数多くの金融商品がある中で、ゴールド(GOLD・金)はトレーダーに根強い人気があります。その理由は、テクニカル分析に素直な値動きする傾向があるからです。
テクニカル分析に素直に動くということは、ダマシが少なく、エントリーのタイミングを掴みやすいことを意味します。
この記事では、これからゴールド取引を始める方に、お勧めのテクニカル分析手法やエントリーのタイミングを具体的に解説していきます。
ゴールド取引の狙いどころとテクニカル分析の手順
「レンジブレイク」と「レンジ相場内」を狙う
テクニカル分析に素直であるほかに、ゴールドは値動きが激しいという特徴があります。特にレンジブレイク時にはゴールドが大きく値動きする傾向があるため、そのポイントを狙ったトレーダーが増えている印象です。
さらに値動きの激しさから、一定の価格帯で値動きするレンジ相場であっても、大きく行ったり来たりする傾向があります。そのためFXでは利益を出しにくいと言われるレンジ相場であっても、ゴールドの場合はしっかりと利益を狙えるのも人気の理由です。
ゴールドのエントリーはこの2つのチャートパターンに絞るべき!
なお、ゴールドがレンジ相場を作りやすい理由やスキャルピングで人気の理由をまとめた記事もきになる方はご覧ください。
ゴールドのチャートに水平線を引く
ゴールドの「レンジブレイクを狙ったトレード」や「レンジ相場内でのトレード」で利益を上げるには、水平線を使ったライントレードが基本です。
ゴールドで稼ぐためには、まずは水平線を正確に引くことが鍵となります。
金価格は世界中が注目。大衆に意識される価格帯を探すことが大切!
水平線を引く際に着目するポイントは以下の3つです。
大衆心理を意識した水平線の引き方
・何度も反発しているポイントに引く
・キリの良い価格に引く
上記3つの引き方が基本となりますが、この3つの中で「過去にもみ合った価格帯」は特に意識されやすいポイントとなります。
もみ合った回数が多ければ多いほど、もみ合った期間が長ければ長いほど、その価格帯はレジスタンスやサポートとして機能しやすくなります。
「もみ合いがあった」=「強い抵抗や支持のある価格帯」
また、スキャルピングなどの短期トレードであっても「日足などの上位足でもみ合ったライン」を見つけることで、意識される価格帯を把握しやすくなります。
ゴールドは節目での反発とブレイクにパワーがあるから水平線は重要
水平線の引き方やFXでの活用方法といった基本的なことを知りたい方は下記の記事をご参照ください。
テクニカル指標はボリンジャーバンドを使用
ゴールド取引に限らず、相場ではいつも水平線が機能するとは限りません。
水平線単独で方向感を判断することもリスクなので、他のテクニカル分析(インジケーター)との組み合わせも重視しましょう。
ゴールドの取引では「このテクニカル指標が鉄板」というものはありませんが、おすすめの組み合わせは、レンジ相場内での取引でもレンジブレイク時の取引でも使用できるボリンジャーバンドです。
ボラの高いゴールドには『水平線+ボリンジャーバンド』が最強
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドでは、移動平均線(SMA)を中心に上下に「σライン」が表示されます。
<GOLD先物 リアルタイムチャート:日足>
σの各ラインは「価格がσに収まる確率」を表しています。チャートでは+3σや-3σを表示させていますが、ボリンジャーバンドで最も注目されるのは+2σ・-2σです。
σ(シグマ)ラインの役割
・±2σに収まる確率・・・95.4%
・±3σに収まる確率・・・99%
値動きが落ち着いているレンジ相場では、ほとんどの場合±2σに収まります。反対にレンジブレイクした場合は強いトレンドが発生しやすく±2σを大きく突き抜けることになります。
ゴールド取引では特に±2σラインに注目が集まりやすい
ゴールドの「レンジブレイク」を狙うテクニカル分析
水平線の「レジサポ転換」狙い
実際のチャートを見てテクニカル分析を考えていきましょう。チャートで見られるレンジ相場では上限付近がレジスタンス、下限付近がサポートとして機能します。
ところがサポートラインを下方向にブレイクすると、今度はレジスタンスラインに変わります。ブレイク後、レジスタンスラインが機能したことを確認できたら売りエントリーが狙い目です。
さらにその後、過去にレンジ相場のサポートとして揉み合ったラインもブレイクします。ここでもレジスタンスとして機能したことを確認したら、追加でエントリーを行ってもOKです。
チャートのようにレンジブレイク後は、ブレイクした方向にはっきりとしたトレンドが出現することが多くなります。
ゴールドでうまくトレンドフォロー(順張りエントリー)ができた場合、含み益は大きく伸びます。さらに水平線をどんどん抜けていくような強いトレンドが発生している場合、ポジションを追加していってもよいでしょう。
