・FXの研究をしても勝てない理由を知りたい方
・テクニカル分析の役割や価値に興味がある方
本記事のテーマ
ランダムウォークなFX相場でのスキャルピング手法
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
数ある相場理論の1つに「ランダムウォーク理論」というものがあります。
ランダムウォーク理論の概要は「相場はランダムに動くため予測できない」というものです。
例えば、コインを投げて裏が出るか表が出るかは2分の1の確率なので予想しても意味がないですよね。簡単に説明すると、これを為替の価格や株価の動きに当てはめたのがランダムウォーク理論です。
テクニカル分析を使ってトレードしているトレーダーにとっては役に立たない理論と思ってしまいますが、相場はランダムに動く要素も多いのでFXで柔軟な思考を持つためにも覚えておきたい理論です。
この記事では、ランダムウォーク理論の特徴について解説していきます。
ランダムウォーク理論とは
相場とは予測ができないもの
ランダムウォーク理論とは、値動きについての予測の不可能性を説明する投資理論です。この先価格が上がるか下がるか、どちらに動くかの確率は五分五分なので「予測は意味を持たない」という「確率論」を基にしているのがランダムウォーク理論です。
ランダムウォーク理論の強い根拠とされているのは「相場を変動させる情報は瞬時にマーケットに広がる」ということです。つまりテレビやネットなどで為替の情報を知ったころにはすでに価格に織り込み済みということです。
つまり、ランダムウォーク理論はニュースや指標発表を理由とした値動きが発生したとしてもそれは一時的なものに過ぎず、時間の経過とともに結局は予測不可能な値動きになると主張しています。
ランダムウォーク理論では「ファンダメンタルズ(情勢や市場心理)はトレンドを作るものではない」と定義
現在ではFXで勝つには未来の予測より過去の値動きを重視することが大切と言われています。それに対してランダムウォーク理論では過去のトレンドやデータから将来の値動きを予測することも不可能であると定義づけしています。
つまりランダムウォークはテクニカル分析も真っ向から否定している!
FX相場の10%は規則的な「トレンド相場」
自然界でも天変地異や災害を予測することは不可能であり、FXの値動きも同じことが言えます。さらにFXではトレーダー達の心理が値動きに現れるため結果はより複雑になります。
なお、現在のランダムウォーク理論に立った研究の結果によると「90%以上はランダムウォークであるとされており、残りの10%にだけ規則性(トレンド)がある」と結論づけされています。
<分析手法と相反するランダムウォーク理論>
テクニカル派:「情勢や市場心理が反映されたチャートに一定の規則を持って動く」
↕︎
ランダムウォーク理論が真実なら株やFXは博打になってしまう!
このように一見するとランダムウォーク理論は、FXで勝つために分析手法を研究したり、市場のニュースを追いかけている私たちトレーダーの考えを全否定する無茶苦茶な理論のように思えます。
しかし、ランダムウォーク理論は統計的な研究から生まれたものなのです。
ランダムウォークは統計理論
ランダムウォーク理論は値動きを確率で分析したもの
ランダムウォーク理論は数理総計学に基づいて「ランダムに動く範囲を把握しよう」とする理論です。簡単に言い換えると、ランダムウォーク理論は統計学に基づいた確率論です。
そしてランダムウォーク理論で重要な要素となっているのが、確率論や総計学でも使われている「大数の法則(たいすうのほうそく)」と「中心極限定理(ちゅうしんきょくげんていり)」と呼ばれるものになります。
ランダムウォーク理論の要素
・中心極限定理(ちゅうしんきょくげんていり)
・その他の相場理論
ランダムウォーク理論自体は、FXだけでなく確率が関わるものであれば当てはめて使うことができる汎用性の高い理論のようです。ただ、理解をするには難しいすぎます。。
理論の背景は少し難しいので、参考程度に覚えておけば大丈夫かと。。
ランダムウォーク理論①「大数の法則」
大数の法則はFXを勉強するにあたって聞いたことがある人もいるかもしれません。大数の法則とは、試行回数が多ければ多いほど結果が確率に近づいていくという法則です。
