世界第2位の経済大国である中国の人民元は、各国の経済動向や為替変動において大きな影響力を持っています。特に、豪ドルやゴールドの相場に多大な影響を与えるため、中国の経済指標は必ず確認するというFXトレーダーも多くいます。
今回の記事では、XM(XMTrading)で取引できる人民元の通貨ペア「米ドル/人民元(USDCNH)」をご紹介します。人民元の特徴や仕組み、注目すべき経済指標、実際の取引において意識すべきポイントなども徹底解説します。
XMで取引できる人民元はUSDCNH(米ドル/人民元)
XMで人民元を取引する場合、銘柄は「USDCNH(米ドル/人民元)」の1種類です。対円や、その他の通貨ペアは用意されていません。
取引銘柄の種別は「マイナー通貨ペア」に分類され、MT4/MT5の気配値では「USDCNH」として表示されます。
USDCNHの今後の動向
<USDCNH リアルタイムチャート:4時間足>
2024年4月末から人民元は下落基調となり、5月の頭には急落しました。
中国企業や外国人投資家が人民元の価値が下がると予想して、ドルをたくさん持つようになり、この動きが国内の株式市場が不振で成長が鈍ることと組み合わさり、人民元の価値をさらに下げる要因となっています。
従来、人民元はドルインデックスと逆相関関係にありましたが、現状ではドルインデックスも上昇しているわけではないため、現状の人民元の下落は中期的なものと捉える見方もあります。
「米ドル/人民元」は世界で6番目に取引量が多い通貨ペア!
人民元はCNYとCNHの2種類
人民元には、中国国内でのみ取り扱われる「CNY(オンショア人民元)」と、中国国外で取引される「CNH(オフショア人民元)」の2種類が存在します。
XMを含む海外FX業者で取引できるのは「CNH」です。
CNY | CNH | |
---|---|---|
正式名称 | オンショア人民元 | オフショア人民元 |
為替市場 | 中国本土内 | 中国本土外 (香港・シンガポール・英国など) |
規制当局 | 中国人民銀行 | 香港金融管理局 |
オンショア人民元のCNYは中国本土で取引
オンショア人民元のCNY(Chinese Yuan)は、中国本土で流通し、中国国内で一般的に使われている通貨です。別名、RMB(Rénmínbì)と呼ばれます。
CNYは、通貨バスケット制を取り入れ、中国人民銀行により為替操縦が行わているため、基本的に安定した相場推移を維持しています。国内での経済活動や、貿易を目的とした両替のみに使用され、投機を目的としたFXでは取引されません。
2024年現在は「1元=約20円」!
オフショア人民元のCNHは中国本土外で取引
オフショア人民元のCNH(Chinese Hong Kong)は、香港やロンドン市場を中心に世界各国に流通し、海外の金融機関やマーケットで自由に売買できる通貨です。
CNHは、CNYとは別の通貨ですがレートの差は僅かで、基本的にCNYの値動きに連動します。そのため、CNHをFX取引する際は、まず国内通貨であるCNYの値動きを分析する必要があります。
USDCNHは、2023年に入ってからは上昇基調が続きました。2023年のUSDCNHの上昇の理由には、SWIFTからのロシア排除や米利上げに伴うドル離れ、「ペトロユアン(原油人民元)」拡大に向けた中国の積極外交などが挙げられます。
しかし、2023年11月からは大きく下落し、今年2024年に入ってからはレンジ相場になりつつあります。
今後、貿易取引では人民元の利用が拡大するから、今のうちに値動きの特徴を掴んでおこう!
XMの人民元のUSDCNH(米ドル/人民元)の取引条件
値動きの特徴
CNHは、地理的に近い東京市場のオープン時に活発に値動きする傾向があります。
しかし、中国人民銀行は、10時15分(日本時間)にCNYの取引レートの基準値を公表し、対米ドルに対して上下2%以内の変動になるように監視と調整しています。なので、CNHは、CNYの1日の基準値が決まる10時15分以降、比較的安定した値動きになる傾向があります。
ただし、上海株式市場がオープンする11時30分前後や、他の通貨同様にロンドン市場やNY市場のオープン時間、各経済指標の発表時には値動きが激しくなる場合があります。
人民元トレードは、午前中の出社前や夜の退勤後が狙い目!
