小麦はパンや麺類の材料として世界の「食」を支える主要穀物。世界規模で人口が増加する今、投資商品としても人気。
小麦とは
小麦の用途
小麦を原料とする小麦粉は、パンやパスタ、うどんや中華めんなど、主食やそれに準ずる食材に幅広く利用されています。ビールやウイスキーなど主要アルコール飲料の原料でもあり、工業用アルコールの材料としての利用も進んでいます。品質が劣るものなどの一部は、家畜用の飼料にも流用されますが、家畜飼料が大半の用途を占めるとうもろこしと違い、小麦のほとんどが人の口に入る食用となっています。他の穀物同様、近年ではエタノール燃料の材料としても注目が集まっていますが、スウェーデンなど一部の国以外ではあまり小麦は活用されていません。
コーン(とうもろこし)との大きな違いは人のためだけに作られていることなのね
小麦はパン以外にもパスタ、ナン、ピザ、肉まん、中華麺など世界中の食品に必要とされる点も重要なポイントだね
どこで生産されるのか
今からおよそ1万5千年前に始まったと言われる小麦ですが、現在の主要生産国は、中国、インド、アメリカ、ロシア、EU諸国などが挙げられます。生産国上位の中国・インドは世界全体の生産量約7億トンのうち、約2億トンを生産していますが、そのほとんどが国内消費と戦略的備蓄に回るため、世界の輸出国はEU諸国とアメリカ・カナダで50%を占めます。小麦は秋に種を蒔いて翌年初夏に収穫する「冬小麦」と、春に種を播いて秋に収穫する「春小麦」に大別できますが、世界的には冬小麦の生産が盛んであり、主要輸出国であるアメリカも、冬小麦の生産が主流となっています。
小麦の産地が大草原と言われる地域に多いのは、小麦の生産は土壌が肥沃で降水の少ない平原地帯が適しているからなのよ。
小麦の主要生産地
主要生産国
主要消費国
取引市場と価格の動き
小麦価格は、アメリカのシカゴ商品取引所(CBOT:Chicago Board of Trade)を中心に形成されています。CBOTの小麦価格は世界中で広く価格指標とされており、日本の小麦取引価格の決定においても重要な参考値となっています。新興国を中心とする世界的な人口増加を大きな背景として、基本的には常に供給不足が心配されている穀物のひとつであり、他の穀物同様、価格は右肩上がりのトレンドが続いています。2008年前半に最高値を付けて以降は、2010年にはロシアで干ばつ、2012年にはアメリカでの降水量不足での不作があるなど、国々での気候状況は世界の穀物に大きな影響を与えています。
基本データ | |||
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穀物の種類 | イネ科の1年草 | 主な生産国 | 中国、アメリカ、インド、ロシア、EU諸国 |
利用用途 | 食用、資源材料、家畜飼料等 | 主な輸入国 | エジプト、ブラジル、EU諸国、日本 |
年間生産高 | 約7億トン | 日本の輸入量 | 年間6000万トン |
小麦の価格変動要因は?
世界最大の生産地は中国ですが、輸出はほとんど行っていないため、小麦の輸出国として圧倒的なポジションを占めるアメリカの生産状況に価格が大きく左右されます。気候変動によって小麦の生産高が20%もダウンする地域もあり、「地球温暖化による食糧危機」というテーマの中心に小麦が存在します。
また天候の価格影響は大きいが、他の穀物同様、投機マネーの流入によって価格暴騰を起こしたケースもあり、ヘッジファンドや年金基金など大口投資家の動きや、それに対する投資規制の流れも大きく影響します。なお、日本は世界有数の小麦輸入国のため価格変動の影響を最も受ける国となります。
主な価格変動要因
作付の動向
アメリカ農家の作付け面積によって小麦の基本生産量が決まってくることから、作付けの時期はその動向が注目されます。例年より作付け面積が少なければ価格の上昇要因となります。
生産地の天候
小麦は農作物であることから、生産地の天候状況にも生産量が大きく左右されます。生育期に長雨や干ばつといった異常気象に見舞われると、供給減の予測から価格上昇へとつながります。
輸出入の動向
中国やインドは消費量が多い一方、生産量も豊富なため、小麦の自給率は高い水準を保っています。しかし、これらの国が天候不順で不作に陥り、輸入量が大きく増える可能性もあります。
小麦の生産スケジュール
主要輸出国であるアメリカでは冬小麦の生産が主流となっており、CBOTの標準品でもあることから、冬小麦の生産スケジュールに注目が集まります。各国の生産スケジュールは下記のようになっており、作付けから収穫までの期間は、おおむね冬小麦が10カ月、春小麦が6カ月程度となります。
出典:楽天証券 トウシル
投機マネーの動向と規制
世界的な人口増加による慢性的な需給増やインフレ懸念などから、穀物価格の値上がり予想は根強く、従来からヘッジファンドや年金基金などの大口投資家による市場参加は盛んに行われています。しかし、行き過ぎた投機マネーの参入は、実体のない価格の暴騰を招くケースもあり、2008年前半に起こった小麦を含む穀物価格の大暴騰は、この典型的な例とする声もあります。そこで近年では、アメリカ商品先物取引委員会(CFTC)などを中心として投機マネーを抑制するための動きが活発化しており、投機マネー自体の動きとともに、こうした規制動向についても目を向けることが重要になっています。
天候不順をキッカケに機関投資家が仕掛けをしてくる可能性が高いのだ
注目指標など
最大の輸出国であるアメリカの経済指標に注目が集まります。なかでもアメリカ農務省(USDA)の発表する需給統計は、小麦価格を大きく左右する最重要指標といえるでしょう。作付動向や生育動向などについても、アメリカ農務省の発表する資料が一番の確認材料になります。
アメリカの季節ごとの天候が材料になるということね
USDA需給統計
アメリカの農務省(USDA)が毎月10日前後に発表。小麦の総需要や総供給のほか、期末在庫などの最新情報も示されます。特に注目されるのが期末在庫と、期末在庫を需要で割った期末在庫率であり、これらの数字が悪化すると、小麦の供給は逼迫が懸念され、価格の上昇につながることになります。
CFTC建玉明細
アメリカ商品先物取引委員会(CFTC)が毎週金曜日に発表。大手商社などの実需筋と、ヘッジファンドなどの投機筋の建玉状況をそれぞれ把握することができます。穀物価格についても、投機マネーの流入によって価格が乱高下するケースが少なくないことから、投機筋の動きは非常に注目されます。
今の「小麦価格」はここがポイント
8月の小麦相場は、週後半に入って反発が見られたものの、5月の半ば以降から続く下落相場は継続していると判断できます。大きな要因は、世界経済の雲行きが怪しくなり、来年以降の本格的な景気後退が意識されたことです。
また、FRBが景気後退を伴ったとしても、金融引き締めに対して積極的であることも、景気下押しの要因と言えます。
ただし、5月以降の下落幅が大きかったことから、下値余地は限定的と考えられます。単純に売りを仕掛けると、反発に巻き込まれて損失を出してしまうこともあるでしょう。
トレードを行う際は、戻りを狙って売りを仕掛けることをおすすめします。また、一時的な反発を狙って買いを仕掛けていく手法も有効です。
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月曜日08:05~土曜日03:10 ※平日20:40~21:35、02:10~08:05はメンテナンス |
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