IRB-インサイド・レンジ・ブレイク
インサイド・レンジ・ブレイクとは
レンジの中で発生するクラスターからのブレイク
ブロックブレイクでは、小さな値幅内に密集しているローソク足の群れ(クラスター)から、有利な方向のブレイクを狙っていく方法でした。インサイドレンジブレイクは、その応用編となります。
まずチャートの動き方の中には、一定の値幅内で上げ下げを繰り返すレンジというものがあります。この動きで重要なのはトレンドが発生していない事です。
これは売り買いのポジションの圧力が拮抗する事により、いずれ一方の抵抗線をブレイクするまで、レンジ内で上下にスイングを繰り返します。
そしてレンジ内で発生した小さいクラスターを四角い枠で囲い、その上下にできた抵抗線からのコンパクトなブレイクを狙っていく手法となります。
このようにレンジ内で発生したクラスター枠からの抜け出しをインサイドレンジブレイクと言います。
トレンドの方向感を見極める
ブロックブレイクと同じように感じるかもしれませんが、インサイドレンジブレイクは、トレンドが発生していないレンジ内で起きる為、クラスターからの抜け出しの力が、上下どちらへ有利に働いているのかを確認して仕掛ける必要があります。
またレンジの特徴的な動き方をとらえる手法でもあります。レンジとは上下の抵抗線を突破するよりも、レンジ内に留まろうとする力が働きます。
これはいずれどちらか一方向にブレイクするまで、力を溜めている動きでもありますが、その時がくるまでの上下にスイングする動きを利用します。
そしてインサイドレンジブレイクでは、レンジ内である程度上下にスイングできるくらいの値幅が必要です。極端に狭すぎるレンジでは差益を取るのが困難になるためです。
例えば10pipsの利益を狙うのであれば、最低でも20pips以上の値幅のレンジである必要があります。
そしてインサイドレンジブレイクの活用するタイミングは、大きく3つのパターンに分けられます。実際のチャートとあわせて見ていきましょう。
インサイドレンジブレイクの活用するタイミング
1. レンジ抵抗線からの反転
これは大きなスイングを繰り返しているレンジの中で、上下にできた抵抗線から跳ね返され、レンジ内に戻っていく値動きをとらえる手法となります。
上記チャートはレンジの典型的な一例で、移動平均線(20EMA)を見ても上下の動きを繰り返し、トレンドが発生していないのがわかります。またレンジの上抜けをトライしていますが、きれいにレンジとクラスターの抵抗線にサポートされています。
まずここではレンジを外枠、そして中にできた2つのクラスターを内枠で囲む事ができます。1回目のクラスター枠内ではローソク足の実体部分が長いものが連続して、激しく売り買いの攻防が起きている事がわかります。
その後レンジ内に押し戻され、2回目のクラスター枠内では、少し穏やかな売り買いの後、2本の同時線が発生して、クラスター枠の抵抗線を下にブレイクしています。エントリーポイントは①のタイミングとなります。
こういったレンジの抵抗線付近になると、売り買いの力が交錯するため、必ずクラスター枠の抵抗線が、下へブレイクされたのを確認してから仕掛けていくようにしましょう。
また、ここでポジションを仕掛けていく場合、損切のラインは少なくともクラスター枠の上側の抵抗線がリミットであり、この手法の著者は損切のラインを10pips以内としています。
これはクラスターやレンジで出来た枠の特徴ですが、この枠の外側には損切り注文が溜まっていく傾向があります。上側の抵抗線の外側には売りポジションを持っている人の損切り、下側の抵抗線の外側には買いポジションを持っている人の損切りです。
このため2回目のクラスター枠とレンジ枠の上側が重複している抵抗線、この外側には売りポジションの損切り注文が溜まっています。
もし逆方向にブレイクした場合でも、損失は最小限に抑えるため、損切りの設定は必ず行うようにしましょう。
2. レンジ中間でのトレード
値幅の広いレンジでは、抵抗線付近だけでなく中間にクラスターが発生する事があります。これも有効なエントリーポイントとなる場合があるのでチェックが必要です。
このチャートでは値幅の広いレンジの中に、クラスターが4つも発生しています。点線で囲われた3枠については上記で解説した、レンジ抵抗線からの反転を狙ったインサイドレンジブレイクですが、4回目のクラスターはレンジのやや中間に発生しています。
ここでよく見てみると、2~4回目に発生しているクラスターは、底値が切り上がるように上昇しており、その全てがダブルボトムを描いて底値をサポートしています。これはレンジ内で上に押し進む力が、徐々に強まってきた事を意味しています。
そもそもレンジとはトレンドが発生していない状態ではありますが、レンジ内の動き方で、短期的な売り買いの強弱を見て取る事ができます。
そして4回目のクラスターでは、①-②で付けた価格のラインにサポートされるようにダブルボトムを描き、レンジDのレンジ底値に向かう事なく、クラスターの抵抗線を③のタイミングで上にブレイクしています。
当然仕掛けるタイミングは、この抵抗線をブレイクする時になります。
このチャートでは、後半にかけてやや上向きの圧力が増していますが、それでも4回目のクラスターでは、しっかりと上側の抵抗線がブレイクしてから仕掛けていく事が必要です。
しっかりとクラスターが発生する前の動きもチェックしながら、上がるだろうではなく、条件に基づいたポジション取りをしましょう。
3. レンジブレイク手前でのトレード
レンジは上下のスイングを繰り返し、いずれ訪れるレンジブレイクに向けて力を溜めていきます。そのレンジブレイク直前にもクラスターが発生するケースがあるのです。
最後に解説するレンジブレイク手前でのトレードは、こういったクラスターが発生し、条件を満たす場合、レンジブレイクより前にポジションを取っていく手法となります。
まずは下記チャートを見ていきましょう。
見ての通り上下の抵抗線が揃ったきれいなレンジで、その終盤にはレンジブレイクする直前にクラスターが発生しています。
そもそもレンジブレイクでは、ブレイクする側の抵抗線を抜けたタイミングで仕掛けていきますが、このチャートの場合は、レンジ下側の抵抗線のすぐ上にクラスターがあるため、先行してクラスター下側の抵抗線からのブレイクのタイミングでポジションを仕掛けていく事ができます。
つまりレンジブレイクするより少し前に、インサイドレンジブレイクが発生したため、先にポジションを取っておく事で、その後のレンジブレイクの試しを優位に臨む事ができるというわけです。
この手法を解説すると、それならレンジのもっと上側でポジションを持っておけば良かったのでは?と思うかもしれませんが、インサイドレンジブレイクは、レンジ内に発生したクラスターからのブレイクを狙った手法であり、条件に基づいたタイミングでポジションを取ります。
こちらのチャートでは、レンジの終盤で徐々に高値が切り下がり、徐々に下落の圧力が強まりつつある中でクラスターが発生し、レンジブレイク前の有効なエントリーポイントが提供されたわけです。
何も理由のないところで、単純なる値ごろ感でポジションをとるのはリスクが高まります。正しくポジションを仕掛けていくタイミングを理解し、レンジ相場でのトレードに活用していくようにしましょう。
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