取引時間
USDCNHの取引時間 | |
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夏時間 | 冬時間 |
月曜日6:05~土曜日5:50 | 月曜日7:05~土曜日6:50 |
XMのUSDCNH(米ドル/人民元)は、月曜日の早朝から土曜日の早朝まで取引可能です。
ただし、中国本土の祝日やメンテナンス時間は、市場休場により取引不可or取引時間が短くなる場合があります。
USDCNHの取引におすすめの時間帯
USDCNHは、東京時間が始める午前8時から人民元の基準値が公表される10時15分頃までの時間帯に値動きが活発になります。
<USDCNH リアルタイムチャート:1時間足>
その他にも、ロンドン時間やNY時間にはドルの値動きも活発になるため、値幅を取りやすいです。
スキャルで狙うなら8:00〜10:15分頃!
平均スプレッド
USDCNHの平均スプレッド | |
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スタンダード口座 /マイクロ口座 |
KIWAMI極口座 |
4.86pips | 3.75pips |
USDCNHは、マイナー通貨ペアの中では、比較的スプレッドが狭く設定されています。
XMの口座タイプの中で、USDCNHの最狭スプレッドはKIWAMI極口座(KIWAMI口座)です。ただし、KIWAMI極口座は入金ボーナスやXMポイントの対象外です。また、ゼロ口座(ZERO口座)は、USDCNHの取り扱いがありません。
マイナーペアだけどスプレッドが狭い!
必要証拠金
スタンダード | マイクロ | KIWAMI | |
---|---|---|---|
最大レバレッジ | 50倍 | 50倍 | 50倍 |
1ロットの通貨量 | 10万通貨 | 1,000通貨 | 10万通貨 |
1ロットの必要証拠金 | 約28,100円 | 約2,810円 | 約28,100円 |
(※)1ドル=140円換算。
XMのUSDCNHの最大レバレッジは50倍なので、フルレバの場合の1ロットの必要証拠金は28万円前後になります。
初めて人民元を取引する方は、まずはマイクロ口座を追加口座開設して、ボラティリティなどの様子を見てみるのがおすすめです。
初めての人民元取引は「マイクロ口座」がおすすめ!
スワップポイント(2024年7月現在)
USDCNHのスワップポイント | |
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ロング(買い) | ショート(売り) |
-152円 | -2,931円 |
XMのUSDUNHは、買いも売りもマイナススワップが発生します。
スワップはニューヨーク市場がクローズする日本時間の朝6時(冬時間は朝7時)に発生します。また、水曜日はスワップ3倍デーなので、木曜日の早朝にはスワップポイントが通常の3倍かかるのでご注意ください。
XMの人民元のUSDCNH(米ドル/人民元)の3つの特徴
中国人民元には、独自の相場操縦の仕組みが取り入れられているため、取引する際にはそれらを把握しておくのがおすすめです。
人民元の3つの特徴
・通貨バスケット制
・実需原則
管理変動相場制度
管理変動相場制度とは、中国が2005年7月から採用する人民元の為替レート制度です。各主要国通貨に対して人民元の為替変動が安定するように、当局によって常に通貨量の調整が実施されています。
例えば、夜間に急激な相場変動が起きたり、当局の意向に沿わない動きがあったりした場合、翌朝には中国人民銀行が介入して調整を行います。これが人民元の値動きが他の通貨ペアに比べて、比較的安定している理由です。
中国人民銀行の介入内容を見れば、現在中国当局は相場をどちらに動かしたいのかを読み取れるため、長期投資に活用するトレーダーも存在します。
介入内容は長期投資の有力判断材料!
通貨バスケット制
通貨バスケット制とは、自国の通貨を複数の外貨に連動させて、一定のレートを保つ方法です。
中国の主な貿易取引国の通貨、米ドル(USD)・ユーロ(EUR)・日本円(JPY)・大韓民国ウォン(KRW)の情報は、中国外貨取引センター(CFETS)と呼ばれる中央機関に集められます。これらの情報をもとに、中国人民銀行は人民元の相場変動の管理を行っています。
そのため、人民元は常に、米ドル・ユーロ・日本円・ウォンのバランスを見ながら、人民元安や人民元高にならないように調整されています。
極端な元安や元高にならない点も、中国元の利用が拡大される要因の1つ!
