S&P500はアメリカの株式市場を代表する株価指数のひとつです。運用しようと検討しているものの「やめたほうがよい」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、S&P500はやめたほうがよいといわれる理由や運用するときのポイントをくわしく解説します。どのような人に向いているのか、ハイリスク商品とはなにが違うのかも紹介します。
S&P500はやめたほうがいいといわれる理由
そもそもS&P500(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数)とは、米国の株式市場を代表する株価指数のひとつで、主要な大型株500社で構成されています。この指数は、米国経済全体の動きを把握するための指標として広く利用されています。
それでは、なぜS&P500での資産運用はやめたほうがよいといわれるのか、理由を1つずつ見ていきましょう。
S&P500は「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社」が公表しているよ!
米国市場への依存度が大きい
S&P500は米国の株式市場全体の約80%の時価総額をカバーしています。そのため、米国市場への依存度が大きくなるといえます。米国経済が低迷した場合、S&P500への影響も大きくなるでしょう。
また、経済だけでなく米国の政治に左右される可能性もあり、リスクがあるといえます。
短期運用は安定しない
S&P500は、1年未満など短期間の値動きを予測することが難しいため、短期運用では収益が安定しにくい傾向にあります。
1年単位で見ると、2002年の-23.8%や2008年の-37.6%など大幅なマイナスを記録する場合も。また、短期投資は売買タイミングの判断などのスキルが必要になることも、収益が安定しないといわれる要因です。
S&P500で短期運用は難しい!
急激な価格変動の恐れがある
S&P500は前述のとおり米国市場に100%依存しているため、金融政策や政治的な要因によって株価指数が急激に変動する可能性があり、大きな損失につながる可能性があります。
たとえば、2008年のリーマンショック時にはS&P500は約1年半で50%近くも下落し、その影響は長期間にわたって続きました。
急激な価格変動がおこれば、資産を大幅に減らしてしまうでしょう。そのため、S&P500には手を出さないほうがよいといわれているのです。
S&P500を運用するときのポイント
S&P500は米国市場への高い依存度や短期運用での不安定な収益などから手を出さないほうがよいといわれる一方で、リスクを分散して長期的に運用することで手堅くリターンを得られる可能性が高まります。
リスクを分散する
S&P500だけでの運用は米国市場への依存度の高さからリスクが大きくなってしまうため、リスクを分散して運用するのが望ましいでしょう。
株式買いの金融商品と組み合わせることで、リスクを抑えられます。たとえば、債権や貯蓄型保険などの、株式とは異なる性質を持つ資産を複数持つことが挙げられます。金(ゴールド)との組み合わせも分散効果に期待できるでしょう。
また、S&P500は米国市場への投資となるため、他の地域への分散も検討するとよりリスクを抑えられるかもしれません。
S&P500を運用する際はリスクの分散を心がけよう!
長期的に運用する
S&P500は短期的に見ると大きな価格変動があるものの、長期的には上昇トレンドを形成しています。そのため、長期的に運用することでリターンを得られる可能性が高まるといえるでしょう。
米国市場は1982年以降、ブラックマンデーやITバブル崩壊、リーマンショックなどの危機を乗り越えて、40年以上にわたり力強く成長し続けています。今後も下落の局面があるかもしれませんが、長期的に成長することが予想されます。
長期運用のコツとしては、毎月少しずつ積み立てていき、株価と為替の変動リスクを平均化することです。また、運用資金を5年程度にわけて投資することで、市場に危機に対するリスクを分散できます。
なお、短期で大きな利益を求める場合はFXや仮想通貨が適しているかもしれません。一方で、長期的な安定性を重視する場合は、S&P500は魅力的な選択肢といえるでしょう。
S&P500は長期で見ると安定している!
S&P500やFXはどのような人に向いているのか
S&P500が向いている人
S&P500は、以下のような方に向いているといえます。
S&P500が向いている人
・安定的なリターンを求めている
・投資に時間をかけたくない
短期的には上下動が激しいものの、10年以上の長期で見ると年あたり平均9%以上のリターンを記録しています。そのため、長期で投資したいという方や安定したリターンを求める方に向いているといえるでしょう。
また、長期投資の場合は分析や情報収集に時間をかける必要がないため、日々忙しい方にもおすすめします。
一方で、短期間で高いリターンを求める方には向いていないといえます。
コツコツと積み上げたい方におすすめ!
FXなどのハイリスク商品が向いている人
FXなどのハイリスク商品は、以下のような方に向いています。
FXなどのハイリスク商品が向いている人
・相場分析やチャート分析が得意な人
・リスクを取って高いリターンを目指せる人
・為替変動に関する知識が豊富な人
・損失を許容できる資金的余裕がある人
FXはレバレッジをかけることで大きなリターンが期待でき、短期的な値動きで利益を積み重ねていくことが主流の投資です。日々チャートや市場動向の分析ができ、短期的な値動きで利益を狙える方に向いているといえるでしょう。
大きなリターンを狙える反面、高いリスクを取らなければなりません。そのため、資金的に余裕のある方におすすめできます。
長期的に安定したリターンを求める方は、FXなどのハイリスク商品ではなくS&P500を選んだほうがよいでしょう。
FXなどのハイリスク商品は余裕資金で運用しよう!
S&P500とハイリスク商品の比較
S&P500の強みと注意点
S&P500には、以下のような強みがあります。
S&P500の強み
・500社への分散投資によりリスクを軽減できる
・情報収集がしやすい
・他国の影響を受けにくい
前述のとおり長期的に安定したリターンが見込めるほか、米国の主要大型株で構成されているので情報収集がしやすいことや他国の影響を受けにくいことも強みです。
一方で、米国経済が今後も永続的に成長するとは限らないことや、短期的には大きな損失を抱える可能性がある点には注意しなければなりません。また、米国のみへの集中投資となるため、地域分散という観点では偏りがでてしまうことも注意点のひとつです。
より安定したリターンを得たいなら地域も分散して投資!
FXなどのハイリスク商品の強みと注意点
FXなどのハイリスク商品の強みは、以下のとおりです。
FXなどのハイリスク商品の強み
・短期的に利益を狙える機会が多い
・24時間取引できる
少額資金でもレバレッジをかければ大きな利益を狙えることが、FXなどハイリスク商品の最大の強みといえます。また、為替相場は24時間動いているため、仕事や家事で時間を取りにくい方でも取引が可能です。スキャルピングなどの短期取引を繰り返す手法であれば、取引機会も十分に得られるでしょう。
一方で、レバレッジをかけられる分リスクが大きくなることには注意しなければなりません。また、レバレッジをかけるほど損益が大きく動くため、感情的になりやすいという点にも注意が必要です。冷静に取引するためには、相応の分析スキルや経験が求められるでしょう。
FXは特に相場分析が重要!
S&P500はやめたほうがよい理由 まとめ
S&P500は米国への依存度が高く、短期運用には向かないなどの理由からやめたほうがよいといわれますが、リスクを分散して長期的な運用を心がければ、安定したリターンを得られる可能性が高まります。
短期的に大きなリターンを得たい場合はS&P500ではなく、FXなどのハイリスク商品が向いているといえます。どのように運用したいのかを明確にした上で、自身にとって適切な投資商品を選択しましょう。