・エリオット波動&フィボナッチをFXで活用したい
・エリオット波動が使えないと言われる理由を知りたい
本記事のテーマ
エリオット波動はフィボナッチと組み合わせて3波を狙う
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
このページでは、エリオット波動が使えないと言われる理由を解説しつつ、もっとも確度の高いエリオット波動の第3波を狙った「スキャルピング」の手法をご紹介します。
スキャルピングのエントリーポイントとして、「エリオット波動の3波目」が最重要です。第1波・第5波を狙うスキャルパーもいますが、その中で「第3波に絞ったトレード」にこだわる理由をお伝えします。
最後まで読むと、「エリオット波動」と「フィボナッチ・リトレースメント」を組み合わせることで、第3波のエントリー精度が上がる理由がわかり、すぐに実践で使えるようになります。
エリオット波動が使えないと言われる理由
エリオット波動には「理論」と「実践」がある
FXのエリオット波動が使えないと言われる理由は、理論と実践の区別がついていないからです。結論から言うと、エリオット波動は使えます。
エリオット波動は「理論」と「実践」を区別することが重要!
詳しくは後述しますが、エリオット波動の投資理論は「上昇1波~5波」と「下降1波~3波」をエントリータイミングの目安にするものです。
一方で、エリオット波動の実践は「フィボナッチと併用して3波だけを狙うトレード手法」になります。そのため、エリオット波動の理論だけを見て、自分には難しくて使えないと考えてしまう方が多くいるのです。
エリオット波動は理論と実践の違いが大きい分析手法である
エリオット波動を実際に使ってみると、「チャートが完成した後じゃないと判断できない」「結局、エリオット波動は使えない」など、理論と実践の違いに悩む方が多くいます。
なぜなら、実際のチャートでは理論通りのキレイな値動きは少ないからです。エリオット波動の理論に詳しくなっても使えないのでは意味がありません。
エリオット波動の理論を把握した上で、実践の使い方を習得しよう!
そのため、このページではエリオット波動を「理論」と「実践」に分けて解説しています。理論のままでは使えないこともあるので、実践ではフィボナッチと組み合わせましょう。
以下で解説する「エリオット波動の理論」を把握したうえで、「エリオット波動の実践」で紹介している第3波を狙うフィボナッチ手法を参考にしてください。
エリオット波動とは
エリオット波動の理論とは、相場のリズムを「波動」で定義したものです。
投資家の心理が反映されるチャートパターンを「波」として説明しており、相場が今どの局面にあるかを把握したり、新たなトレンド発生を予測したりするために利用します。
相場のリズムを「波」で見ると、視覚的にわかりやすい!
具体的なパターンは、「上昇5波・下降3波」と呼ばれるものです。
つまり、「上昇5波・下降3波」がひとつのサイクルになり、チャート上では「このサイクルが繰り返される」という考え方がエリオット波動の基本となります。以下で詳しく見ていきましょう。
上昇するときは「上昇5波の上下動」
エリオット波動の理論には「上昇5波」と呼ばれるサイクルがあり、これは上昇トレンドにおける上下動のことを意味します。
例えば、勢いのある上昇トレンドだとしても、上げ下げをしながら上昇するため、ずっと上がり続けることは基本的にありません。つまり、その上げ下げを「上昇5波」と理論づけているのです。
上昇5波の値動きはそれぞれに特徴があり、エリオット波動の理論によって「今の状況は第1波~第5波のどの波に該当するのか」を把握することで、相場状況がわかりやすくなります。
エリオット波動の上昇5波ーそれぞれの値動き
また、上昇5波には条件が3つあります。
1つ目は、「上昇2波は上昇1波の起点よりも下がることはない」ことです。これは、上昇トレンドが発生したときの始値を、第2波は下抜けないという意味になります。そのため、第2波が第1波の始値を下抜けた場合は、理論から外れていると判断します。
2つ目は、「上昇3波はもっとも長い波になる」ことです。これは、ひとつのサイクルの中で第3波がもっとも値幅が広くなることを意味します。
仮に、第1波・第5波が最長となった場合は、理論から外れていると判断するか、あるいは時間軸を変えて、キレイにサイクルになっている時間軸に変更することも可能です。
3つ目は、「上昇4波は上昇1波と価格帯が交わることはない」ことです。これは、第1波で付けた高値よりも、第4波で付けた安値のほうが上に位置することを意味します。
3つの条件を満たしていると、確度の高い取引ができるよ!
