タイは、東南アジアの製造・サービス拠点として日本企業の進出が多く、現地人材の採用ニーズも高い国です。
現地法人を作らずにタイの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。この記事では、タイで人を雇うときの社会保険とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:社会保険は労使5%ずつ、上限があり負担は軽め
タイの社会保険は雇用主5%・従業員5%の労使折半で、月給に算定上限(15,000バーツ)があるため、雇用主の負担額は月750バーツが上限です。
アジアのなかでも社会保険の負担は比較的軽い国といえます。
タイの社会保険と雇用主負担
ここからは、タイで人を雇うときに関わる社会保険の仕組みを、制度の種別と注意点に分けて順に見ていきます。
タイの社会保険は、社会保障基金(SSF)と労災補償基金(WCF)の2つで運営されています。以下の観点で整理します。
社会保障基金(SSF):労使5%ずつ・上限あり
2002年4月以降、従業員が1名以上の会社は社会保険への加入が義務づけられています。
社会保障基金は、固定的給与の10%を雇用主5%・従業員5%で折半して負担します。ただし算定基礎の月給には上限(15,000バーツ)があるため、保険料は最高でも雇用主・従業員それぞれ月750バーツです。
労災補償基金(WCF):全額雇用主負担
労災補償基金は全額雇用主負担で、年に一度支払います。
社会保障基金は労使各5%、雇用主負担は月750バーツが上限。労災補償基金は別途雇用主が全額。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:上限があるため高給与でも保険料は頭打ち
タイの社会保険は月給15,000バーツが算定上限のため、給与がそれを超えても保険料は増えません。
たとえば月給5万バーツの場合でも、上限の15,000バーツで計算され、雇用主負担は月750バーツです。このため、社会保険の負担割合は給与が高いほど相対的に小さくなります。
一方、健康保険については利用できる医療機関が限定されるなどの実情があり、現地法人では団体保険を別途用意することも多いとされます。
タイの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(社会保障基金 SSF)など)がかかります。(円換算は概算:1バーツ≒4.4円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
最低賃金は地域別で、日337〜400バーツです。バンコク等では日400バーツ(2025年7月1日〜/月換算 約12,000バーツ・約5.3万円)に引き上げられました(タイ労働省/ASEAN Briefing)。地域・業種で水準は異なります。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は最低賃金を大きく上回ります。バンコクのソフトウェア開発者で年収平均 約120万バーツ前後(月約9.4〜9.9万バーツ)、レンジは年約60万〜172万バーツ(月約5万〜14万バーツ)が目安です(SalaryExpert/Glassdoor等)。経験・スキルで差が大きくなります。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:タイ労働省 地域別最低賃金(2025年7月)/ASEAN Briefingaseanbriefing.com。
- 民間データ:SalaryExpert/Glassdoor等のソフトウェア開発者給与(2025〜2026年)salaryexpert.com。
タイで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約5%)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約48.4〜56.1万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月฿98,000前後(年฿118万))を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約43.1万円 |
| 雇用主負担(約5%) | 約2.2万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約48.4〜56.1万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでタイ人材を雇う
ここからは、現地法人を持たずにタイ人材を雇う手段としてのEORについて、メリット・費用・進め方の順に整理します。
EORを使うメリット
タイでEORを使う利点は、社会保障基金・労災補償基金への加入と納付、給与計算といった実務を、EOR事業者に任せられる点です。
負担自体は軽めですが、加入義務や手続きは現地制度に沿って正確に行う必要があるため、現地法人を持たずに雇いたい場合にEORが有効です。
費用のイメージ
費用は以下の合計で考えます。
- 給与
- 雇用主負担(社会保険・上限月750バーツ+労災)
- EORのプラットフォーム手数料
社会保険の負担額が小さいため、総額に占める手数料の比重が相対的に大きくなりやすい国です。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
タイでの雇用を検討するなら、タイに対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較
- サービス全体の比較はEORサービス比較
現地の小話
タイの職場文化で英語圏が重視するのが「面子(face)を保つ」コミュニケーションです。英語のマネジメント記事では、人前で部下を叱責しないことが鉄則として繰り返し説かれます。また「mai pen rai(マイペンライ=気にしないで)」という言葉はタイ的な仕事観の象徴として紹介され、トラブルを大ごとにしない柔らかい文化を表すキーワードとして英語圏でも知られています。
よくある質問
タイの社会保険料は雇用主がどれくらい負担しますか?
社会保障基金(SSF)は雇用主5%・従業員5%の折半負担で、算定基礎の月給に上限(15,000バーツ)があるため、雇用主の負担額は月750バーツが上限です。給与が高くなっても保険料は増えないため、高給与の人材ほど給与に占める社会保険の負担割合は相対的に小さくなります。
労災補償基金(WCF)の負担は誰が払うのですか?
労災補償基金は全額雇用主負担で、年に一度支払う仕組みです。社会保障基金とは異なり、従業員は負担しません。
EORを使ってタイ人材を雇う場合、費用はどう構成されますか?
給与・雇用主負担の社会保険(上限月750バーツ)+労災・EORのプラットフォーム手数料の合計で考えます。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、この手数料は給与・社会保険とは別にかかります。タイは社会保険の負担額が小さいため、総額に占める手数料の比重が相対的に大きくなりやすい点に注意が必要です。
現地法人なしでタイ人材を雇うにはどうすればよいですか?
現地法人を持たずにタイ人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)の活用が選択肢になります。タイでは従業員1名以上の会社に社会保険加入が義務づけられており、加入手続きや給与計算をEOR事業者に委託することで、現地制度に沿った正確な対応が可能になります。
まとめ
タイの社会保険は雇用主5%・従業員5%で、月給上限15,000バーツのため雇用主負担は月750バーツが上限と軽めです。労災補償基金は全額雇用主負担です。手続きを任せるならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、現地専門家・社会保険労務士法人が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。社会保険料率・上限額は改定があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年4月13日時点のものです。
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