・ギャン理論について知りたい
・ギャン分析を使ったトレード手法を探している
本記事のテーマ
ギャン理論を用いた分析方法やトレード手法を徹底解説
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
今回の記事ではギャン理論の基本、提唱者ウィリアム・D・ギャンについて解説します。さらにギャン分析の使い方、おすすめのトレード手法、注意点についてもわかりやすく紹介します。
ギャン理論とは
ギャン理論は、テクニカル分析の一種ですが、独特な相場分析理論です。
相場を単なる「価格変動」と捉えるのではなく「価格」「時間」「サイクル」といった要素が絡み合い、一定のパターンが存在すると考える理論です。
相場の奥深さを理解したい人にとって魅力的で人気があります。
ウィリアム・D・ギャンが提唱した理論
ギャン理論は、20世紀前半に活躍した伝説的な相場師ウィリアム・D・ギャンが提唱した理論です。
ギャンは、1878年にアメリカで生まれ、幼少期から数学や天文学に強い関心を持っていました。20代の頃から株式市場での取引を開始すると「数学」「幾何学」「占星術」など、幅広い分野の知識を基に「相場の法則」を解き明かそうとしました。
ギャン理論は単なるテクニカル分析の枠を超え、宇宙の法則や自然のリズムが相場にも影響を与えているという考えが特徴です。

ギャン理論は数あるテクニカル分析のなかでも特に複雑!
ギャン理論の基本概念
ギャン理論の基本概念は、相場における「価格と時間の均衡」という考え方に基づいています。相場は常に変動していますが、その変動の中には一定の均衡が存在し、価格と時間のバランスが保たれているという概念です。
例えば、価格が一定の期間上昇した場合、その上昇幅に見合った時間の経過とともに、均衡状態に戻ろうとする力が働くと考えます。この均衡状態から大きく乖離した場合、相場は元の均衡状態に戻ろうとする力が働き、トレンドの「転換点」が発生すると分析できます。
さらにギャンは、長年の研究を通じて相場には一定のパターンやサイクルがあることを発見し、そのパターンを捉えれば将来の価格変動を予測できると考えました。



値動きは価格のほか時間軸も重要な要素!
ギャン分析への応用
ギャンは、「ギャン角度」や「ギャンスクエア」など独自の分析を用いて、この均衡状態を視覚的に捉え、相場の転換点やパターンを予測しようとしました。
ギャン角度は、価格と時間の関係を角度で表現したものであり、45度を基準として、そこから派生したさまざまな角度のラインを利用して相場を分析します。このラインは、「サポート・レジスタンスライン」と同様の役割を果たし、相場のトレンド転換を判断するのに役立ちます。
ギャンスクエアは、正方形のマス目の中に価格と時間を配置し、価格変動のパターンを分析するものです。
これらのツールは、ギャン理論を実際のトレードに活かす上で、非常に重要です。MT4などの取引プラットフォームでツールが提供されているため、多くのトレーダーが相場分析に活用しています。



相場ではあらゆるラインが意識される!
ギャン分析を用いたチャート分析方法
ギャン理論を実践するための主なチャート分析ツールは以下の3つです。
チャート分析ツール
・ギャンファン
・ギャングリッド
ギャンラインとギャンファンは「ギャン角度」の考えをツールにしたものです。ギャングリッドは「ギャンスクエア」を視覚的にわかりやすくチャートに表示するツールになります。
ギャンライン
ギャンラインは、相場における「価格」と「時間」の関係性を視覚的に分析するために使います。ギャン理論の中で最も基本となる分析ツールです。
下のチャートのようにギャンラインは、特定の角度を持つ線としてチャートに描かれます。一般的には45度を基準として、トレンドラインのように様々な角度のラインを描写できます。


ギャンラインは、相場のトレンドを判断したり、サポート・レジスタンスラインとして機能します。実際のトレードでは、ギャンラインに沿って相場が動いている場合はトレンドが継続していると判断し、ラインをブレイクした場合はトレンドが転換したと分析できます。



ラインをブレイクしても必ずトレンド転換するとは限らない!
ギャンファン
ギャンファンは、複数の角度のラインを扇状に描くことで、相場のサポートラインやレジスタンスラインを視覚的に捉えるものです。ギャンラインを応用した分析ツールで、多くのトレーダーが使用しています。
下のチャートのようにギャンファンはチャート上に基準となる価格を設定し、そこから複数の角度を持つラインが引かれます。45度のラインを中心に7.5度から82.5度までのラインがあります。これらのラインは「時間×価格」の割合で角度が決まり、「1×1」の場合は45度のラインになります。


価格がギャンラインにタッチすると反発する可能性が高いため、トレンド方向にエントリーしたり、利確や損切の目安としても利用できます。価格が複数のラインを同時にブレイクした場合は、トレンドの転換と判断し、反対方向へのエントリーも有効です。
ギャングリッド
ギャングリッドは、価格と時間の関係性をグリッド状に分割して分析する手法です。ギャンの長年の研究から導かれた相場のパターンを分析できます。
下のチャートのように、ギャングリッドは、正方形や長方形のマス目の中に価格と時間を配置し、相場の変動を分析するものです。ギャンは、相場は一定のサイクル・パターンで変動すると考えており、そのパターンを視覚的に捉えるためのツールとして使用します。


