SB-セカンドブレイク
ファーストブレイク失敗の直後に起こるブレイク
セカンド・ブレイクとは
トレードをしている上で、信頼できるファーストブレイクは頻繁に起こるものではなく、不利な条件によりポジション取りを見送ってしまうケースは多々あるかと思います。
そんな後でも、場合によっては条件のよいエントリーのチャンスが生まれる事があります。これをセカンドブレイクと言います。
これはブレイクが2回連続しているような形であり、ファーストブレイクと同様に移動平均線(20EMA)周辺で発生する事が多く、またその特徴としてファーストブレイクとセカンドブレイクの間には足が1~4本程度しかありません。
また2つのブレイクがコンパクトにまとまって起こる事により、下落トレンドでは「M」のようなダブルヘッド、上昇トレンドでは「W」のようなダブルボトムの形を描きつつ、トレンドの底値をサポートするような恰好となるため、シングルトップの時よりも信頼できるエントリーポイントになります。
もみ合いの状態から、ゆるやかな下落トレンドが発生しています。
セカンド・ブレイクの有効性
ファーストブレイクはしっかりとした値の戻しから始まり、ある程度規則正しく斜めに進みながら、最低でも40%は値を戻している事が理想的であるため、ここでは①のエントリーを見送り、セカンドブレイクを待つ方が有効と言えます。
結果的に①を見送った後、②でセカンドブレイクが発生しました。狭い間に上値を2回試し、M字を描くような小さいダブルトップを形成して下落トレンドが継続しています。
ファーストブレイクで条件が合致しない場合、エントリーを見送りセカンドブレイクに賭けることでリスクを軽減させるトレードに繋がります。
チャートがなぜこのような動き方をするかの答えは、トレンド派と逆張り派のポジション取りの力関係にあります。
例えば、しっかりとした下落トレンドが発生している時には、順張りしているトレンド派は強気に売りポジションを仕掛けていきます。
逆張り派はこういった状態で、トレンドとは逆のポジションを持つリスクを知っている為、トレンドに逆行する値の戻しが2回も失敗した場合は、そのリスクを警戒してポジションを閉じていきます。
当然このタイミングでトレンド派がさらに流入するため、逆張り派が持っていた買いポジションの決済による売り戻しと、トレンド派の売り仕掛けにより、下落トレンドの圧力が再燃するという仕組みです。
セカンド・ブレイクの3つのエントリー条件
このセカンドブレイクにも有利に仕掛ける為の条件があり、次のような状況が理想的となります。
①全体的な圧力が明らかにトレンド方向へ向いている。
②トレンドから逆行する値の戻しが、ある程度規則正しく斜めに進んでいる。
③違う時間軸でチャートを見た場合に、明らかな抵抗線がないこと。
上記のようにセカンドブレイクの理想的なチャートは、ダブル同時線ブレイクと非常によく似ており、トレンドに逆行する値戻しの勢いが、弱まったタイミングで仕掛けていく手法になります。
条件にあてはまった有利な場面で仕掛けると良いでしょう。ただし、時として不利な条件でトレードを見送った後に、そのままブレイクしてしまう事もあります。
FXでは全てのレート変動を利益につなげる事は不可能であるため、結果論を追い求めるよりも、より勝率が良い場面のみ参加して、堅実に利益を積み重ねる方がよいでしょう。
それでは下記チャートとあわせて解説していきましょう。
このチャートでは1回目の値の戻しがトレンドに対して上下にぶれながら進んでおり、よく見ると1.368付近のラインでは、小さなダブルボトムを形成しています。
これにより逆張り派の買い圧力が強まる可能性があるため、①のファーストブレイクではいったん見送る方がよいでしょう。その後②のタイミングでセカンドブレイクし、下落トレンドが継続しています。
2回目の値の戻しでは、斜めに規則正しく陽線が形成され、先ほどダブルボトムを形成した1.368のラインを試すような形になっています。
③では同時線が発生していますが、慎重に直後のエントリーポイントを見送り、1.368のサポートラインより上に突破されないのを確認してから、④のセカンドブレイクで仕掛けていきます。最終的にこちらもM字を描くように上値がサポートされ、再度下落トレンドが発生しました。
ファーストブレイクとして不利な条件(Wボトム等)がある場合は、ハイリスクなポジション取りを避け、忍耐強く待つ事でセカンドブレイクのチャンスをトレーダーに提供してくれるのです。
最後に、すでにポジションを持っている時に、次のエントリーポイントがチャート上に現れてしまうケースについても触れてみたいと思います。
セカンドブレイクの注意点
セカンドブレイクが2度発生した場合
セカンドブレイクが2度発生した場合には注意と判断が必要です。次のチャートを参考に考えていきましょう。
①直後のブレイクを見送り、②でセカンドブレイクのポジションを持ったとします。その直後にやや横ばいぎみで③のセカンドブレイクがまた発生しています。こういった場面での選択肢は、下記3つがあげられます。
①新しいエントリーポイントは無視する。
②新しく発生したエントリーポイントも仕掛けて、それぞれ独立したポジションとして扱う。
③新しいエントリーポイントは無視するが、既存のポジションの利食い・損切りのラインを、新しいエントリーポイントを仕掛けていたら置くはずだったところに移動させる。
こういった場合、この手法の著者であるボブ・ボルマン氏は次の様に述べています。
「私が個人的に選ぶとすれば、最初のトレードを継続し、それが終わるまでほかのトレードは見送る。」
このように1を選択します。著書では物理的、心理的、テクニカル的、資金的な要素を全て考慮し、賢い選択をしなければならないとしています。
リスクがしっかりと管理できる選択肢を選ぶ事が賢明だと言えるのです。目の前のエントリーポイントに全て飛びつくわけではなく、バランスをとりながらセカンドブレイクを活用すると良いでしょう。