ベトナムは、IT人材の豊富さとコスト競争力から、日本企業が海外人材を雇う先として注目度の高い国です。
現地法人を作らずにベトナムの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)の活用が広がっています。この記事では、ベトナムで人を雇うときのコスト・社会保険・雇用のポイントを、EOR活用の観点で整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:雇用主負担は給与の約2割、EORで法人なしに雇える
ベトナムでは雇用主が負担する社会保険などが給与の約22%前後かかり、これに給与とEORの手数料が加わります。
現地法人を作らずに雇うなら、EORが現実的な選択肢になります。
ベトナムの雇用主負担(社会保険など)
ベトナムで人を雇う際は、給与そのものに加えて、法定の社会保険などが雇用主負担として上乗せされます。
ここでは、その負担の内訳と、負担額に影響する最低賃金の考え方を順に見ていきます。
雇用主負担の合計と社会保険の内訳
ベトナムでは、雇用主が支払う社会保険料・健康保険・失業保険の合計が、2026年時点で給与の約22%前後になるのが標準的とされます。
社会保険は雇用主負担が17.5%程度とされ、これらは給与に上乗せされる法定費用です。
最低賃金と社会保険料への影響
最低賃金は地域別に設定され、第1地域(ハノイ・ホーチミン)で月約531万VND(約210米ドル)です(2026年1月施行のDecree 293/2025/ND-CP。為替・改定で変動。詳細は後述の給与相場を参照)。
なお、最低賃金は社会保険料算定の下限としても機能するため、最低賃金の改定は雇用主負担にも影響します。
雇用主負担 合計 約22%前後(2026年時点)。社会保険17.5%を含む。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
ベトナムの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険など、給与の約2割)がかかります。(円換算は1米ドル≒155円の概算)
国全体の水準(公的データ)
ベトナム統計局(GSO)によると、労働者の平均月収は2024年で約770万VND(約305米ドル/参考:約4.7万円)、2025年に入り約820〜830万VND(約314〜317米ドル)と、前年比8〜10%程度の伸びで推移しています(GSO発表、2024〜2025年)。企業タイプ別では、外資系企業の平均が約928万VND(約355米ドル)、民間国内企業が約810万VND(約310米ドル)という集計もあります(2024年)。
法定の最低賃金は地域別で、2026年1月施行のDecree 293/2025/ND-CPにより、第I地域(ハノイ・ホーチミン等)で月約531万VND(約210米ドル)〜第IV地域で月約370万VND(約140米ドル)です(政府決定、2026年施行)。最低賃金は社会保険料算定の下限にも関わるため、改定は雇用主負担にも影響します。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は国全体の平均より高くなります。民間のIT給与調査・賃金集計によると、ソフトウェア開発者の月給はおおむね次のとおりです(いずれも目安・レンジ)。
| 職種(IT・専門職) | 月給の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ソフトウェア開発者(全体) | 約900〜2,500米ドル (中位の目安 約2,000万VND≒約760米ドル) |
ジュニア〜シニアで大きく変動 |
| シニア/専門領域(クラウド・AI等) | 約2,200〜3,500米ドル (月約2,900〜3,800万VND) |
経験・専門性で上振れ |
| 財務アナリスト(中級・参考) | 約1,800万VND(約687米ドル) | IT以外の専門職の一例 |
出典:ITviec「Vietnam IT Salary & Recruitment Market Report 2024–2025」、Vietnam Briefing(Dezan Shira & Associates)「Vietnam Wages in 2025」。職種・経験・地域で幅があるため、上表は目安です。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:ベトナム統計局(GSO / National Statistics Office of Vietnam)平均月収(2024〜2025年)nso.gov.vn/ 政府 Decree 293/2025/ND-CP 地域別最低賃金(2026年1月施行)解説(Vietnam Briefing)。
- 民間データ:ITviec「Vietnam IT Salary & Recruitment Market Report 2024–2025」itviec.com/ Vietnam Briefing(Dezan Shira & Associates)「Vietnam Wages in 2025」vietnam-briefing.com(Talentnet・FiinRatings等の調査引用を含む)。
ベトナムで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約22%)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約17.5〜25.2万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(VND2,000万・約760米ドル)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約11.8万円 |
| 雇用主負担(約22%) | 約2.6万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約17.5〜25.2万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでベトナム人材を雇う
ベトナムで現地法人を持たずに人材を雇うなら、EORの活用が現実的です。ここでは、EORを使うメリット・費用のイメージ・実際の進め方を順に整理します。
EORを使うメリット
EORを使うと、現地法人を設立せずに現地の労働法・社会保険に準拠した形で人材を雇える点が利点です。
社会保険の手続きや給与計算は国ごとに複雑で、制度改定も頻繁なため、これらをEOR事業者が代行してくれる安心感は大きいといえます。
とくにIT人材の採用では、まず少人数をEORで雇い、手応えを見て増やす使い方と相性が良い国です。
ベトナム活用のイメージ
国内のエンジニア採用が難しい場合、EORを使えば現地法人を作らずにベトナムのIT人材を雇用できます。現地での雇用契約やビザ発行はEOR事業者に任せ、自社は業務指示と成果管理に集中できます。
少人数で始めて手応えを確認してから増やすという進め方も取りやすく、採用難の補完や開発体制の強化に向いています。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担(約22%)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
ベトナムでの雇用を検討するなら、ベトナムに対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較で確認できます。
- サービス全体の比較はEORサービス比較で確認できます。
現地の小話
旧正月「テト」は、ベトナムの職場文化を理解する鍵です。英語のビジネス記事では “Tet bonus”(テト賞与)が当然の前提として語られ、多くの企業が13か月目給与に相当する賞与をテト前に支給します。
法律上の義務ではないものの慣行として根強く、これを払わないと離職につながるとされるほど。テト前後は工場や事務所が長期間止まるため、海外企業は生産計画をテトに合わせて組むのが常識とされています。
よくある質問
ベトナムで人材を雇う際、雇用主はどのくらいの社会保険負担がかかりますか?
2026年時点では、社会保険・健康保険・失業保険の合計が給与の約22%前後かかるのが標準的とされています。そのうち社会保険の雇用主負担は17.5%程度です。これらは給与に上乗せされる法定費用のため、採用コストの試算に含める必要があります。
現地法人を持たずにベトナム人材を雇うことはできますか?
EOR(雇用主代行)を活用すれば、現地法人を設立せずにベトナムの労働法・社会保険に準拠した形で人材を雇うことができます。社会保険の手続きや給与計算はEOR事業者が代行するため、自社は業務指示と成果管理に集中できます。
EORを使ってベトナム人材を雇う場合、費用はどのように考えればよいですか?
費用は「給与+雇用主負担(約22%)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場とされており、この手数料は給与・社会保険とは別にかかります。
ベトナム現地の職場慣行で、雇用主が注意すべき点はありますか?
旧正月「テト」前に13か月目給与に相当する賞与を支給する慣行が根強く、多くの企業がこれを実施しています。法律上の義務ではないものの、支給しないと離職につながるとされるほどです。また、テト前後は職場が長期間止まることがあるため、業務計画の調整が必要になる場合があります。
まとめ
ベトナムは雇用主負担が給与の約22%前後で、IT人材の採用先として人気です。現地法人なしで雇うならEORが有効で、少人数から始めて増やす使い方に向きます。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、海外進出支援事業者・現地専門家が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。社会保険料率・最低賃金・為替は改定・変動があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年4月21日時点のものです。
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