インドは、優秀なITエンジニアの宝庫として、日本企業が開発人材を確保する先に選ぶことが増えています。
現地法人を作らずにインドの人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が有効です。この記事では、インドで人を雇うときの社会保障・コスト・雇用のポイントを、EOR活用の観点で整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:EPFは雇用主が基本給の12%、EORで法人なしに雇える
インドでは積立基金(EPF)に雇用主が従業員の基本給の12%を拠出する義務があり、これに健康保険的なESICなどが加わります。
現地法人を作らずに雇うなら、これらの手続きを代行できるEORが現実的な選択肢です。
インドの社会保障と雇用主負担
インドで人を雇う際に押さえておきたいのが、社会保障制度と、そこにかかる雇用主の負担です。ここでは主要な制度であるEPF系とESICの仕組み、そして加入義務が生じる基準を順に見ていきます。
積立基金EPFと雇用主負担の内訳
インドの主な社会保障は、積立基金EPF・年金EPS・預託保険EDLIと、医療等のESICです。
EPFでは雇用主が従業員の基本給の12%を拠出し、従業員も同額を負担します。
雇用主負担の内訳は以下のとおりです。
- 積立基金EPFへ:3.67%
- 年金基金EPSへ:8.33%
- 預託保険EDLIへ:0.5%
従業員州保険ESIC
ESIC(従業員州保険)は月収INR21,000以下の従業員が対象で、雇用主3.25%・従業員0.75%の負担とされ、企業規模10名以上(一部業種20名以上)で適用義務が生じます。
EPF(雇用主12%)・ESIC・EDLI等。賃金水準により適用や率が変わる。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
注意:加入義務の基準と対象
EPF関連の加入義務は、20名以上を正規雇用する企業・組織(支店・駐在員事務所を含む)に生じます。月給15,000ルピー以下のインド人従業員に加入義務があり、それ以上は任意です。
外国人(International Worker)は月給額に関係なく加入が求められます。制度の適用は企業規模や給与水準で変わるため、現地の制度に沿った運用が必要です。
インドの給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険など)がかかります。(円換算は概算:1米ドル≒155円、1ユーロ≒165円、1英ポンド≒195円、1ズロチ≒41円、1ルピー≒1.9円、1ペソ≒2.8円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
インドは全国一律の最低賃金が無く、州ごとに定められます。例えばデリー州では非熟練労働者で月₹18,456(約2.2万円)(2025年4月〜)で、技能区分により上がります。全国フロア水準は日約₹178が目安です(州政府告示)。全国の賃金は地域・職種・雇用形態で大きく異なり一律の平均値は取りにくいですが、民間集計では月給の平均が₹2.8万前後(約340米ドル/約5.3万円、2025年)とされます(目安)。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は全国平均より大幅に高くなります。各種給与調査によると、ソフトウェア開発者の年収は中央値で約₹69万(全国平均の数倍)で、経験別の目安は次のとおりです(LPA=年₹10万)。
- エントリー:約₹3.5〜6 LPA(年35〜60万/月約₹3〜5万)
- ミドル(2〜5年):約₹8〜18 LPA(月約₹6.7〜15万・約800〜1,800米ドル)
- シニア:約₹15〜28 LPA、AI/ML等の専門は₹18〜50 LPA超まで
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:デリー州ほか州政府の最低賃金告示(2025年)/India Briefing「Guide to Minimum Wage in India」india-briefing.com。
- 民間データ:Payscale「Software Developer Salary in India」payscale.com、Glassdoor/各IT給与調査(2025年)。
インドで雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約12%(基本給))+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約24.4〜32.1万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(月₹10万前後(ミドル))を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約19.0万円 |
| 雇用主負担(約12%(基本給)) | 約2.3万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約24.4〜32.1万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORでインド人材を雇う
ここからは、インドでEORを使って人材を雇う場合のメリット・費用イメージ・進め方を順に見ていきます。
EORを使うメリット
インドでEORを使う利点は、EPF・ESICへの登録や拠出といった複雑な手続きを、EOR事業者に任せられる点です。
加入基準や料率の解釈は専門性が高く、現地に法人を持たずに、制度に準拠した形でエンジニアを雇えるのは大きな利点です。
まず少人数のエンジニアをEORで雇い、開発拠点を育てる使い方と相性が良い国です。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担(EPF12%+ESIC等)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保障は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
インドでの雇用を検討するなら、インドに対応するEORサービスを選びます。対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較、サービス全体の比較はEORサービス比較で確認できます。
現地の小話
英語のインド求人記事で頻出するのが「notice period(通知期間)」の長さです。インドでは退職時に60日〜90日の通知期間が一般的で、内定者が前職の通知期間を消化中で入社が数か月先になるのは日常茶飯事。
英語圏では “serving notice period” という表現が転職の文脈で当然のように使われます。日本の「2週間前」の感覚で採用計画を立てると、入社時期が大きくずれるので注意が必要です。
よくある質問
EPFの雇用主負担は具体的にどの割合ですか?
雇用主は従業員の基本給の12%をEPF関連に拠出します。内訳は積立基金(EPF)へ3.67%、年金基金(EPS)へ8.33%、預託保険(EDLI)へ0.5%です。従業員も同額の12%を負担します。
EPFやESICの加入義務はどのような企業に生じますか?
EPF関連の加入義務は20名以上を正規雇用する企業・組織(支店・駐在員事務所を含む)に生じます。ESICは月収INR21,000以下の従業員を対象に、企業規模10名以上(一部業種20名以上)で適用義務が発生します。なお、外国人(International Worker)は月給額に関係なくEPFへの加入が求められます。
インドでEORを使う場合の費用はどのように考えればよいですか?
「給与+雇用主負担(EPF12%+ESIC等)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。EORの手数料は1名あたり月額600ドル前後が相場で、この手数料は給与・社会保障とは別にかかります。
インド人材を採用するとき、入社時期の注意点はありますか?
インドでは退職時に60日から90日の通知期間が一般的です。内定者が前職の通知期間を消化中で入社が数か月先になるケースは日常的であるため、日本の感覚で採用計画を立てると入社時期が大きくずれる可能性があります。
まとめ
インドではEPFに雇用主が基本給の12%を拠出し、ESICなども加わります。加入義務は企業規模・給与で変わり、外国人は給与額を問わず対象です。複雑な手続きを任せるならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、現地専門家・JETRO等が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。社会保障の料率・加入基準は改定・例外があるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保障は別です。情報は2026年6月5日時点のものです。
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