・ダウ理論の基礎やトレンドの概念をスキャルピングに活かした
・世界の投資家がダウ理論を学ぶ理由を知りたい
本記事のテーマ
ダウ理論の基本とテクニカル分析への応用
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
テクニカル分析を使う日本人の個人投資家はたくさんいますが、意外と知られていないテクニカル分析の基礎となる『ダウ理論』。世界中のプロ投資家に重宝されて100年の歴史を持つテクニカル分析のルーツを学び、日々の投資に活かしてください。
そもそも「ダウ理論」とは?
「ダウ理論を知らないプロ投資家はいない」
ダウ理論とは、ダウ・ジョーンズ社を設立したチャールズ・ダウが提唱した市場での値動きを評価するための投資理論です。
ダウ氏は、景気と株価の関係を説明するための株価の歴史的な動きを研究する必要があると考え、その株価の連続性を求め「ダウ平均」という平均株価の計算方法を考えついたといわれています。現在では、FXや商品先物など、あらゆる相場で利用されています。
今でも「ダウ理論を知らないプロ投資家はいない」と言われるテクニカル分析の基礎となり、世界のトレーダーが投資を始める第一歩としてダウ理論を学びます。
チャールズ・ヘンリー・ダウ
(Charles Henry Dow)
1851年‐1902年
1882年、ダウジョーンズ社を設立。1889年、ウォールストリートジャーナルを発行。社説にて平均株価の概念を用いて株式市場の動向を解説。その社説を基に、ウィリアム・P・ハミルトン、R・レアが『ダウ理論』へと発展。
なぜ『ダウ理論』は今でも有効なセオリーなの?
①欧米のプロ投資家が基礎として最初に学ぶことが『ダウ理論』
②プロを含めた世界中の「投資家心理」がチャートに反映される
③過去のトレンド形成が『ダウ理論』に従っている場面が多い
『ダウ理論』によって見えてくる株価のトレンドは、
経済に対する心理的な要素を含めた景気の実態を表している。
ウ理論は多くの投資家に利用されているから市場への影響力が大きい
テクニカル分析の概念
『価格はトレンドを形成する』という前提ですべては成り立つ
ダウ氏は「連続する高値・安値のそれぞれがその前の高値・安値より上である限り、アップトレンドが存在する。」と明言しています。
つまり「上昇トレンド」を定義づけると「連続する高値更新と安値切り上げを行った場合」となり、逆に下降トレンドでは「連続する安値更新と高値切り下げを行った場合」となります。
これらのトレンドの形成方法を前提としてチャートが形成されていることを念頭に置きましょう。
ファンダメンタルの考え方
未来の「需要と共有」を織り込んだ結果のすべてがチャートに表れる
価格を上下させたりする原因となる需要と供給に焦点を当てるのが「ファンダメンタル分析」です。経済指標をはじめとしたニュースや経済情勢に応じて市場心理が相場を動かす、という考えの上で市場分析をするスタンスです。
一方、ダウ理論においては需給における群集心理はチャートにすべて織り込まれるという姿勢をとっています。
つまり、ファンダメンタル分析は「市場の動きの原因を研究」し、テクニカル分析は「その動きが未来にどう影響するかを研究」するものであると考えます。
ファンダメンタル分析とは
ファンダメンタルズとは、国や企業などの経済状態などを表す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳されます。国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支などがこれに当たり、企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が挙げられます。ファンダメンタルズをもとに株価や為替の値動きを予測することをファンダメンタルズ分析といいます。
チャートを重視して、ファンダメンタル分析を無視しちゃって本当に大丈夫なの?
ファンダメンタル分析が価値を発揮する局面も当然あるよ。
ただ、その情報もチャートに織り込まれているんだ。
だから、テクニカル分析を見つければ通貨ペアや株価指標に関係なく、その後の動向を予想できるんだ。
いろいろなシチュエーションがあるのに、そこまでテクニカル分析を信用していいの?
1分足や時間足などがあって、短期トレードも中長期トレードも同じテクニカル手法で柔軟に対応ができるのも魅力の一つだ。
トレンドは大・中・小の3種類
海の潮(大)と波(中)と波紋(小)の3つのトレンド
トレンドを重視するダウ氏は、そのトレンドを大きく3つの種類に分類しました。最も大きな主要トレンドと二次的トレンド、小トレンドの3種です。
主要トレンドは、潮に対応しており、二次的トレンドは潮によって作られた波に例えられ、小トレンドは波の波紋のようなものと設定しています。波の高さを計測することで潮の方向(満引き)が分かるように、トレンドも同様の考え方で方向性をとらえることができるのです。
重要なポイントは「主要トレンドの動き」!