ただし、エリオット波動は「上昇5波の起点をどこにするか」によって、波のカウントの仕方が変わります。これは見ている時間軸で違いますが、サイクルとして機能していれば問題ありません。
例えば、4時間足を見ているAさんが第1波と見ていたとしても、1時間足を見ているBさんはすでに第3波として見ている場合があり、起点によってアバウトな一面があると理解しておきましょう。
エリオット波動 上昇5波の条件3つ
下降するときは「下降3波の上下動」
エリオット波動の理論には「下降3波」と呼ばれるサイクルもあります。これは上昇5波による上昇トレンドが終わった後、下降基調になったときの上下動のことです。
下降3波にもそれぞれの値動きに特徴があり、エリオット波動の理論によって「トレンド転換やレンジを示唆するテクニカル指標」として意識されます。
下降3波がキレイなサイクルになった場合は、3波の後に続落する可能性が高まるため、買いポジションの損切りライン、あるいは売り増しのタイミングの目安にしましょう。
エリオット波動の下降3波ーそれぞれの値動き
なお、「上昇1波・上昇3波・上昇5波」と「下降1波・下降3波」は、「衝撃波」と呼ばれます。これは、トレンド方向に価格が伸びる推進波のことで、衝撃波の中でも上昇3波が重要視されます。
一方で、「修正波」と呼ばれる波もあります。これは、「上昇2波・上昇4波」と「下降2波」が該当し、相場の調整局面で現れる波のことで「調整波」とも呼ばれます。
つまり、エリオット波動理論のサイクルは、推進波(衝撃波)と修正波(調整波)によって上げ下げを繰り返して形成されるということです。
推進波(衝撃波)とは
<「上昇1波・上昇3波・上昇5波」「下降1波・下降3波」>
修正波(調整波)とは
<「上昇2波・上昇4波」「下降2波」>
以上がエリオット波動の理論における「上昇5波・下降3波」の基本ルールです。
なお、1つの波の中には、さらに小さな「上昇5波・下降3波」があり、大小の「上昇5波・下降3波」のサイクルで、値動きは形成されているというのがエリオット波動理論の考え方です。
エリオット波動の上昇3波目を待つ【理論】
上昇3波目を重要視する理由
ダウ理論の延長線上にあるエリオット波動理論では、「直近高値を上回って上昇したとき」と同じ値動きである上昇3波が、「ダウ理論のトレンド転換点」にあたります。
つまり、上昇トレンドの転換点となる3波では、多くの投資家が「買い」に向かい、結果としてもっとも長い波となって上昇幅を大きく広げることになります。
「ダウ理論」と「エリオット波動理論」の両方が根拠になるのか!
ダウ理論やエリオット波動理論について解説されるとき、トレード上級者の多くが「3波を狙え」と口酸っぱく言いますが、それには3波動目に明確なエントリーの優位性があるからです。
さらに、じつは1波と5波の使い方は、それぞれに難しいとされる理由があります。これがエリオット波動は「理論だけでは使えない」と言われる理由でもあるので、以下で詳しく紹介します。
上昇1波目は逆張りのために狙いづらい
上昇1波はそれまでのトレンドと反するため、始まりは逆張りとなります。つまり、なんらかの理由で始まった逆張りの勢いが勝ったことによって、1波目が生まれるということです。
トレンドに反する逆張りは、相場の節目が見えていないと難しい
また、節目は破られるとストップ注文が発生しやすいため、場合によっては順張り側の格好のターゲットとなります。
売り買いが交差する節目にはダマシも発生しやすく、この辺りの判断が難しいので上昇1波を目安にしたトレードはリスクが高いと判断しています。
上昇5波目のトレンド終了は突然に訪れる
上昇5波目は、それまでの推進3波動を経て、ハッキリとした上昇トレンドになっています。
しかし、トレンドが発生して一方向に価格が大きく伸びたということは、その3波動の間で含み益が出ている方が多くいることを意味します。
そのため、虎視眈々と利益確定の機会を待っているトレーダーが増えており、安易にトレンド方向に仕掛けると、急にハシゴを外される危険性があります。
トレンドの深追いは「高リスク・低リターン」になりやすい!
トレンドをつかんで3波動で利益を上げた後に、調子に乗って5波動目で深追いをしてしまい損失を出した経験がある人も少なくないでしょう。
以上が、上昇1波目と5波目が手を付けづらい理由となります。
つまり、上昇3波目は1波目と比べるとトレンドが明確であり、5波目と比べると利益確定をしようとしているトレーダーが少ないので優位性が高いということです。
上昇3波目がもっとも優位性が高い理由
・上昇5波目は、トレンド転換や調整による下落局面になるのでリスクが高い
・上昇3波目は、トレンドが明確であり、多くの投資家が買う局面なので利益が伸びやすい
フィボナッチでエリオット波動の上昇3波目を狙う【実践】
フィボナッチ・リトレースメントで転換点を予測
ここまでは、エリオット波動理論の基本を説明しましたが、実際のチャートでは「上昇5波・下降3波」が常にキレイに形成されるわけではありません。
エリオット波動理論の基本を理解したら、実践での使い方を学ぼう!
