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海外で人材を雇うとき、多くの企業がまず思い浮かべるのは「現地法人の設立」です。
しかし近年は、法人を作らずに雇用できるEOR(雇用主代行)という選択肢も広まっています。この2つは何が違い、どちらを選ぶべきなのか。
この記事では、コスト・期間・リスク・向いている場面の4つの観点から整理します。EORの基本をまだ読んでいない方は、先に目を通すと理解が早くなります。
結論:小さく早く始めるならEOR、長期・大規模なら現地法人
判断の軸は「その国で何人を、どのくらいの期間雇うか」です。
少人数・短期・お試しの段階ではEORが有利で、同じ国で人数が増え長期化するほど現地法人設立が有利になっていきます。まずは両者の違いを具体的に見ていきます。
| 観点 | EORが向く | 現地法人が向く |
|---|---|---|
| コスト | 初期コストが低い | 固定費だが規模で逓減 |
| 立上げ期間 | 数日〜数週間で開始 | 設立に数か月・費用大 |
| 撤退 | 容易 | 清算に手間 |
| 向く場面 | 少人数・短期・テスト | 多人数・長期・拠点機能 |
少人数・短期はEOR、多人数・長期は現地法人が目安です。
EORと現地法人の4つの違い
立ち上げのコスト
現地法人を設立する場合、国によっては設立費用が100万円を超えることもあり、相応の初期投資が必要です。
さらに、従業員が少人数であっても、決算・税務・給与計算・経費精算といったバックオフィス業務が継続的に発生します。これらを現地の専門家に外注すれば、その分のコストも積み上がります。
一方EORは、自社で法人を持たないため設立費用そのものが発生しません。代わりに、EOR事業者へのサービス利用料(プラットフォーム手数料)を支払う形になります。
EORの手数料は従業員の給与や現地の税・社会保険とは別であるため、EORの総額は手数料だけでなく、給与と現地の法定費用を合わせて考える必要があります。具体的な内訳はEOR料金の内訳で解説しています。
事業開始までの期間
現地法人の設立は、事業開始までに1年から1年半程度かかることも珍しくありません。登記や各種申請の手続きが複雑なため、進出のスピードを重視する場合、この期間は大きなハードルになります。
EORの場合、すでにEOR事業者が現地に持つ雇用の仕組みを使うため、立ち上げが大幅に短縮されます。ケースによっては1週間程度で雇用を開始できることもあります。「まず人を採用して市場を見たい」というスピード重視の進出と相性が良い手段です。
撤退時の負担
見落とされがちですが、撤退のしやすさも両者で大きく異なります。
現地法人を設立した場合、事業をたたむ際には法人の清算手続きが必要になり、これにも時間と費用がかかります。
EORであれば自社の法人がないため、法人清算の必要がありません。新規市場のように成功が読みきれない進出では、この「撤退コストの軽さ」がリスク管理の面で効いてきます。
コンプライアンスのリスク
「法人も作らず、EORも使わず、現地の人と直接業務委託契約を結べばよいのでは」と考える企業もあります。
しかしこの方法は、実態が雇用に近い場合に偽装請負などのコンプライアンス違反と判断されるリスクがあります。
EORは現地の労働法に準拠した正式な雇用の形を取るため、このリスクを避けやすいのが利点です。業務委託との違いはEORと業務委託の違いで詳しく扱います。
どちらを選ぶべきか:判断の目安
4つの違いを踏まえると、選択の目安は次のように整理できます。
- EORが向いている場面:海外進出の初期段階、テストマーケティングの期間、少人数の採用、撤退の可能性を残しておきたいとき
- 現地法人が向いている場面:同じ国で長期的に多くの人を雇う方針が固まっているとき、現地で直接売上を立てる事業を行うとき
コストの面では、同じ国での雇用人数が一定数を超えると、EORの手数料の累計より現地法人を持つ方が見合う段階が来ます。この分岐点は国や給与水準によって変わるため、自社のケースで試算することが重要です。考え方と試算方法はEORと法人設立のコスト比較で具体的に解説しています。
分岐点の人数は、国の法人維持費やEOR料金で変わる概念図です。実際の損益分岐は試算が必要です。
EORを具体的に検討するには
EORが自社に向いていそうだと感じたら、次のステップは費用の全体像とサービスの比較です。費用はEORの費用相場で、主要サービスの違いはEORサービス比較で確認できます。
よくある質問
EORと現地法人設立では、事業開始までにどのくらいの期間差がありますか?
現地法人の設立は、登記や各種申請の手続きが複雑なため、事業開始までに1年から1年半程度かかることも珍しくありません。一方EORは、EOR事業者がすでに現地に持つ雇用の仕組みを活用するため立ち上げが大幅に短縮され、ケースによっては1週間程度で雇用を開始できることもあります。
現地法人を作らず、現地の人と直接業務委託契約を結ぶ方法ではいけませんか?
実態が雇用に近い場合、偽装請負などのコンプライアンス違反と判断されるリスクがあります。EORは現地の労働法に準拠した正式な雇用の形を取るため、このリスクを避けやすい点が利点です。
EORの費用は手数料だけで考えればよいですか?
EORの手数料は従業員の給与や現地の税・社会保険とは別に発生します。そのため、EORを利用する際の総額は、EOR事業者へのサービス利用料に加えて、給与と現地の法定費用を合わせて考える必要があります。
どのような場合に現地法人設立の方がEORより有利になりますか?
同じ国での雇用人数が一定数を超えると、EORの手数料の累計より現地法人を持つ方が見合う段階が来ます。また、同じ国で長期的に多くの人を雇う方針が固まっているときや、現地で直接売上を立てる事業を行うときは現地法人が向いています。なお、この分岐点は国や給与水準によって変わるため、自社のケースで試算することが重要です。
まとめ
EORと現地法人設立は、コスト・期間・撤退・コンプライアンスの4点で性格が異なります。
小さく早く始めたい段階ではEOR、長期・大規模で方針が固まっているなら現地法人というのが基本的な選び分けです。
判断には自社のケースでのコスト試算が欠かせないため、次は費用の全体像を確認することをおすすめします。
本記事は、EORサービス各社の公式情報および海外進出支援事業者が公開する解説情報をもとに、当サイトの編集ポリシーに沿って作成しています。設立費用や期間は国・条件により変動するため、最新かつ正確な情報は各提供元・専門家にご確認ください。情報は2026年4月28日時点のものです。
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