ゴールドのトレンド相場は大きく稼ぐチャンスだぞ
水平線(サポートライン・レジスタンスライン)のレンジブレイクはFX初心者でも分かりやすいシンプルな手法なので、基本をしっかり抑えて上手に活用しましょう。
ボリンジャーバンドの「エクスパンション」狙い
レンジ相場からトレンド相場に移行する場合、ボリンジャーバンドの幅が大きく広がるエクスパンションという現象が発生します。エクスパンションが発生したことを確認し、バンドウォークが見られたらトレンドが進む方向にエントリーを行いましょう。
バンドウォークとは
チャートのように下降トレンドが発生しているときのバンドウォークでは、-2σに沿うように陰線のローソク足が形成されていきます。
反対に上昇トレンドが発生しているときは、+2σに沿うようにローソクが形成されていきます。
ローソク足がバンドに沿うように動くことはバンドウォークと言われ、ボリンジャーバンドの重要なパターンとなります。
バンドウォークはトレンド相場で決まって見られるパターンだ
バンドウォークが発生している間はポジションを持ち続け、利益を伸ばす姿勢で挑んで大丈夫です。
バンドウォークの発生はエクスパンションが引き金になることも多いので、この組み合わせを頭に入れておくことは大切です。
ゴールドの「レンジ相場」で稼ぐテクニカル分析
水平線の「逆張り」狙い
次にレンジ相場のゴールドで稼ぐ方法を紹介します。レンジ相場は一定のレンジ内で上下を繰り返す値動きが特徴です。
そのため、レンジの上限や下限付近で逆張りが狙い目になります。レンジの上限付近では売り、下限付近では買いを仕掛けることがセオリーです。
また、エントリーポイントはきっちり水平線上でなくても、ボラの高いゴールドの場合はゾーンで捉えればOKです。価格が水平線を多少はみ出していたり、届いていなくても反発している事実が非常に大切です。
節目での攻防が激しいゴールドは「ハッキリとした方向感」が出た後のエントリーが正解!
レンジ相場で逆張りを仕掛けるメリットはなんといっても繰り返しトレードができる点です。
新規の売りエントリー⇒売りポジションの決済&新規の買いエントリー⇒買いポジションの決済&新規の売りエントリーといったように、エントリーと決済を繰り返すトレードで利益を積み重ねていくことができます。
レンジ内での売買を繰り返すことで利益を積み重ねる!
注意点はレンジをブレイクしたときの対処法です。レンジを抜けると、ストップロスを巻き込みブレイクした方向に大きなトレンドが形成される可能性があります。
ストップロス注文を必ず入れることはもちろんですが、価格が上限付近や下限付近での反発を確認した後で「焦らずにエントリー」することが重要です。
ボリンジャーバンドの「±2σでの逆張り」狙い
レンジ相場ではボリンジャーバンドのバンド幅が狭まっているのが特徴です。
統計学的に見て+2σはレンジの上限、-2σはレンジの下限となる可能性が高いため、この性質を利用すれば+2σ付近で売りエントリー、-2σで買いエントリーを行うことでレンジ内の波を上手く捉えることができるはずです。
トレードの際はバンド幅が小さいことを確認し、+2σ付近でもみ合って下落し始めたら売りでエントリー、-2σ付近でもみ合って上昇し始めたら買いでエントリーを行います。
「ゴールドはテクニカル分析に従いやすい」と言われるポイントがこの±2σ内での動き!
チャートのようにレンジ相場でありながら緩やかに上昇している場合は、水平線が機能しにくくなります。しかし、ボリンジャーバンドを使用すれば水平線無しでも逆張りポイントを掴むことができます。
視覚的に分かりやすいことも良いポイントだ
バンドウォークが発生したら一気にトレンドが形成される可能性があるため、±2σで反発したことをしっかり確認してからエントリーを行いましょう。
ゴールドでテクニカル分析をするときの注意点
不規則な動きも想定する
ゴールドはテクニカルに素直な値動きをする傾向がありますが、これはあくまで傾向であって例外もあります。特に流動性が低い時は不規則に値動きする可能性が高くなります。
早朝など、市場参加者が少ないときは流動性が低くなりやすく、テクニカルが効きにくくなる可能性が高くなります。フラッシュクラッシュと呼ばれる相場の大変動も早朝の時間帯に発生することがあるので要注意です。
レバレッジも広い早朝のトレードは避けたほうが無難だ
相場環境によって分析の使い分けが必要
今回は水平線とボリンジャーバンドの使い方を紹介しましたが、それぞれのテクニカル分析は効果を発揮しやすいときとそうでないときがあります。
2〜3種類の分析方法を身に付け、相場環境に合ったテクニカル分析を使用することが大切です。直近のチャートを見ながら、その時に適した分析方法を使用しましょう。
テクニカル分析は絶対ではない