・FXで意識すべきファンダメンタルズ要因を知りたい方
・ファンダメンタルズ分析で中長期投資&リスク管理を行いたい方
本記事のテーマ
世界経済のトレンドを読み取ってFXの利益に繋げよう
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
FXではファンダメンタルズ分析を行うことで、短期的に爆益を狙える相場や、エントリーを見送るべき相場などを見極められ、トレードを有利に進められます。
今回の記事では、代表的なファンダメンタルズ分析をご紹介します。ざっと頭に入れておくだけでもリスク管理に役立ち、詳しい知識として蓄えておくと実際の取引で利益獲得に繋がります。
ファンダメンタルズ分析とは?
FXのファンダメンタルズ分析とは、通貨の価値を決定する要因や経済指標、政治的及び地政学的な出来事など、マクロ経済の要素に焦点を当てた分析手法です。
主な要素には、国内外の金利政策、経済成長率、雇用状況、インフレーション率、貿易収支などが含まれます。これらの要因を分析し、通貨の将来の動向を予測します。
米国の「物価」に関する指標
米国消費者物価指数(CPI)
米国CPIは、米労働省労働統計局が、毎月15日前後の日本時間の22:30(夏時間は21:30)に発表する、米国のインフレ率を予測するための重要な統計データです。
都市部の消費者が購入する衣料や食料品など、約200項目の価格変化をデータ化したもので、変動率が激しい食料品や石油などエネルギー関連の価格を除いたコア部分の数値も同時に発表されます。
米国のインフレ率が金融政策の最重要ポイントなので、今では雇用統計と同じくらい重要な指数です。米国消費者物価指数は高いと、ドル需要が低下し、ドル円は下降する傾向があります。
<ドル円 リアルタイムチャート:4時間足>
米国小売売上高
米国小売売上高は、米国商務省センサス局が、原則毎月第9営業日の22:30に発表する、小売業・サービス業の売上を集計したものです。
米国における売上比率の高い「自動車及び同部品」は、販売セールの影響で数値に月ごとのブレが大きいため、自動車・部品を除いたコア部分が注目されます。
米国の個人消費はGDPの約7割を占めており、米国の景気・金融政策に大きな影響を与えます。米国小売売上高で良い数値が出ると、好景気から金利上昇となり、ドル円は上昇する傾向があります。
米国鉱工業生産指数
米国鉱工業生産指数は、FRBが毎月15日前後の22:30に発表する、米国製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産動向を数値化したものです。
GDPの発表が四半期ごとなのに対し、鉱工業生産指数は毎月発表されるため、米国景気動向の速報性を知る統計データとして注目されます。
米国鉱工業生産指数で強い数値が出ると、米国経済が強いと判断され、金利上昇からドル円は上昇する傾向があります。
ドル円を取引するなら、米国の経済指標は必ず確認しよう!
米国の「景気」に関する指標
米国国内総生産(GDP)
米国GDPは、米国商務省経済分析局が発表する名目GDPから物価変動を除いた、米国内で生産された財・サービスの付加価値の合計を表します。四半期ごとに、速報値・改定値・確報値の3回に分けて発表されます。
市場関係者が最も注目する速報値は、四半期ごとの翌月末(10~12月期のGDPであれば1月末)の22:30の発表です。
米国の金融政策に大きな影響を与えるGDP速報値は市場予測よりも強い数値が出ると、ドルの需要が増え、ドル円は上昇する傾向があります。
米国の「雇用」に関する指標
米雇用統計
米雇用統計は、毎月第一金曜日の日本時間の22:30(夏時間は21:30)に発表される、アメリカ合衆国の雇用市場の状況を示す統計データです。
非農業部門雇用者数・失業率・平均時給・労働参加率という指標から米雇用統計は判断されます。
米雇用統計の結果が良い場合、米国は経済が強いと見なされてドルの需要が増加し、ドル円が上昇する傾向があります。同時に、米国の政策金利が上昇する可能性があり、これもドル需要を高める要因となります。
ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算アウトソーシング会社であるADP社が、約50万社の顧客を対象に発表する雇用統計です。労働省が発表する雇用統計の2日前の水曜日(祝日の場合は前日の木曜日)の22:30に発表されます。
2006年から発表されている比較的新しい経済指標ですが、雇用統計の直前に発表されることから先行指標として注目されています。
ADP雇用統計の見方としては、雇用者数の前月との比較や各業種の雇用分布などを確認します。ADPが強いと2日後の雇用統計も強いと思われ、ドルの需要が増える傾向があります。
米国新規失業保険申請件数
米国新規失業保険申請件数は、米国労働省雇用統計局が失業者となって失業保険を申請する件数を集計し、季節要素を加味して発表されるものです。集計期間の翌木曜日の22:30に毎週発表されます。
米国新規失業保険申請件数は景気に敏感に反応すると注目されており、景気先行指数として見られています。
米雇用統計の基準日である12日を含む週は特に注目され、失業件数が増えると景気悪化で、逆に減少すると景気は強いと判断されドルが買われがちになります。
米国の指標は、大体22:30(日本時間)に発表!
