新しい市場を開拓するには、現地語で売り、現地の商習慣を理解した営業・事業開発人材が欠かせません。
AIプロダクトを世界展開する企業ほど、現地の市場開拓人材を求めます。一方で、営業系は雇用形態の選択に最も慎重さが必要な領域でもあります。
この記事では、市場開拓・営業系の役割ごとに、EOR・法人設立の使い分けと、PE(恒久的施設)課税という重要論点を整理します。役割全体の見取り図はAI時代に現地採用したい役割とEOR活用をご覧ください。本記事は一般的な情報であり、税務助言ではありません。
結論:契約締結権限の有無でPEリスクと雇用形態が変わる
現地で契約を締結する権限を持ち反復的に行使すると、その国にPE(恒久的施設)があると見なされ、現地で法人課税を受けるリスクが高まります。
このため、雇用形態の設計は次の方針になります。
- リード獲得や商談補助にとどめ、契約は本社で行う → EORで運用しやすい
- 現地で契約まで完結させたい → 法人設立を視野に入れる
PEはPE課税のリスクで詳しく解説しています。
市場開拓・営業系の主な役割
現地セールス・アカウントエグゼクティブ
現地語で商談を進めるセールスは、市場開拓の中核です。継続・専従で働くためEORでの正式雇用が基本ですが、PEの観点で「どこまでの権限を持たせるか」を事前に設計することが重要です。
商談・提案・関係構築までを担い、最終的な契約締結は本社が行う形なら、PEの懸念を抑えやすくなります。
逆に現地で契約まで完結させる体制にするなら、税務専門家に相談のうえ法人設立を検討します。
カントリーマネージャー・現地代表
現地拠点を率いるカントリーマネージャーは、事業判断や対外的な代表性を持つ重要な役割です。専従でEORでの正式雇用が基本ですが、対外的な契約権限や代表権を持たせるほどPEのリスクが高まり、本格的な拠点機能を持たせるなら法人設立が適します。
「EORでカントリーマネージャーを置いて市場を試し、立ち上がったら法人化する」という段階的な進め方が現実的です。分岐点はEORから法人設立への分岐点をご覧ください。
ビジネスデベロップメント・パートナーシップ担当
提携先の開拓やアライアンスを担うBizDev・パートナーシップ担当も、市場開拓に重要です。
関係構築や交渉の準備が中心で、契約締結を本社が行うならEORで運用しやすく、現地で提携契約を締結する権限を持たせるならPEの論点が生じます。
役割に持たせる権限の範囲を明確にすることが、雇用形態の選択につながります。
マーケティング・デマンドジェネレーション担当
現地市場向けのマーケティングやリード獲得を担う役割は、対外的な契約締結を伴わないことが多く、PEの懸念は比較的小さい領域です。継続・専従ならEORでの正式雇用が向きます。
現地語のコンテンツや広告運用は現地人材の理解が活きるため、市場開拓の初期から置きやすい役割です。
市場開拓・営業系を採用する国の考え方
営業系は、展開したい市場そのものに人材を置くのが基本のため、国の選択は事業戦略で決まります。
重要なのは次の点です。
- その国の解雇規制やPEの扱い
- 営業に持たせる権限の設計
解雇規制は海外の解雇規制、国別の事情は国別ガイドをご覧ください。営業は成果連動の報酬設計も多いため、現地法に沿った報酬・解雇の取り決めも確認が必要です。
EORの選び方
市場開拓の初期は、現地法人なしで素早く営業人材を置けるEORが有効です。ただしPEの論点があるため、権限設計を税務専門家と確認したうえで使うのが安全です。
各社の比較はEORサービス比較、法人化の判断は分岐点の記事をご覧ください。
よくある質問
営業担当者をEORで雇用する場合、PEリスクはどう考えればよいですか?
現地の従業員が契約を締結する権限を持ち、反復的に行使するとPE(恒久的施設)があると見なされ、現地で法人課税を受けるリスクが高まります。商談・提案・関係構築までを担わせ、最終的な契約締結は本社が行う形にすると、PEの懸念を抑えやすくなります。
カントリーマネージャーをEORで採用することはできますか?
専従でEORによる正式雇用が基本ですが、対外的な契約権限や代表権を持たせるほどPEのリスクが高まります。「EORでカントリーマネージャーを置いて市場を試し、立ち上がったら法人化する」という段階的な進め方が現実的とされています。
マーケティング・デマンドジェネレーション担当はEORと相性がよいですか?
対外的な契約締結を伴わないことが多く、PEの懸念は比較的小さい領域とされています。継続・専従で働かせる場合はEORでの正式雇用が向き、市場開拓の初期から置きやすい役割です。
営業系人材を採用する国を選ぶ際に注意すべき点は何ですか?
展開したい市場そのものに人材を置くのが基本のため、国の選択は事業戦略で決まります。重要な確認事項として、その国の解雇規制やPEの扱い、営業担当者に持たせる権限の設計があります。また、営業は成果連動の報酬設計も多いため、現地法に沿った報酬・解雇の取り決めも確認が必要です。
まとめ
市場開拓・営業系(セールス・カントリーマネージャー・BizDev・マーケ)は、契約締結権限の有無でPEリスクと雇用形態が変わります。
権限を絞ればEORで運用しやすく、現地で契約完結なら法人設立を検討します。次はPE課税のリスクへ進んでください。
本記事は、海外雇用に関する一般的な情報を、当サイトの編集ポリシーに沿って整理したものです。税務助言ではなく、PEの判定は租税条約・各国税法・個別事情により大きく異なります。具体的な判断は必ず税務専門家にご確認ください。情報は2026年7月28日時点のものです。
このテーマの総合ガイドEOR導入・運用ガイド記事を読む →
