・モメンタムの基礎知識を知りたい方
・FXでの値動きの勢いや転換点を把握したい方
本記事のテーマ
FXはモメンタムの傾きでトレンド強弱を判断する
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
FX相場の値動きは、加速・減速を繰り返しながら推移します。こうした勢いを把握できると、トレンドの起点・転換点を予測しやすくなるため、エントリーや利確のポイントが掴みやすくなります。
そんなときに効果を発揮するのが、オシレーター系テクニカル指標である「モメンタム」です。シンプルな指標ですが、数値によって判断できるので視覚的に分かりやすいものです。
このページでは、モメンタムの基礎知識から計算方法、実践的な使い方まで詳しく解説します。
FXのモメンタムとは
モメンタムは英語の「momentum」が語源となっており、「勢い」や「はずみ」を意味します。モメンタムという名前の通り、相場の勢いやトレンドの方向性を把握するための指標です。
モメンタムで把握できること
・トレンドの方向性
さらに、モメンタムはローソク足よりも先行して相場の流れを把握できるため、より早い段階でトレンド転換を予測するのにも役立ちます。
オシレーター系テクニカル指標のひとつだけど、トレンドの押し目・戻り目、トレンド転換も把握できる汎用性の高い指標だよ!
モメンタムの計算方法
ここでは、モメンタムの計算方法を解説します。計算方法を知らなくてもFXトレードで使えるが、より理解を深めるために計算式を把握しておきましょう。
計算方法といっても、モメンタムの場合は簡単なものです。単純に、現在の価格を過去の価格で割るというもので、これにより「市場価格の変化率」を算出することができます。
モメンタムの計算式
このページでは、モメンタムのN(設定期間)=14に設定しています。10本~25本の間に設定することが一般的なので、実際に使う場合はこの期間で設定してください。
それでは、実際のチャート上にモメンタムを表示して、計算方法を確認してみましょう。
下記のチャートは、ドル円の1時間足です。現在レートは106.84円、14本前のローソク足の終値を確認すると、106.65円であったことが分かります。
<ドル円1時間足チャートに表示したモメンタム>
これを計算式に当てはめると、現在のモメンタムの数値は100.18(≒106.84÷106.65×100)と算出されます。
なお、モメンタムはローソク足が更新されるごとに、新たに計算します。そのため、チャート下部に表示されているモメンタムの数値も、同様の計算方法によって算出されたものです。
モメンタムの算出結果が、変動するライン(青線)として表示される
モメンタムの見方
モメンタムの数値で判断する
モメンタムは、計算結果によって見方が変わります。
モメンタムの数値が100を超えるときは、現在価格がN本前のローソク足の終値よりも高値にあることを意味しており、このときは上昇傾向にあると判断できます。
100を基準としたモメンタムの数値でトレンドの方向・値動きの勢いがわかる!
一方で、モメンタムが100を割るときは、現在価格がN本前のローソク足の終値よりも安値にあることを意味しており、このときは下降傾向にあると判断できます。
モメンタムの見方
・100を割る時は、現在価格がN本前のローソク足の終値よりも安値にある → 下降傾向
トレンドの方向・値動きの勢いを確認する
モメンタムの数値が100以上なら上昇傾向にあると判断できますが、数値が大きければ大きいほど、さらに上昇トレンドが強いことを意味します。
一方で、モメンタムの数値が100以下なら下降傾向にあると判断できますが、数値が小さければ小さいほど、さらに下降トレンドが強いことを意味します。
モメンタムの数値の見方
・100以下なら下降傾向 + 数値が小さいほど下降トレンドが強い
また、モメンタムのラインの角度が急であればあるほど、上昇(下降)が加速していると読み取ることができるため、短期間で上昇・下降の勢いが強まったことが分かります。
このように、モメンタムの数値・角度によって「トレンドの方向性」や「値動きの加速・減速」を把握できるのです。
モメンタムの数値の大小はトレンドの強弱を表す!
上昇局面・下降局面の転換点を見極める
モメンタムは数値100を目安に、上昇傾向と下降傾向の判断を行います、そのため、モメンタムのラインが100を抜けたタイミングは、上昇局面と下降局面が転換する基準となります。
モメンタムの反転サイン
・上昇中にモメンタムが100を下抜け → 上昇から下降に反転するサイン
ただし、トレンド中の押し目・戻り目でも100を行ったり来たりすることはよくあります。
トレンド転換ではなく、一時的に相場の流れが変化するポイント!
