中国は、巨大な市場と豊富な人材を持ち、日本企業が長く進出してきた国です。
一方で社会保険の負担が重く、地域差も大きいため、雇用コストの把握が欠かせません。現地法人を作らずに中国の人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。
この記事では、中国で人を雇うときの社会保険(五険一金)とEOR活用のポイントを整理します。EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:五険一金で企業負担は賃金の3〜4割、地域差が大きい
先に要点を言うと、中国の社会保険は「五険一金」で構成され、企業が負担する保険料率は地域により異なるものの、合計すると賃金総額の30〜40%程度にのぼります。
主要国でも負担が重い部類で、地域差・外国人の扱いの差も大きいのが特徴です。
中国の社会保険(五険一金)
中国で人を雇う際にまず押さえたいのが、社会保険の仕組みである「五険一金」です。ここでは、その構成・会社のみが負担する保険・外国人の扱いという3つの観点に分けて整理します。
五険一金の構成と企業負担
中国の社会保険は、養老(年金)保険・医療保険・失業保険・労災保険・出産(生育)保険の5つの保険と、住宅積立金を合わせて「五険一金」と呼ばれます。
企業負担と個人負担に分かれ、地域によって料率が異なりますが、企業負担の合計は賃金総額の30〜40%程度とされます。
五険一金。会社負担は地域差が大きく、合計はおおむね給与の30%前後(都市により変動)。 料率・上限・為替は改定/変動あり。最新は各提供元・現地の専門家でご確認ください。EORのプラットフォーム手数料はこれとは別です。
会社のみが負担する保険
五険一金のうち労災保険と出産(生育)保険は会社のみが負担し、労働者には負担義務がありません。
注意:外国人の加入は都市で異なる
中国では法律上、外国人を含む中国で働くすべての労働者と雇用主に社会保険の加入義務があります。
ただし実務上、外国人の加入は就労する都市によって異なります。
- 北京・広州・深センなどでは外国人の加入が強制
- 上海・大連などでは任意とされています
また、日本と中国の間で社会保障協定の状況により二重負担が生じる場合もあるため、どの都市でどう運用するかは、現地の最新情報の確認が欠かせません。
中国の給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え前述の雇用主負担(社会保険(五険:養老・医療・失業・労災・生育)・住宅積立金など)がかかります。(円換算は概算:1人民元≒21円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
最低賃金は全国一律ではなく地域別に定められます。上海で月RMB2,740(2025年7月〜・時給RMB25)、北京で月RMB2,420(時給RMB27.7)です(China Briefing等)。大都市の実勢賃金は最低賃金を大きく上回り、地域差が非常に大きいため、信頼できる「全国一律の平均賃金」は取りにくい点にご留意ください(国家統計局が都市部平均賃金を公表)。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は最低賃金を大きく上回ります。上海のミドル級ソフトウェア開発者で月約RMB22,000(2025年)、都市・経験により月RMB12,000〜40,000程度が目安です(INS Global/China Briefing等)。北京・深圳など大都市や外資・大手テックでは上振れします。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:上海・北京の地域別最低賃金:China Briefing(2025年)china-briefing.com/国家統計局(NBS)。
- 民間データ:INS Global/China Briefing等のIT給与情報(2025〜2026年)ins-globalconsulting.com。
中国で雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(約30〜40%)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約63.2〜75.5万円です(下表のミドル級開発者の例)。
下表はミドル級開発者(上海ミドルで月RMB22,000前後)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約46.2万円 |
| 雇用主負担(約30〜40%) | 約13.9〜18.5万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.1〜10.9万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約63.2〜75.5万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORで中国人材を雇う
複雑で地域差の大きい中国の制度に対応する手段として、EORの活用が現実的です。ここからは、EORを使うメリット・費用のイメージ・利用の進め方を順に見ていきます。
EORを使うメリット
中国でEORを使う利点は、地域ごとに異なる料率や、外国人の加入可否といった複雑で変化の多い制度に、EOR事業者を通じて対応できる点です。
負担が重く地域差も大きいため、自社で正確に運用するには相応の専門知識が要ります。
なお、中国は政治・規制環境の変化も大きいため、EORの対応可否や条件を事前に確認することが特に重要です。
費用のイメージ
費用は「給与+雇用主負担(賃金の3〜4割程度)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。
雇用主負担が大きいため、総額は給与の1.3〜1.4倍規模になりやすい点に留意してください。
EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
中国での雇用を検討するなら、中国に対応するEORサービスを選びます。
- 対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較
- サービス全体の比較はEORサービス比較で確認できます
現地の小話
英語圏の中国ビジネス記事で必ず登場するのが「996」です。朝9時から夜9時まで週6日という働き方を指す数字で、テック業界の長時間労働の象徴として国際的に報じられてきました。中国の裁判所が996を違法と判断した経緯も英語メディアで広く扱われています。
もう一つ、給与を表す「13薪」「14薪」という表記も求人で一般的。月給の13〜14倍が年収になるという意味です。
よくある質問
中国の五険一金とは何ですか?企業の負担はどのくらいですか?
五険一金とは、養老(年金)保険・医療保険・失業保険・労災保険・出産(生育)保険の5つの保険と住宅積立金を合わせた中国の社会保険制度です。企業が負担する保険料率は地域により異なりますが、合計すると賃金総額の30〜40%程度にのぼります。なお、労災保険と出産(生育)保険は会社のみが負担し、労働者には負担義務がありません。
外国人を中国で雇用する場合、社会保険への加入は必須ですか?
法律上は、外国人を含む中国で働くすべての労働者と雇用主に社会保険の加入義務があります。ただし実務上は就労する都市によって異なり、北京・広州・深センでは外国人の加入が強制されている一方、上海・大連などでは任意とされています。また日本と中国の間で二重負担が生じる場合もあるため、どの都市でどう運用するかは現地の最新情報の確認が必要です。
中国でEORを使う場合、費用の総額はどのように考えればよいですか?
費用は「給与+雇用主負担(賃金の3〜4割程度)+EORのプラットフォーム手数料」の合計で考えます。雇用主負担が大きいため、総額は給与の1.3〜1.4倍規模になりやすい点に注意が必要です。EORの手数料は1名月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別途かかります。
中国でEORを利用する際に特に注意すべき点はありますか?
中国は政治・規制環境の変化が大きいため、EORの対応可否や条件を事前に確認することが特に重要です。また、地域ごとに料率や外国人の加入可否が異なる複雑な制度であるため、自社で正確に運用するには相応の専門知識が必要になります。EORを活用することでこうした複雑な制度への対応を任せられますが、まず中国に対応しているEORサービスかどうかを確認するところから始めてください。
まとめ
中国は五険一金で企業負担が賃金総額の30〜40%程度と重く、地域差や外国人の扱いの差も大きい国です。複雑で変化の多い制度に対応するならEORが有効ですが、対応可否は事前確認が重要です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、JETRO・JILPT・現地専門家が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。社会保険料率・外国人の扱いは地域・時期で変動するため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年4月21日時点のものです。
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