相場のトレンド方向にギャングリッドを描き、価格がグリッドの交差点やラインに触れた際に、トレンドフォローでエントリーする活用が最も一般的です。価格がグリッドをブレイクした場合、トレンドの転換と判断し、反対方向へエントリーすることも有効です。
ギャングリッドは、他のテクニカル指標と相性が良く、組み合わせて使うことで、確度の高いトレードができます。



ダウ理論や移動平均線でトレンド方向を把握しておこう!
ギャン理論と他のインジケーターを併用した手法3選
ギャンラインと移動平均線を利用したトレード
ギャンラインと「移動平均線」を組み合わせたトレードは、相場のトレンドを把握しつつ、ギャンラインでエントリータイミングを図るシンプルな手法です。移動平均線は、一定期間の価格の平均値を線で結んだもので、相場のトレンドを把握できるインジケータです。
下のチャートのように、移動平均線が下向きの下降トレンド中に価格が一時的な上昇でギャンラインまで戻りをつけたときに売りエントリーを行います。ギャンラインがレジスタンスラインとして機能し、価格がラインに触れ、反発するのを狙う手法です。


移動平均線が上向きの上昇トレンドでは逆にギャンラインまでの押し目を待って買いエントリーが有効です。損切は、価格がギャンラインを逆方向に抜けたときに設定します。損切になった時の「損失額」が「証拠金の数%程度」になるように注文するロットを調整してください。



ギャンラインまでしっかり引き付けてリスクを減らそう!
ギャンファンとRSIを組み合わせた手法
ギャンファンで相場の重要なラインを把握しつつ、「RSI」で買われすぎや売られすぎの状態を判断してトレードする手法も有効です。
この手法では、まずギャンファンを使って相場の支持線や抵抗線を把握します。次に、価格がギャンファンのラインに触れた際に、RSIの数値を確認し、買われすぎ売られすぎの場合にエントリーします。
下のチャートのように、価格がギャンファンのサポートラインで反発し、RSIが「30以下」の売られすぎを示している場合は、買いエントリーをします。逆に、価格がギャンファンのレジスタンスラインで反発し、RSIが買われすぎを示している場合は、売りエントリーのタイミングです。


損切りの設定は、ギャンファンのラインを少し超えたところに設定することで、リスクを限定できます。



リスクをできる限り抑えるように戦略を立てよう!
ギャングリッドとMACDを組み合わせたトレード
ギャングリッドで相場の変動パターンを分析しつつ、「MACD」でトレンドの転換点を判断する手法もおすすめです。MACDは、移動平均線の収束と乖離を利用した指標で、トレンドの方向性と勢いを測れます。
MACDがシグナル線とクロスするタイミングでギャングリッドの上昇、下落しやすい相場のパターンが出現したときにエントリーする手法です。下のチャートでは、ギャングリッドが2マス分下がって、上がってを繰り返しているため次は2マス上昇すると予測して買いエントリーします。


損切りは、ギャングリッドのパターンの根拠としたグリッドから少し離したところに設定します。この手法は、相場のパターンとトレンドの転換を同時に把握することができるため、精度の高いトレードが可能です。



規則的な動きが続いている場合はより意識される!
ギャン理論の課題とデメリット
複雑で理解が難しい
ギャン理論の根本は、「数学」「幾何学」「占星術」など、幅広い分野の知識を基に構成されています。初心者にとっては理論を完璧に理解するのは難解で、時間がかかることがあります。
さらに、ギャン分析のツールは、描画する角度や位置によっては、複数のラインが描写できてしまい、判断が主観的になりがちです。そのため、同じチャートを見ても、人によって分析結果が異なることがあります。
単独での使用はおすすめできない
ギャン理論は、相場分析において独自の分析ができる一方で、単独で使用するとその精度には限界があります。
ギャン理論は、独自の分析ツールを用いて相場の転換点を予測しようとしますが、これらのツールは、解釈が難しく、主観的な判断に左右されることが多いためです。
そのため、ギャン理論を利用する際は、他のテクニカル指標と組み合わせて取引するようにしましょう。



同じ分析ツールを使っていてもトレーダーによって意識するポイントが変わる!
過去のパターンに依存する
ギャン理論は、過去の値動きのパターンから将来の価格変動を予測しようとするものです。
一方で、市場は常に変化しており、過去のパターンが将来も通用するとは限りません。特に、経済指標や地政学リスクが発生した場合、ギャン理論による分析は役に立たないことがあるので注意しましょう。



経済指標発表時などはトレードを避けることもリスク管理の1つ!
ギャン理論まとめ
ギャン理論は、相場師ウィリアム・D・ギャンが提唱した相場分析の手法です。「価格」「時間」「サイクル」という3つの要素を重視して作られています。
ギャンラインとギャンファンは、価格と時間の関係を線で表し、相場のトレンドやサポート・レジスタンスラインを把握するのに役立ちます。ギャングリッドは、価格と時間をマス目状に区切り、相場のパターンを分析するのに利用されます。
ただし、ギャン理論は主観的な判断に左右される部分が大きく、相場を確実に予測することは困難です。他のテクニカル分析手法と組み合わせて活用することをおすすめします。