香港は、アジアの金融・ビジネスの中心地で、英語と中国語が通じる国際的な人材が豊富な地域です。日本企業にとって、アジア拠点の採用先として有力な選択肢になります。
現地法人を作らずに香港の人材を雇う手段として、EOR(雇用主代行)が選択肢になります。この記事では、香港で人を雇うときの社会保険(MPF)とEOR活用のポイントを整理します。
EORの基本はEORとはをご覧ください。
結論:雇用主負担は軽め、中心はMPFの5%(上限あり)
先に要点をまとめます。
- 香港の雇用主の法定負担は、強制積立年金「MPF」の雇用主拠出5%が中心です。
- MPFの拠出対象となる月収には上限があり、月収30,000香港ドルを超える分は対象外(=雇用主拠出は月1,500香港ドルが上限)です。
- 加えて、労災を補償する従業員補償保険への加入が雇用主に義務づけられています。
欧州などの高負担国と比べ、香港は雇用主の法定負担が軽いのが特徴です。実際にかかる総額は、これに給与とEORの手数料を加えたものになります。
香港の社会保険(MPF)と雇用主負担
香港には日本のような包括的な公的社会保険制度はなく、雇用に関わる主な法定負担はMPF(強制性公積金)と従業員補償保険です。
MPF(強制積立年金)
MPF(Mandatory Provident Fund/強制性公積金)は、老後資金を積み立てる強制加入の年金制度です。雇用主・従業員がそれぞれ関連所得の5%を拠出します。
拠出の対象となる月収には上限があり、月収30,000香港ドルまでが対象です。これを超える分に拠出義務はなく、雇用主拠出は月1,500香港ドルが上限になります。
また、月収7,100香港ドル未満の従業員は本人拠出が免除されますが、雇用主は5%の拠出を続けます。料率・上限は改定されることがあるため、最新の値の確認が必要です。
従業員補償保険(労災)
香港では、従業員補償条例に基づき、業務上の負傷・死亡に備える従業員補償保険への加入が雇用主に義務づけられています。保険料は全額雇用主負担で、従業員の給与から差し引くことはできません。
保険料率は業種やリスクにより異なるため、具体的な金額は保険会社への確認が必要です。
注意:解雇時の遣散費・長期服務金
香港では、解雇の事由や勤続年数に応じて、遣散費(severance payment)または長期服務金(long service payment)の支払いが雇用主に生じることがあります。雇用の入口だけでなく、出口のコストも見込んでおくことが重要です。
なお、香港は給与所得への課税(薪俸税)が低く、標準税率は15%です。雇用コストの面では負担が軽い地域といえます。
香港の給与相場(目安)
給与水準を国全体の水準(公的データ)と職種別の目安(民間データ)の2層に分け、レンジ(幅)で示します。
数値は経験年数・地域・企業規模・スキルで変わる目安で、断定はできません。最新は求人サイト・現地エージェント・専門家でご確認を。給与に加え、前述の雇用主負担(MPFなど)がかかります。(円換算は概算:1香港ドル≒19円。時点で変動)
国全体の水準(公的データ)
香港の月収中央値は約HK$21,200(2025年5〜6月、政府統計処C&SD)で、前年から約3.5%上昇しました(約40.3万円)。香港には法定最低工資(時給制の最低賃金)があり、業種により実際の給与水準は大きく異なります。
職種別の目安(民間データ)
IT・専門職は調査により幅があります。ソフトウェア開発者は基本給ベースで月HK$25,000〜45,000程度(年収ベースで約HK$31万〜)が目安で、シニアや外資系ではさらに高くなります(PayScale等の民間調査、目安)。
注記・出典
総額の積み上げ方は費用シミュレーションもご覧ください。
出典一覧(媒体名・年・URL)
- 公的データ:香港政府統計処(C&SD)月収中央値(2025年)censtatd.gov.hk。
- 民間データ:PayScale/各給与調査(2025〜2026年)payscale.com。
香港で雇う総額の目安(給与+負担+手数料)
給与に雇用主負担(MPF上限HK$1,500+労災保険など)+EOR手数料+為替を足すと、月の総額の目安は約72.5〜81万円です(下表のミドル級開発者の例)。香港は法定負担が軽いため、総額に占める社会保険の割合は小さめです。
