英国は、欧州市場への足がかりであり、金融やテック分野の人材が豊富なことから、日本企業が現地採用を検討する重要な国です。
現地法人を作らずに英国の人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。この記事では、英国で人を雇うときの雇用主負担(国民保険)とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:雇用主の国民保険は2025年4月から15%に上昇
先に要点を言うと、英国では雇用主が国民保険(National Insurance)を負担し、その料率は2025年4月から13.8%から15%に引き上げられました。
同時に負担が始まる二次しきい値も年5,000ポンドに引き下げられ、これらは2026/27年度も継続します。雇用主の負担が増えている点に注意が必要です。
英国の雇用主負担(社会保険)
英国で人を雇うときに雇用主が負担する社会保険は、大きく分けて2つの観点から整理できます。
- 公的給付の財源となる国民保険(NI)
- 税財源で運営される医療(NHS)
ここからは、それぞれの仕組みと負担のポイントを順に見ていきます。
国民保険(NI)の料率としきい値
英国の国民保険(NI)は、公的年金や各種給付の財源となる社会保険制度です。
雇用主は、従業員の所得のうち二次しきい値(年5,000ポンド)を超える部分に対して15%を負担します。
2024年度までは13.8%・しきい値9,100ポンドだったため、料率の引き上げとしきい値の引き下げが同時に効く「二重の負担増」となっています。
たとえば年収3万ポンドの従業員では、雇用主負担が年間で数百ポンド増えるとされます。
2025年4月以降、雇用主NIは15%、しきい値は年5,000ポンド。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:医療は税財源、NIとは別
英国の医療は国民保健サービス(NHS)が中心で、これは主に税収を財源とする原則無料の制度です。
日本のように医療保険料を別途給与天引きする仕組みとは異なるため、英国の雇用主負担を考える際は、国民保険(NI)を中心に見ることになります。
なお、小規模事業者向けには雇用主手当(Employment Allowance)があり、一定額まで負担が軽減されます。
英国の給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(国民保険料 National Insurance)など)がかかります。(円換算は概算:1米ドル≒155円、1ユーロ≒165円、1英ポンド≒195円、1ズロチ≒41円、1ルピー≒1.9円、1ペソ≒2.8円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
法定最低賃金(21歳以上のNational Living Wage)は時給£12.21(2025年4月〜/フルタイム月約£2,000・約39万円)です(前年£11.44から上昇。英政府)。英国家統計局(ONS)によると、フルタイム被用者の年収中央値は£39,039(2025年4月)(前年比4.3%増)です。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は中央値より高くなります。求人統計(IT Jobs Watch)ではソフトウェア開発者の年収中央値が£60,000、求人サイト各社では平均£44,000〜£50,000台で、経験・勤務地(特にロンドン)で差が大きく、おおむね年£45,000〜65,000(月約£3,750〜5,400・約73〜105万円)が目安です。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:英国家統計局(ONS)年収中央値 ASHE 2025ons.gov.uk/英政府 National Living Wage(2025年)。
- 民間データ:IT Jobs Watchitjobswatch.co.uk、Glassdoor/Indeed等(2025〜2026年)。
英国で雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約15%)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約104.0〜111.8万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月£4,500前後(年£45,000〜65,000))を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約87.8万円 |
| 雇用主負担(約15%) | 約13.2万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約104.0〜111.8万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORで英国人材を雇う
ここからは、英国でEOR(雇用主代行)を使う場合のメリット、費用の考え方、そして実際の進め方を順に整理します。
EORを使うメリット
英国でEORを使う利点は、引き上げが続く国民保険の計算・納付や、しきい値・手当の適用といった実務を、EOR事業者に任せられる点です。
料率や基準の変更が続いているため、現地法人を持たずに最新の制度に沿って運用したい場合、EORの代行価値が高くなります。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担(国民保険15%相当)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
英国は給与水準が高いため、総額も大きくなりやすい点に留意してください。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・国民保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
英国での雇用を検討するなら、英国に対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較
- サービス全体の比較はEORサービス比較
現地の小話
イギリスで英語圏が必ず触れるのが「bank holiday(バンクホリデー)」です。年8日前後の祝日を指す独特の呼び名で、由来は銀行が休む日。給与では時給や年俸を「per annum(p.a.)」と表記するのが求人の定番です。また「redundancy(整理解雇)」には法定の手当(statutory redundancy pay)があり、勤続年数と年齢で計算される仕組みが英語のHRで詳しく解説されます。
よくある質問
2025年4月以降、英国で雇用主が負担する国民保険の料率はどのくらいですか?
2025年4月から雇用主の国民保険(NI)料率は13.8%から15%に引き上げられました。同時に負担が始まる二次しきい値も年9,100ポンドから5,000ポンドに引き下げられており、料率の引き上げとしきい値の引き下げが同時に効く「二重の負担増」となっています。
英国では医療保険料も給与から天引きされるのですか?
いいえ、英国の医療は国民保健サービス(NHS)が中心で、主に税収を財源とする原則無料の制度です。日本のように医療保険料を別途給与天引きする仕組みとは異なるため、英国の雇用主負担を考える際は国民保険(NI)を中心に見ることになります。
英国でEORを使う場合、費用はどのように考えればよいですか?
費用は「給与+雇用主負担(国民保険15%相当)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場であり、この手数料は給与・国民保険とは別にかかります。英国は給与水準が高いため、総額も大きくなりやすい点に留意が必要です。
現地法人を持たない場合、英国での雇用にEORを活用するメリットは何ですか?
引き上げが続く国民保険の計算・納付や、しきい値・手当の適用といった実務をEOR事業者に任せられる点が主なメリットです。料率や基準の変更が続いているため、最新の制度に沿って運用したい場合にEORの代行価値が高くなります。
まとめ
英国では雇用主の国民保険が2025年4月から15%に上がり、しきい値も5,000ポンドに下がって負担が増えています。医療は税財源のNHSで別建てです。
最新制度に沿って運用するならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、英国の会計・税務専門事業者および公的情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。国民保険の料率・しきい値は改定されるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・国民保険は別です。情報は2026年4月14日時点のものです。
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