主要トレンドの方向が変わる時期を見極めるのがチャート分析。 トレンドの始まりと終わり(波の到達点)を示す情報は小トレンドから発信されるので、それを見落とさないことが大切。
小さな波の積み上げが主要トレンドを形成する
各トレンドの期間
「二次的調整トレンド」について
「二次的調整トレンド」は必ず起きる
最大で50%も戻る可能性があるから
調整トレンドで利益を失わない工夫が大切になる。
大トレンドの初期で持ったポジションは安泰でも、「二次的調整」局面では利益の減額が少なくありません。調整は通常、前段階のトレンドの1/3から2/3の戻しとなり、しばしば50%に及ぶことを認識しておく必要があります。
せっかくの主要トレンドを掴んでも、二次的調整トレンドに対応しきれずに追証やロスカットをされてしまわないように、事前の準備と対応を怠ってはいけません。
主要トレンドを作る3つのステップ
3つの市場心理を把握してトレンドの終焉を察知
ダウはトレンドに3つのステップ(局面)があると指摘しています。
第1段階に相当するのが、市場全体の考え方に反して、一部の抜け目のない投資家が「買い集め」を行う時期です。第1段階ではまだ値動きはゆるやかなものですが、やがて、市場全体がその動きに追随して、急激な価格変動が起こります。チャート分析をもとに売買するトレンド重視の投資家が大挙して買いを入れるのはこの第2段階です。
次第に投機的な買いが猛威を振るうバブル状態の第3段階に移行しますが、そこでは第1段階で買った投資家たちの「売り抜け」が起こり、トレンドはやがて終焉するのです。
投資家の心理は3段階に分かれてチャートに影響する
上昇や下降トレンドは3段階のステップを踏みます。また、それらには投資家の心情が現れているとダウ理論では考えます。
それらのステップごとの投資家心理を把握して、トレンドを活かしたトレードを意識しましょう。
上昇トレンドが進む3つのステップ
② 企業の利益拡大や雇用創出などの結果に伴う株価上昇を確信
③ 将来に対する更なる期待や希望による投機の拡大
下降トレンドが進む3つのステップ
② 企業利益の悪化などにより株が売られる状況
③ 損切りをしてでも株を手放して現金化したいという投げ売り
どのステップ(局面)にある主要トレンドなのかを把握した上で、エントリーできるようになればダウ理論の上級者です。
トレンドの転換点の発見
二次的指標として シグナルを示す役割の「出来高」
ダウは、シグナルを確認するのにチャートに次いで重要な要素として「出来高」をあげている。主要トレンドが上昇基調であれば、出来高は価格が上昇するにつれて増加し、価格が下落する時には減少するので、二次的指標としてシグナルへの影響が大きいと伝えています。
出来高の増減は「売り買いの圧力の変化」でもあるので、 価格トレンドの反転が明らかになる前に、出来高に現れる。
出来高は価格に先行することを覚えておこう。 上昇時の方が影響が大きいこともチェック!
トレンドの継続
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
ダウ氏は、現在の市場で発現しているトレンドは、明確にトレンドの転換シグナルが現れるまで継続し続けると説いています。すなわち、トレンドに従った売買によって多くの投資家は利益を得るのであり、トレンドに逆らった売買で利益を得るのは難しいという考えがダウ理論のベースとなります。
トレンドが続く限り、そのトレンドに従ったトレードをすれば利益が得れる!逆張りはダメ!
短い時間軸での転換点の見分け方
今までトレンドライン(上値と下値の抵抗)を超えた場合には、新たなトレンドが生まれやすいとお伝えしましたが、短い時間軸でもトレンドの転換点を見極める場面となります。
どの時間軸にも適応される世界共通のトレンドに対する認識
各トレンドの認識
・下降トレンド=直近安値を下回り直近高値を上回らないまま下降したとき
・トレンド発生=直近で高値&安値の更新状況が逆転したとき
その他のトレンドの転換シグナルの例
左のチャートの場合はBを超えると買いシグナルへの転換が開始されますが、C点にて安値更新をした右のチャートでは、B点を超えただけではトレンドの転換ではなく、D点を上回った時点で下げトレンドの『転換シグナルの確定』とする見方が主流となります。
左のチャートの場合はBを超えると売りシグナルへの転換が開始されますが、C点にて高値更新をした右のチャートでは、B点を超えただけではトレンドの転換ではなく、D点を下回った時点で下げトレンドの『転換シグナルの確定』とする見方が主流となります。
トレンドの定義とトレンド転換シグナルさえ理解すれば、トレンドの始点&終点、押し目買い&戻り売りタイミング、ダブルトップ&ダブルボトムなど、ほとんどの形状パターンの意味が理解できる!