実需原則
人民元は、実需原則と呼ばれる為替制度の影響で、他のメジャー通貨ペアのように相場の需給によってどちらか一方向にトレンドが発生したり、急騰や暴落が起こったりすることはほとんどありません。
中国では外貨管理局によって実需原則の指導が徹底されているため、中国国内での投機目的による人民元の取引は禁止されています。
外貨管理局は、中国本土における外国為替取引のルールを策定している機関で、在中国企業や在中投資家の取引を常に監視しています。貿易において最低限必要になる両替を除いて、投機目的によるCNYの売買が行われないように見張っているのです。
そのため、基本的には企業の実需取引以外で、中国国内において為替取引は行われません。また、急激な人民元安や人民元高に傾いた場合には、実需の取引すら制限される場合もあります。
人民元は徹底的に管理されてるぞ!
XMの人民元のUSDCNH(米ドル/人民元)を取引する際に重要な中国の経済指標
人民元は、中国人民銀行による為替操縦が行われるため、経済指標などのファンダメンタルの影響を特に受けやすい銘柄です。主に注目すべき中国の経済指標をご紹介します。
中国GDP(国内総生産)
GDP(国内総生産)とは、一定期間内に生み出された経済効果やサービス付加価値の総額のことで、国の経済規模を表しています。
中国でも他国と同じように、四半期が採用され、4月・7月・10月・1月 の毎月15日頃、中国国家統計局によってGDPが発表されます。
一般的に、中国GDPの数値が良ければUSDCNHのレートは上昇し、悪ければ下降する傾向があります。
中国GDPと豪ドルの関係
中国は鉄鋼資源の大量消費国であり、オーストラリア最大の貿易相手国です。中国はオーストラリアの輸入約15%と輸出約26%を占めており、中国経済の動向によって豪ドルの値動きにも影響が出る傾向があります。
なので、中国GDPは、USDAUD(米ドル/豪ドル)やAUDJPY(豪ドル/円)を取引する方にとっても、注目度の高い経済指標といえます。
中国GDPは人民元だけじゃなくて、豪ドル絡みの通貨ペアを取引する人も必見!
中国PMI(製造業購買担当者指数)
製造業購買担当者指数(PMI)とは、製造業やサービス業においてアンケート結果などをもとに、購買意欲が数値化された情報で、中国国家統計局によって毎月発表されています。別名「製造業PMI」や「サービス業PMI」と呼ばれます。
基本的に、中国PMIが50を上回れば景気拡大で人民元高、下回れば景気後退で人民元安が進みます。
中国PMIは、アメリカ・ヨーロッパ・日本・オーストラリアの経済動向に大きく影響します。また、中国はインドに次ぐ金消費大国なので、中国PMIはゴールド(GOLD)などの金品の価格に影響する場合もあります。
ゴールド取引の判断材料にも!
XM以外で人民元を取引できる海外FX業者
XM以外にも、USDCNH(米ドル/人民元)を取引可能な海外FX会社をご紹介します。
Exness(エクスネス)
Exnessでは、XMと同じようにUSDCNH(米ドル/人民元)を取引できる他、BTCCNH(ビットコイン/人民元)も取引できます。
Exness口座では条件によって、最大で無制限レバレッジのハイレバトレードが可能ですが、仮想通貨CFDでは、400倍以下の固定レバレッジが適用されます。
USDCNH | BTCCNH | |
---|---|---|
最大レバレッジ | 無制限 | 400倍 |
1ロットの通貨量 | 10万通貨 | 10万通貨 |
1ロットの必要証拠金 | 1円 | 10,418 円 |
(※)スタンダード口座の場合。
Exnessは中上級者御用達のサブ口座!
Exnessの人民元のスワップポイントは下記の通りで、スワップフリー拡張銘柄の対象からは外れます。
USDCNH | BTCCNH | |
---|---|---|
ロング(買い) | 48円 | スワップ発生なし |
ショート(売り) | -2,896円 | -703円 |
BTCCNHのトレードに興味がある方は、Exnessで口座開設するのもおすすめです。
XMの人民元のUSDCNH(米ドル/人民元)まとめ
今回の記事では、中国人民元の基礎情報や、XMでUSDCNH(米ドル/人民元)を取引する際に押さえておきたいポイントなどをご紹介しました。
CNHは、中国人民銀行により管理&調整されているCNYと連動する傾向があるため、比較的値動きが安定しているといわれています。
スキャルピングでは、東京時間がスタートする午前中が狙い目です。デイトレードやスイングトレードでは、中国GDPとPMIの結果に注視しながらFXトレードを行うのがおすすめです。
まずはマイクロ口座でお試しトレード!