シンガポールは、アジアのビジネスハブであり、日本企業が地域統括や人材確保の拠点として注目する国です。
現地法人を作らずにシンガポールの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。この記事では、シンガポールで人を雇うときの社会保険(CPF)とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:CPFは現地人・永住権者が対象、外国人は対象外
先に要点を言うと、シンガポールの社会保険CPF(中央積立基金)は、雇用主負担が17%・従業員負担が20%(55歳以下)ですが、対象はシンガポール国民と永住権保有者に限られます。
Employment Pass(EP)で働く外国人はCPFの対象外です。誰を雇うかで雇用主負担が大きく変わる点が、シンガポールの特徴です。
シンガポールの社会保険(CPF)と雇用主負担
シンガポールの社会保険を理解する鍵は、CPF(中央積立基金)という強制積立制度と、その対象者によって雇用主負担が変わるという仕組みです。
ここからは、CPFの基本的な仕組みと、対象者によって負担がどう変わるかを順に見ていきます。
CPFの仕組みと拠出率
CPF(Central Provident Fund/中央積立基金)は、給与の一定割合を雇用主と労働者が労働者個人の口座に積み立て、年金・医療費・住宅購入費などに充てる強制積立制度です。
民間企業が雇用する55歳以下の従業員の場合、雇用主負担が17%、被雇用者負担が20%の合計37%です。年齢が上がると拠出率は下がります。CPFの対象となる月給には上限があり、2026年1月以降は月額8,000シンガポールドルです(これを超える分にはCPFがかかりません)。
原則として雇用主がCPFを申告納付する義務を負います。
CPFの雇用主拠出は年齢で逓減(55歳以下17%が上限の目安)。外国人は対象外。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:対象者で雇用主負担が変わる
CPFの加入義務があるのはシンガポール国民と永住権保有者で、EPホルダー等の外国人はCPFの対象外です。
このため、以下のような違いが生じます。
- 現地人材を雇えばCPFの雇用主負担(17%程度)が発生する
- 外国人専門職を雇えばCPFは発生しない
永住権の取得年数によっても料率が変わる(取得1〜2年目は低い)ため、誰をどの立場で雇うかを正確に把握することが、コスト把握の前提になります。
シンガポールの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(CPF・シンガポール人/PR対象)など)がかかります。(円換算は概算:1シンガポールドル≒115円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
シンガポールは全国一律の最低賃金がなく、特定業種に漸進的賃金モデル(PWM)が適用されます(例:清掃職で月S$1,910〜・2025年7月〜。人材開発省MOM)。フルタイム就業者の月収中央値はS$5,775(雇用主CPF含む・2025年、MOM)、情報通信業では月収中央値 約S$7,605と高めです。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は調査により幅があります。ソフトウェア開発者は基本給ベースで年S$58,000前後(Payscale)から、市場実勢・シニア・外資では年S$80,000〜120,000超(月約S$5,000〜10,000)まで幅があります(目安)。情報通信業の月収中央値(S$7,605・MOM)も参考になります。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:人材開発省(MOM)月収中央値・PWM(2025年)mom.gov.sg。
- 民間データ:Payscale/各給与調査(2025〜2026年)payscale.com。
シンガポールで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約17%(現地人/PR))+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約83.8〜91.6万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月S$6,000前後)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約69.0万円 |
| 雇用主負担(約17%(現地人/PR)) | 約11.7万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約83.8〜91.6万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでシンガポール人材を雇う
ここからは、シンガポールでEORを使う具体的な姿を、メリット・費用イメージ・利用の進め方の3つの観点で整理します。
EORを使うメリット
シンガポールでEORを使う利点は、CPFの申告・納付や、対象者ごとに異なる料率の適用といった実務を、EOR事業者に任せられる点です。
CPFは申告納付義務が雇用主にあり、正確な計算と期限内申告がコンプライアンス上も重要とされるため、現地に法人を持たずに正確に運用したい場合、EORの代行価値が高くなります。
費用のイメージ
費用は以下の合計で考えます。
- 給与
- 雇用主負担(現地人材ならCPF約17%、外国人なら原則なし)
- EORのプラットフォーム手数料
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・CPFは別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
シンガポールでの雇用を検討するなら、シンガポールに対応するEORサービスを選びます。
対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較、サービス全体の比較はEORサービス比較で確認できます。
現地の小話
シンガポールの求人で英語話者が真っ先に確認するのが「AWS(Annual Wage Supplement)」、通称13月給です。法的義務ではないものの広く慣行化し、雇用契約に明記されることが多い項目。さらにシンガポール英語「Singlish」では、語尾に「lah」を付けたり、OKを意味する「can」一語で会話が成立したりします。フォーマルな場では標準英語に切り替わるため、ビジネスでは心配いりません。
よくある質問
シンガポールのCPFは外国人も加入が必要ですか?
CPFの加入義務があるのはシンガポール国民と永住権保有者に限られます。Employment Pass(EP)などで働く外国人はCPFの対象外です。そのため、誰を雇うかによって雇用主の負担が大きく変わります。
CPFの雇用主負担はどのくらいですか?
55歳以下の従業員を雇用する場合、雇用主負担は17%、従業員負担は20%の合計37%です。ただし年齢が上がると拠出率は下がり、月給には算定上限があります。また、永住権の取得年数によっても料率が変わり、取得1〜2年目は低い料率が適用されます。
シンガポールでEORを利用する場合、費用はどう考えればよいですか?
費用は、給与・雇用主負担のCPF(現地人材であれば約17%、外国人であれば原則なし)・EORのプラットフォーム手数料の合計で考えます。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与やCPFとは別にかかります。
現地法人がなくてもシンガポールで人材を雇えますか?
EOR(雇用主代行)を活用することで、現地法人を持たずにシンガポールの人材を雇うことができます。CPFの申告・納付や対象者ごとに異なる料率の適用といった実務をEOR事業者に任せられるため、コンプライアンス対応の面でも有効な手段とされています。
まとめ
シンガポールの社会保険CPFは雇用主負担17%・従業員20%(55歳以下)ですが、対象は現地人・永住権者で外国人は対象外です。誰を雇うかで負担が変わります。複雑な実務を任せるならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、現地専門家・社会保険労務士法人が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。CPFの拠出率・上限は改定があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・CPFは別です。情報は2026年5月5日時点のものです。
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