マレーシアは、多言語人材が豊富で、東南アジアの地域拠点として日本企業に選ばれることの多い国です。
現地法人を作らずにマレーシアの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。この記事では、マレーシアで人を雇うときの社会保険(EPF・SOCSO・EIS)とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:EPFは雇用主13%前後、外国人は任意
先に要点を言うと、マレーシアでは従業員積立基金EPFに雇用主が13%前後を負担し(月給5,000リンギ超は12%)、これにSOCSO(社会保障)とEIS(雇用保険)が加わります。
マレーシア人・永住者は強制加入で、外国人労働者のEPFは任意です。誰を雇うかで負担が変わる点が特徴です。
マレーシアの社会保険(EPF・SOCSO・EIS)
マレーシアの主な制度は次の3つです。いずれも給与に上乗せされる法定費用であり、ここからは制度ごとに負担の内容と外国人の扱いを順に見ていきます。
EPF(従業員積立基金)
EPFの法定負担率は雇用主13%(月給5,000リンギ超は12%)・従業員11%です(60歳未満の場合)。
給与水準によって雇用主負担率が変わる点が、マレーシアの制度を理解するうえでの起点になります。
SOCSO(社会保障機構)・EIS(雇用保険制度)
SOCSO(社会保障機構)は労災・障害などを対象に雇用主・従業員が拠出します。
EIS(雇用保険制度)は被雇用者と雇用主がそれぞれ0.2%(上限あり)を拠出します。EPFに加えてこれらの拠出が積み上がる点を押さえておきます。
EPF雇用主13%(賃金により12%)・SOCSO・EIS0.2%。外国人はEPF任意等の扱いがある。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:外国人の加入の扱い
EPFは、マレーシア人および永住権を持つ被雇用者は強制加入ですが、外国人やメイド、自営業者については加入が任意とされています。
一方、SOCSOは2019年以降、外国人労働者も保護の対象となっています。
雇う相手の国籍・在留資格によって加入義務が変わるため、正確な把握が必要です。保険料の納付遅延には罰則があるため、期限内の納付も重要です。
マレーシアの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(EPF・SOCSO・EIS)など)がかかります。(円換算は概算:1リンギ≒35円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
最低賃金は全国一律で月RM1,700(2025年8月〜全雇用主に適用/約6万円)です(人的資源省)。フルタイムの実勢賃金はこれを上回ります(統計局DOSMが平均・中央値を公表)。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は最低賃金を大きく上回ります。ソフトウェア開発者の月給はおおむねRM5,000〜9,000(ミドル)で、ジュニアRM3,000〜5,500、シニアRM9,000〜15,000、リード級でRM12,000〜25,000が目安です(Indeed/Payscale等)。経験・外資で上振れします。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:人的資源省 最低賃金令(2025年)/InCorp Malaysiamalaysia.incorp.asia。
- 民間データ:Indeed/Payscale等のソフトウェア開発者給与(2025〜2026年)payscale.com。
マレーシアで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約13%)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約30.8〜38.5万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月RM7,000前後)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約24.5万円 |
| 雇用主負担(約13%) | 約3.2万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約30.8〜38.5万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでマレーシア人材を雇う
ここまでの制度を踏まえ、EORを使って実務をどう進めるかを、メリット・費用・進め方の順で整理します。
EORを使うメリット
マレーシアでEORを使う利点は、EPF・SOCSO・EISへの加入・納付や、国籍ごとに異なる加入義務の判断を、EOR事業者に任せられる点です。
複数制度を合算して給与から控除する計算は煩雑なため、現地法人を持たずに正確に運用したい場合、EORの代行価値が高くなります。
費用のイメージ
費用は次の合計で考えます。
- 給与
- 雇用主負担(EPF約13%+SOCSO・EIS)
- EORのプラットフォーム手数料
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
マレーシアでの雇用を検討するなら、マレーシアに対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較
- サービス全体の比較はEORサービス比較
現地の小話
多民族国家マレーシアの英語は「Manglish」と呼ばれ、シングリッシュ同様に語尾の「lah」が特徴的。英語が広く通じるため、東南アジア進出の入り口として英語圏で人気です。
給与面では、英語のHR記事が「bonusは法定ではないが慣行」と説明する点が日本と似ています。マレー系従業員にはハリラヤ(断食明け)前の支給を意識する企業が多く、多文化への配慮が職場運営の前提になります。
よくある質問
EPFの雇用主負担率はどのくらいですか?
EPFの雇用主負担率は13%前後ですが、月給5,000リンギを超える場合は12%となります。従業員負担率は11%(60歳未満)です。給与水準によって雇用主の負担率が変わる点がマレーシア特有のポイントです。
外国人労働者はEPFやSOCSOに加入しなければなりませんか?
EPFについては、マレーシア人および永住権を持つ被雇用者は強制加入ですが、外国人やメイド、自営業者は任意加入とされています。一方、SOCSOは2019年以降、外国人労働者も保護の対象となっています。雇う相手の国籍・在留資格によって加入義務が異なるため、正確な把握が必要です。
EORを活用する費用はどのように考えればよいですか?
費用は、給与・雇用主負担分(EPF約13%+SOCSO・EIS)・EORのプラットフォーム手数料の合計で考えます。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、この手数料は給与・社会保険とは別に発生します。
マレーシアでEORを使うメリットは何ですか?
EPF・SOCSO・EISへの加入・納付手続きや、国籍ごとに異なる加入義務の判断をEOR事業者に任せられる点が主なメリットです。複数制度を合算して給与から控除する計算は煩雑なため、現地法人を持たずに正確に運用したい場合にEORの代行価値が高くなります。
まとめ
マレーシアではEPFに雇用主が13%前後を負担し(高給与は12%)、SOCSO・EISも加わります。EPFはマレーシア人・永住者が強制で外国人は任意です。
複雑な実務を任せるならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、JETRO・JILPT・現地専門家が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。負担率・加入義務は改定があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年4月14日時点のものです。
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