トレンド転換になるのか、一時的に相場の流れが変わるだけなのかは、実戦では他のテクニカル指標を併用しながら、複数の根拠をもとに判断しましょう。
モメンタムの使い方
レンジブレイクを狙うFX手法
モメンタムは、ブレイクアウトのエントリーサインとして活用することができます。
具体的には、モメンタムが横ばい状態のときに、モメンタムの安値を見つけたら水平線を引きます。この水平線を下抜けたら、売りエントリーのサインです。
買いの場合は、モメンタムの高値に水平線を引き、この水平線を上抜けたらエントリーします。
レンジブレイクのエントリーサイン
・モメンタムの直近高値にラインを引いて、水平線を上抜けたら買いエントリー
このとき、ローソク足にも同じように安値・高値のラインを引いて、「ローソク足のレンジブレイク」もエントリーサインとして加えてもOKです。
直近の安値・高値をブレイクしたら順張りエントリー!
押し目・戻り目を狙うFX手法
モメンタムは、トレンド中の押し目・戻り目を狙う手法も有効です。モメンタムの数値が100を下抜けした後に、再度100を上抜けしたら「押し目買いのサイン」となります。
一方で、数値が100を上抜けした後に、再度100を下抜けしたら「戻り目売りのサイン」です。
押し目買い・戻り目売りのエントリーサイン
・100を上抜けした後に、再度100を下抜けしたら「戻り目売りのサイン」
上記のチャートのように下降トレンドであれば、戻り目売りを狙います。100を超えるかどうかの微妙なポイントは無視して、100をしっかりと超えたときだけエントリーを狙っていきましょう。
エントリーサインの後に、トレンドが強まることもある!
トレンドラインの反発を狙うFX手法
押し目が浅い場合は、モメンタムが100を割らないことがあります。そのような浅い押し目、戻り目を狙うときは、モメンタムにトレンドラインを引きましょう。
ローソク足ではなく、モメンタムにトレンドラインを引く!
上昇トレンドで押し目を狙う場合は、モメンタムに下降トレンドラインを引きます。そして、ラインを上抜けしたら「押し目買いのサイン」です。
一方で、下降トレンドで戻り目を狙う場合は、モメンタムに上昇トレンドラインを引いて、ラインを下抜けしたら「戻り売りのサイン」となります。
浅い押し目・浅い戻り目のエントリーサイン
・モメンタムに上昇トレンドラインを引いて、ラインを下抜けたら「戻り目売りのサイン」
ダイバージェンスで反転を狙うFX手法
ダイバージェンスとは、ローソク足とテクニカル指標が反対方向に動くことです。これは、トレンドの終焉を予測する指標として意識されています。
ダイバージェンスの発生後に、上昇トレンドが崩れてるね!
具体的には、上記のチャートのようにローソク足が上昇しているにもかかわらず、モメンタムのラインは下降している場合、ダイバージェンスであると判断できます。
ダイバージェンスのエントリーサイン
・ローソク足が下降しているのに、モメンタムのラインは上昇している → 買いエントリー
ただし、エントリーの根拠としてダイバージェンスは使用できますが、トレンドに逆らった逆張りのエントリーになるため、リスクが高くなる点に注意しましょう。
トレンド転換のエントリーを狙う場合は、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析も踏まえて慎重に判断してください。
モメンタムの注意点
モメンタムは「ダマシ」が多い
モメンタムは、ローソク足よりも反応が速い分、ダマシが比較的に多いテクニカル指標です。
そのため、ダマシを防ぐための対策として、5分足など短期間のローソク足ではなく、1時間足以上のローソク足に表示させましょう。
設定期間は、最低でも10本以上の設定値がオススメ!
1時間足や4時間足などの上位足を確認すれば、短期間の意味のない上げ下げに惑わされることが減るため、モメンタムのダマシを回避しやすくなります。
なお、他のテクニカル指標を併用すると、ダマシを上手く利用することもできます。ダマシで利益を上げる方法について知りたい方は、以下のページをご覧ください。
売買サインの絶対的基準がない
じつはモメンタムには、「これ以上の水準は買われすぎ」「これ以上の水準は売られすぎ」といった明確な数値の目安がありません。
他の指標には「130以上は買われすぎ」とかあるよね……
そのため、モメンタムの数値だけでは、売りエントリーのサイン・買いエントリーのサインを判断しづらいという側面があります。
モメンタムの数値は、あくまでも数値100との乖離や、直近の安値・高値との位置関係、あるいはローソク足とのズレによって、エントリータイミングをはかるものです。
つまり、テクニカル分析をしているトレーダーの多くが意識する「絶対的基準=明確な数値」がないため、他のテクニカル指標と組み分けたほうが確度の高い取引になります。
小幅な値動きは逆張りできない
モメンタムの数値100を挟んで「小さく行ったり来たりするレンジ相場」では、エントリーは控えましょう。なぜなら、モメンタムは基本的に逆張りのエントリーサインはないからです。
レンジ相場において、モメンタムを目安に逆張りすることもできますが、利益を取れたとしても、順張りと比べるとわずかな利益になってしまいます。
モメンタムは順張りと相性の良い指標だよ!
リスクリターンを考えれば、わざわざ逆張りでエントリーする理由はないため、他のインジケーターと組わせるなど、より利益を追求できるトレード手法を探してみましょう。