不可欠です。
ブラジルの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(INSS)・勤続補償基金(FGTS)など)がかかります。(円換算は概算:1レアル≒27円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
最低賃金は全国一律で月R$1,518(2025年)、2026年1月〜R$1,621(約4.4万円)です(連邦政府)。フルタイムの平均賃金は月R$3,200前後が目安で、地域・業種で差があります。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は最低賃金を大きく上回ります。ソフトウェア開発者の年収平均は約R$79,197(月約R$6,600・約18万円)で、経験・スキルで月R$4,000〜12,000程度の幅があります(Payscale等)。サンパウロ・外資で上振れします。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:連邦政府 最低賃金(2025〜2026年)/Agência Brasilagenciabrasil.ebc.com.br。
- 民間データ:Payscale等のソフトウェア開発者給与(2026年)payscale.com。
ブラジルで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約30%超)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約26.3〜34.6万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月R$6,600前後)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約17.8万円 |
| 雇用主負担(約30%超) | 約5.3〜5.9万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約26.3〜34.6万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでブラジル人材を雇う
ここからは、ブラジルでEORを使う場合のメリット・費用イメージ・進め方を順に整理します。
負担が重く制度も複雑なブラジルでは、EORの代行価値が特に大きくなります。
EORを使うメリット
ブラジルでEORを使う利点は、以下の対応をEOR事業者に任せられる点です。
- INSS・FGTS・RAT・各種拠出の計算と納付
- 13か月目給与や休暇ボーナスといった独自の支払いへの対応
負担が重く制度も複雑なため、自社で正確に運用するには相応の専門知識が要ります。
現地法人を持たずに参入したい場合、EORの代行価値が特に高い国です。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担(給与の3割超になることも)+13か月目給与等+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
雇用主負担が大きいため、総額は額面給与を大きく上回る点に特に注意してください。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
ブラジルでの雇用を検討するなら、ブラジルに対応するEORサービスを選びます。
対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較、サービス全体の比較はEORサービス比較で確認できます。
現地の小話
ブラジルで英語圏が必ず触れるのが分厚い労働法「CLT(Consolidação das Leis do Trabalho)」です。労働者保護が手厚く、英語のHR記事では訴訟リスクの高さとして頻出。13か月目給与、年休に上乗せされる「1/3 vacation bonus(休暇ボーナス)」、FGTS(勤続保証基金)など独自制度が多く、雇用コストが額面を大きく超えることが英語圏では常識として語られます。
よくある質問
ブラジルで人を雇うと、雇用主負担はどのくらいになりますか?
社会保障INSS(業種・リスク区分により給与の20〜28.8%程度)、勤続年数保証基金FGTS(8%)、労災リスク税RAT(1〜3%)、Sシステム拠出(約3.3%)、第三者拠出(5〜6%程度)が重なり、合計で給与の30%を超えることもあります。さらに13か月目給与や休暇ボーナスも別途発生するため、総コストは額面給与を大きく上回ります。
13か月目給与や休暇ボーナスとはどのような制度ですか?
13か月目給与は法律で定められた年末賞与で、雇用主が月給の8.33%相当を毎月積み立てる仕組みです。また月給の3分の1相当の休暇ボーナスも別途発生します。これらはINSSやFGTSとは別に発生するため、人件費の計算では必ず含めて考える必要があります。
EORを使った場合の費用はどう考えればよいですか?
「給与+雇用主負担(給与の3割超になることも)+13か月目給与等+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別になります。雇用主負担が大きいため、総額は額面給与を大きく上回る点に注意が必要です。
現地法人なしでブラジルの人材を雇うことはできますか?
EOR(雇用主代行)を活用することで、現地法人を持たずにブラジルの人材を雇用することが可能です。EOR事業者がINSS・FGTS・RATなどの計算・納付や、13か月目給与・休暇ボーナスへの対応を代行します。制度が複雑で負担も重いブラジルでは、EORの代行価値が特に高いとされています。
まとめ
ブラジルはINSS(雇用主20%前後)・FGTS(8%)・各種拠出に加え13か月目給与などもあり、雇用主負担が給与の3割超になることもある国です。
総コストが大きく制度も複雑なため、EORの代行価値が特に高い国です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、JETRO・現地専門事業者が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。負担率・各種拠出・賞与の扱いは改定があり業種でも異なるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年5月26日時点のものです。
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