日経平均株価が何によって変動しているのかご存知でしょうか。
日経平均の変動要因には様々なものがあります。XMで日経225(JP225)をトレードするに際して、これらの日経平均の変動要因を知ることで相場の先行きを予想しやすくなります。
またFXトレーダーの方も投資家としての広い視野を持つために、日経平均の変動要因を頭の中に入れておくことをお勧めします。
要因①国内の景気動向
国内の景気動向は、日経平均に大きく影響します。
景気が良ければ、企業の業績が更に良くなると期待でき、株式の買い手が増えることになります。さて、景気が良いか悪いかを判断するためには、経済指標の確認が必要となります。
以下では、景気動向をつかむための代表的な経済指標をご紹介します。
チェックすべき国内の経済指標を把握しよう!
「日銀短観」に注目
日銀短観は日本銀行が行う統計調査です。
全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としています。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施しています。
短観では、企業が自社の業況や経済環境の現状・先行きについてどうみているか、といった項目に加え、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目について調査しています。
短観は日本全体の景気の先行きを示すものであり、その結果はダイレクトに日経平均株価へと反映されると考えておきましょう。
「GDP」に注目
GDPとは国内総生産のことで、1年間国内に住んでいる人々によって新たに生産されたモノやサービスの付加価値のことです。
ごく簡単にいうと国内で商品を買ったり、家を建てたりして使われたお金の総計ともいえます。GDPの内容を把握することで、国内の景気状況を把握することが可能になります。
GDPは「前期比」が基本となり、国の成長率を評価する基準となります。
要因②外国為替の動向
円高・円安など、為替相場の動きは、製品を輸出している会社や原材料を輸入している会社の業績に大きな影響を与えます。
日本企業は世界中さまざまな国と取引を行っていますが、日経平均に限るとドル円相場の影響を強く受けます。なぜなら日経平均に含まれている企業で米国と取引していない企業はゼロと言っても過言ではないからです。
日本企業の多くは輸出ビジネスで稼ぐ
日本の代表的な企業の多くは輸出企業です。そのため、ドル高円安が進むと為替差益が増え、結果的に企業の業績が上がり、株価が上昇しやすくなるのです。
たとえば、世界的にも有名なトヨタ自動車は現在、ドル円相場が1円上昇すると、約400億円もの営業利益が上がると言われています。反対に1円下落すると400億円もの損失が発生することになります。
この「日本における輸出企業と輸入企業の割合」が、ドル円相場と日経平均の相関関係を作っています。
「円安ドル高」は株価上昇要因
日本には輸出企業が多いため、円安と日経平均株価には正の相関関係があります。
輸出企業とは
日本では自動車、自動車部品、科学光学機器、鉄鋼などを取り扱う企業がそれに該当します。
そのため、為替が円安ドル高に振れると日経平均株価が上昇します。
円の価値が安いほど輸出企業の利益が大きくなるから株価が上昇
「円高ドル安」は株価下降要因
輸入企業にとっては、円高ドル安がプラスに働きます。
輸入企業とは
日本では衣類、原油、液化天然ガス(LNG)、石油製品などを取り扱う企業がそれに該当します。
しかし、これらの企業は輸出企業に比べて日経平均に占める割合が小さいため、円高ドル安になると日経平均株価は下落する傾向にあります。
要因③米国株式相場
米国株式相場と日経平均は明確に連動する
日経平均の変動要因として「NYダウ(ダウ平均株価)」は避けられません。
日経平均は、NYダウおよびナスダックの値動きに非常に大きく影響されます。前日の米国株式相場が上昇すれば翌日の日経平均は上昇で始まり、米国相場が下落すれば日経平均は下落で始まります。この確率は90%超える確率と言っても過言ではありません。
前日のNYダウの結果をみて、朝方の日経平均の「初動」だけを狙うトレーダーもいるよ
この傾向は、日本だけではありません。米国相場が下落すれば欧州相場は下落しますし、その他世界中の株式相場が下落します。
世界の株価指数の中心がアメリカ
グローバル化が進み世界経済すべてがつながっている現在において、米国の景気に世界が左右されるからです。
その一例として、世界中に浸透している巨大企業としてGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が挙げられます。
米国大手IT企業の業績や不祥事の影響は米国国内だけで収まらない!