下表はミドル級開発者(月HK$35,000前後)を例にした概算で、給与水準・職種・人数・契約条件・為替で大きく変わる目安です(円換算は概算)。
| 項目 | 月額の目安(円・概算) |
|---|---|
| 給与(ミドル開発者の例) | 約66.5万円 |
| 雇用主負担(MPF上限HK$1,500+労災保険など) | 約3〜4万円 |
| EOR手数料(サービス・国・人数で変動) | 約3.0〜10.5万円(月$200〜700) |
| 合計の目安(レンジ) | 約72.5〜81万円 |
EOR手数料は主要サービスで月600ドル前後が目安(年額契約で割安/安価なサービスは月200ドル台も)。総額の積み上げ方は費用シミュレーション、内訳は費用の内訳、複数国比較は複数国のコスト比較もご覧ください。最新の料金は各提供元の公式情報でご確認を。
EORで香港人材を雇う
ここからは、香港でEORを使う場合のメリット・費用・進め方を整理します。
EORを使うメリット
香港でEORを使う利点は、MPFの加入・拠出や従業員補償保険の手配、雇用契約や解雇時の給付といった実務をEOR事業者に任せられる点です。負担自体は軽い地域ですが、制度や手続きを正確に行う手間を省けます。
費用のイメージ
費用は、次の合計で考えます。
- 給与
- 雇用主負担(MPF5%=月1,500香港ドル上限+従業員補償保険など)
- EORのプラットフォーム手数料
香港は法定負担が軽いため、総額に占める社会保険の割合は小さめです。EORの手数料は1名あたり月額600ドル前後が相場で、これは手数料であり給与・社会保険は別です。具体的な積み上げ方は費用シミュレーションで示しています。
EOR利用の進め方
香港での雇用を検討するなら、まず香港に対応するEORサービスを選びます。
対応国の確認は対応国数で選ぶEOR比較、サービス全体の比較はEORサービス比較で確認できます。
香港でおなじみなのが「飲茶(ヤムチャ)」の文化で、点心をつまみながらの会食はビジネスの場でもよく使われます。また、台風が接近すると気象台が「シグナル8号」以上を発令し、多くの企業が休業・出社見合わせとなる「タイフーン・デー」も独特の慣習です。旧正月(農暦新年)の前後は休暇に入る人が多く、業務計画はこの時期を見込んで組むのが一般的です。
よくある質問
香港で人を雇うとき、雇用主の社会保険負担はどのくらいですか?
中心は強制積立年金MPFの雇用主拠出5%です。拠出の対象となる月収には上限(月30,000香港ドル)があり、雇用主拠出は月1,500香港ドルが上限です。加えて労災を補償する従業員補償保険の付保義務があり、欧州などと比べて負担は軽めです。
MPFの拠出には上限がありますか?
あります。拠出の対象となる月収は30,000香港ドルまでで、これを超える分には拠出義務がありません。そのため雇用主拠出は月1,500香港ドルが上限です。なお月収7,100香港ドル未満の従業員は本人拠出が免除されますが、雇用主は5%を拠出します。
香港で従業員を解雇するとき、追加の費用はかかりますか?
解雇の事由や勤続年数に応じて、遣散費(severance payment)または長期服務金(long service payment)の支払いが生じることがあります。雇用の入口だけでなく、出口のコストも見込んでおくことが重要です。
香港でEORを使うメリットは何ですか?
MPFの加入・拠出や従業員補償保険の手配、雇用契約・解雇時の給付といった実務をEOR事業者に任せられる点です。負担自体は軽い地域ですが、制度や手続きを正確に行う手間を省けます。
まとめ
香港の雇用主負担はMPFの5%(月1,500香港ドル上限)が中心で、欧州などと比べて軽めです。労災を補償する従業員補償保険の付保義務や、解雇時の遣散費・長期服務金には注意が必要です。
制度はシンプルでも、手続きを正確に行うならEORが有効です。次はEORサービス比較へ進んでください。
本記事は、香港の公的機関(MPFA等)・現地専門家・EORサービス各社が公開する情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。MPFの料率・上限や税率は改定されるため、最新の正確な数値は現地専門家・各提供元でご確認ください。EOR料金は手数料であり給与・社会保険は別です。情報は2026年6月16日時点のものです。