例えば、サイコロを振って1の目が出た回数を記録していった場合、10回中1回も1の目が出なかったとしても、1000回、10000回とサイコロを振る回数を増やせば増やすほど結果的に1の目の出る回数は6分の1という確率に実際の出目が近づいていきます。
このように、より多くの試行回数であるほど「真の平均値」に近づくことを大数の法則といいます。
ランダムウォーク理論②「中心極限定理」
中心極限定理は世論調査の結果の算出にも使われているもので、大数の法則を補足する形で使われる確率の誤差を修正する定理となります。
例えば、サイコロを振って出る目はどの目であっても等しく6分の1の確率で出ます。
しかし実際には、サイコロを6回振ったところで全ての目がちょうど1回ずつ出るという可能性はかなり低く、サイコロを振った数の合計の確率分配は正規分配と呼ばれる形になります。
つまりサイコロを振る母数に関わらず下図のような左右対象の正規分布を形づくるという法則です。
<正規分布のイメージ>
出典:Wikipedia
このような状況に中心極限定理を使うことで、計算結果と実際の結果に対する誤差を埋めることができるのでより現実に近い確率を求めることができます。
「ボリンジャーバンド」でランダムな値動きを予測する
現在も多くのトレーダーに人気がある「ボリンジャーバンド」は、実はこのランダムウォーク理論を基にジョン・ボリンジャー氏が1980年に開発したテクニカル指標です。
ランダムな値動きの範囲を正規分布内に収めることによって、単なる過去の値動きの状態を表示するだけでなく将来の値動きを確率で予測することが可能なテクニカル指標となりました。
ゆえに、ボリンジャーバンドは、FXのランダムな相場を確率的な視点から分析する唯一のテクニカル指標であり、ランダムウォークする市場に対して非常に有効なものと言われています。
なお、ボリンジャーバンドを活用したFXでのエントリーポイントの探し方については下記の記事で詳しくご紹介しています。
ランダムな相場で勝つためのポイント
10%の規則性(トレンド)を見つける
スキャルピングをする立場としては(テクニカル分析を否定する)ランダムウォーク理論は受け入れがたい法則ですが、「90%がランダムで10%にトレンドが発生」という考えにはある意味で同意できます。
この10%のトレンドを狙っていくことが、FXで勝つために重要です。
スキャルでポジション保有する時間は短く、相場と向き合う時間も10%ほどです。つまり、明確なトレンドが生まれる10%の時間だけポジションを保有することが勝ちへの近道であると考えます。
スキャルピングの肝となるのがエントリーポイントですが、その頻度は少なく、インジケーターから「トレンドの発生を示すシグナル」が出た場面のみです。
つまり、このトレンド発生の10%を見つける作業はスキャルピングで稼げるエントリーを探す行為と同じ作業と言えます。
トレンドが発生した時だけエントリーして素早く利確するのがスキャルの基本!
また、スキャルピングの場合はトレンドが発生した際に深追いをせず「90%のランダム相場に戻る前」に利益を確定する点も大きな強みです。
デイトレやスイングトレードのようにポジション保有の時間が長くなるほどランダム相場に巻き込まれる!
取引ルールを徹底する
ランダム要素の強い相場で勝ち続けるためには、「規則的なルール」を守ることが非常に重要となってきます。
FXで守るべき取引ルール
・損切りルール
・資金管理ルール
上記のようなルールを守れずに、値動きだけでなくトレード手法や資金管理もランダムになってしまうと、FXで勝つためには運の重要性が高まってしまいます。
すべてがランダムな状態でいくら勉強して経験を積んだとしても、それはただのコイン投げを練習しているようなものに過ぎません。
ランダムウォークの中で勝率を高めるためには、ルールをしっかりと用意してそのルールを守りながらトレードを続けていく必要があります。
相場がランダムであるならスキャルは規則正しく機械的にする方が良いということね
トレードに規則性が生まれることによって改善点も見つかり、トレードを続けるなかでFXにちょっとした規則性があることも気づくことができるようになります。