いずれも、ITを使った各種サービスの共通基盤になるインフラを提供する巨大事業者であり、世界はこれらの米国企業なしでは成り立たない状況になっています。そのため、世界をリードする米国株式相場に日経平均は大きく影響されます。
要因④国内政治の動向
国内政治の動向も株価に影響を与えることがあります。
経済政策に関する首相や財務大臣、日銀総裁の発言などにも株式市場は注目しています。当然、彼らの発言や政策実行の中身により、相場が変動するということがあります。
(1)政府の経済政策
政府の経済政策により、国内景気が上昇するという見方が強まれば、株式相場にはプラス材料となります。
リーマンショックの際にも、政府は大規模な財政出動を行いました。そして、今般のコロナショックへの対応としてリーマンショックを超える108兆円の経済対策を打ち出しています。経済対策が好感され、国内景気が上向くと判断された場合には日経平均は上昇することになります。
コロナ対策としての「緊急事態宣言」では、収束に向かう施策と判断され、日米共に株価が大幅上昇するキッカケになった
(2)日本銀行の金融政策
国内景気の刺激策は、政府の財政政策と日銀の金融政策の二つが存在します。両者が連携することで景気を上向かせることができるというのが経済学の常識です。
かつて日銀は金利をコントロールすることで国内景気を調整してきました。
しかし、現時点では日銀はマイナス金利を導入し、金融政策として打つべき手をほとんどすべて打ってしまったという状況にあります。現在の状況では、日銀の金融政策により日経平均が変動する可能性というのは限りなく低いと言えます。
これ以上の打つ手がない日銀は「市場への影響度」を失った
要因⑤自然災害・天候
コロナウィルスなど市場全体に大きな影響を及ぼす
自然災害や天候も日経平均に影響を与えることがあります。例えば、猛暑が続くと、ビールやエアコンメーカーなどの株価は上がる傾向にあります。
もちろんウイルス感染症なども、自然災害に含まれます。2002年に広まったSARSは、日経平均を含むアジア株式市場を下落させました。また、足元で猛威を振るっている新型コロナウイルスは、日経平均にリーマンショックを超える下落をもたらしています。
地震やパンデミックなどは「最大の株価引き下げ要因」
このような感染症はワクチンが開発されない限り完全に収束されません。ワクチンの開発には、長期間にわたる研究期間と治験期間が必要であり、市場の混乱が収まるには時間がかかります。いつパンデミックがおさまるかわからないため、市場は非常に不安定な状況に陥ります。
要因⑥外国人投資家の動向
日本市場をコントロールするのは外国人投資家
現在、日本株の6割以上が海外のファンドなどの「外国人投資家」によって売買されていると言われています。彼らが株価にどんな影響を与えているのかを見極めることは、相場の動向を見通すための重要な鍵となります。
株式市場には様々なプレーヤーが存在します。東京証券取引所が定期的に公表している「投資部門別売買動向」を見ると、そうした投資家たちの動きを把握することができます。その中でも日経平均に最も影響を与えるのが上記で述べた「外国人投資家」です。
日本人以上に外国人投資家の方が多いのねー
莫大な予算で「国内の主要銘柄」を支配
外国人投資家のうち長期保有の大手運用会社は、1回あたりの注文金額が多いため、売買金額が大きくなる傾向があります。そして、彼らは数週間以上にわたって売買を行うため、相場動向を見通す手がかりになります。
日本は製造業が多いので、景気循環の観点から世界景気が良くなると、業績拡大期待から外国人投資家が日本株を買う傾向があります。その中でも、外国人投資家は時価総額の大きな企業を好みます。
基本的に、日経平均は時価総額の大きな企業から構成されているため、外国人投資家の影響を強く受けると言えます。