世界の「金融政策」に関する指標
米国の政策金利
米国の政策金利は、アメリカの中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)が設定する、金融機関同士の融資金利を指します。
政策金利は、経済状況やインフレ率、雇用情勢などのファンダメンタルズに基づいて定められます。
米国の政策金利が上昇すると、外国から高金利環境の米国に資金が流入してドルの価値が上がり、ドル円が上昇する傾向があります。逆に、政策金利が下がると、ドルの価値が下がり、ドル円の為替レートも下がる傾向があります。
EUの金融政策(ECB理事会)
EUの金融政策は、ユーロ圏の金融政策運営を担うECB(欧州中央銀行)の政策理事会が決定します。
政策理事会は約6週間に1回の割合で開催され、開催日から約4週間後に議事要旨が公表、その後のECB総裁の記者会見が大注目されます。
ECBの政策理事会は、総裁、副総裁らの役員会6人と各国の中央銀行総裁で構成され、EUの金融政策の最高意思決定機関です。EUの金融政策はユーロの動向に強い影響があり、緩和政策でユーロ円は下降する傾向があります。
<ユーロ円 リアルタイムチャート:4時間足>
日銀の金融政策(日銀金融政策決定会合)
日銀の金融政策は、年に8回の日銀政策決定会合で決まり、金融緩和で円安と株高、金融引き締めで円高と株安が進みます。
アベノミクスでは、「黒田バズーカ」と呼ばれた金融緩和策で、円安と株高が急激に進むことになりました。
世界の先進国で日本だけが低金利を維持しており、世界中の投資家が日銀総裁の一挙手一投足に注目しています。特に、金融引き締め発言がされれば、大きく円が買われることになりそうです。
日銀の為替介入
日銀の為替介入は、日本の中央銀行の日本銀行が外国為替市場において、為替相場の動向を安定させるために行う干渉を指します。
極端な円安や円高時に、日銀は円を本来の価値に戻すために、「ドル売り・円買い介入」や「ドル買い・円売り介入」を行います。
日銀の為替介入時、ドル円は一時的に5円近くも急落するので先立ってショートを仕掛け、再び円安に戻るのを狙ってロングを仕掛けるのが定石です。ちなみに、2022年の24年ぶりの為替介入は145円台後半で行われました。
<ドル円 リアルタイムチャート:1日足>
要人発言
要人発言とは、米国や日本などの金融政策に影響力を持つ人の発言により、為替・株式相場に大きな影響が出る発言を指します。金融マーケットでは要人発言カレンダーなども作られているほど注目されています。
FRBのパウエル議長、日本では財務官など、各国ごとに影響力の強い人はマーケットに注目されており、例えば、財務官の発言は日銀の為替介入に繋がると思われており、一気に円高が進むこともあります。
地政学的リスク
地政学的リスクとは、特定地域の政治的・軍事的・社会的な緊張が高まることで、特定の商品(原油やゴールドなど)の価格を変動させるリスクです。
通常、戦争や紛争などが生じた場合、政治的な混乱が続く国では外国からの投資が減少するため、通貨の価値が低下します。また、「有事の金買い」といわれ、ゴールド(GOLD・XAUUSD)が短期〜中期的に急騰する傾向もあります。
<GOLD リアルタイムチャート:1日足>
戦争と原油価格の関係
戦争が勃発して世界的に緊張が高まると、原油生産や輸送に影響が出るため、原油価格は上昇する傾向があります。
さらに、主要な原油生産地域である中東で紛争が起こると、原油価格は上昇して、原油輸入国(日本・米国・EU諸国)の通貨が下落する可能性もあります。
政治的不安定さや国際関係の緊張、地域的な紛争やテロリズムが生じた際は、原油をCFD取引しないトレーダーの方も、必ず最新ニュースを確認して戦略を組み立てましょう。
<WTI原油 リアルタイムチャート:1日足>
米国大統領選(2024年限定)
米国大統領選挙は、2024年11月に行われますが、この結果次第では米国の金融政策がひっくり返ることにもなりかねないため、世界中の投資家が大きな関心を持って見守っています。
民主党政権が続くと予想する向きは、ドル高(円安)、株高が継続すると見ており、現在の強い相場が作られています。共和党が復権する場合には、想像もつかないような状況に金融市場が見舞われる可能性も指摘されています。
年末は特に円安になりやすいから要注意!
FXのファンダメンタルズ分析 まとめ
「大衆心理」を読む力が必要
ファンダメンタルズ分析を行う上で、大衆心理を読む力は必要不可欠です。
例えば、米雇用統計の結果が良いとドル円は上昇する傾向があります。しかし、これは為替ディーラーや大口投資家なら誰もが持っている知識なので、大衆心理の裏をかかれて、ドル円が予期せぬ動きを見せることも往々にしてあります。
大衆心理は慣れると簡単に読めるぞ!
また、原油価格の高騰などのスタグフレーションが起こっている場合、さらにそれも踏まえて相場の動向を予想する必要があります。
短期的なイベントを意識することも重要
ファンダメンタルズ要因とまではいわない、短期的なイベントを念頭に置いて取引を進めることもリスク管理の上では有効です。
輸入企業の決済日としてドル需要が増してドル円が上昇するゴトー日や、ロンドン市場の仲値が決まりポンド絡みの通貨ペアが急変動するロンドンフィックスなどにも注目しましょう。
短期的なイベントはリスク管理に役立てよう!
初めてのファンダメンタルズ分析は、毎月第一金曜日に発表される「米雇用統計」を活用するのがおすすめです。また、取引する通貨発行国の政策金利を意識するだけで、リスク回避に直結するので、経済指標や経済ニュースは必ずチェックしましょう。