ゆえに、エリオット波動の実践では「フィボナッチ・リトレースメント」との組み合わせで活用すべきです。なお、フィボナッチを使った相場動向の見方は、下記の記事でご紹介しています。
ここからはエリオット波動の実践として、米ドル/円の15分足チャートを例に解説します。実践では、フィボナッチと併用しながらエリオット波動理論の上昇3波だけを狙います。
短期のスキャルピング手法は、全体感をつかむために15分足でチャートの値動きを俯瞰しましょう。
<ドル円15分足チャート>
上記のチャートでは、大きな陽線(110.855円ー110.980円付近)が出現したことで、それまでの下落から流れが変わって上昇トレンドになりましたが、111.000円付近でこの上昇が一度止まりました。
ここで、直近の上昇を1波目と見て、エリオット波動と相性の良いフィボナッチ・リトレースメントを使います。
フィボナッチ・リトレースメントは、画像のように上昇1波目の「起点を100.0」「高値を0.0」に合わせます。
そして、フィボナッチリ・トレースメントの61.8%戻し(100.911円)まで価格が落ちるのを待ちます。
フィボナッチリ・トレースメントの61.8%は黄金比と言われていて、押し目買い・戻り売りに最適のポイントとされます。価格が予想通り落ちてきたら、チャートを5分足に切り替えましょう。
より細かい値動きを見るために5分足に切り替えよう!
なお、フィボナッチ比率の「0.236」「0.382」「0.500」「0.618」をFXのテクニカル分析で応用したものが、フィボナッチ・リトレースメントです。フィボナッチ・リトレースメントは、トレンドの転換・続伸の目安としてエントリータイミングをはかるために使用されます。
<ドル円5分足チャート>
最初の61.8%のラインは、下がり方が激しいので見送ったほうが手堅いです。2回目のタッチでは勢いが落ち、しかも強く反発しました。
61.8%のラインで反発して、ダブルボトムの形にもなっているね!
ここが上昇3波目を狙った絶好のエントリータイミングであり、押し目買いの局面になります。
フィボナッチの利益確定ポイントと損切りライン
損切りは、直近安値の下(61.8%より下の位置)である110.880に逆指値を設定します。
エリオット波動は、損切りの目安がわかりやすい!
利益確定は、n値と呼ばれる位置を狙います。上記チャートの場合は1波目の上昇が19pipsほどで、押しの安値が110.900なので、110.900+19pipsで計算して、111.090に指値を設定しています。
N値とは
ちなみにデイトレードの場合は、値幅の広い上昇3波目なのでもう少し大きく狙ったり、5波目で部分的に利益確定するのが定石です。
今回は思惑通りに、利確ポイントの111.090付近で3波目が終わりました。
このようなやり方で、上昇3波目を狙った押し目買い(状況によっては戻り売り)をするのが、エリオット波動の実践を活かしたスキャルピング手法です。
【実践】エリオット波動トレードで注意すべき点
「エリオット波動×フィボナッチ」によるスキャルピング手法の注意点は、23.6%や38.2%、あるいは半値である50%戻し地点で、焦ってエントリーしないことです。
決済範囲の広いデイトレードの場合は、50%付近でエントリーして61.8%でナンピン買いのような手法もあります。
しかし、なるべく損切り幅を小さくして確実性を求めるスキャルピングの場合、ナンピン買いは上級者向けのテクニックなのでオススメできません。
23.6%や38.2%は押し目が浅すぎるため、よほど相場が見えていない限りはハシゴを外される危険性が高いので、この辺りで安易に押し目買い・戻り売りをするのはやめたほうがいいでしょう。
押し目の61.8%を下抜けた場合は、買いエントリーは控えるべき!
エリオット波動を用いたスキャルピング手法のまとめ
エリオット波動の上昇1波目と上昇5波目は、エントリータイミングや利益確定が難しいので、FX初心者の方はエリオット波動の3波目だけを狙いましょう。
基本的には推進波(衝撃波)と修正波(調整波)を流れを目安に、1波目を確認後、61.8%戻しからの反発を見て、トレンド方向にエントリーすることになります。
ただし、上昇1波目の61.8%戻しで、押し目が浅い場合やハッキリと破られた場合はエントリーを見送るのが堅実です。
「実践ではエリオット波動は使えない」というイメージもありますが、徹底的に上昇3波目だけを狙ってフィボナッチと組み合わせれば、精神的にゆとりのある状態で冷静にチャートを俯瞰できます。
ぜひスキャルピング手法に、「エリオット波動×フィボナッチ」を取り入れてみてください。