・移動平均乖離率の正しい使い方を知りたい方
・逆張りエントリーで大きな値幅を狙いたい方
本記事のテーマ
FXの移動平均乖離率の使い方
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
「移動平均線」はトレーダーなら誰もが知っているテクニカル指標ですが、「移動平均乖離率」のことは知らない方も多いのではないでしょうか。
ややマイナーではあるものの、トレンド転換を予測したいときや、スキャルピングで逆張りするときに有効なテクニカル指標です。
そこで今回は、移動平均乖離率の実戦的な使い方について解説します。最後まで読むことで、移動平均乖離率の正しい使い方や、優位性の高いエントリー&決済のタイミングがわかるでしょう。
FXの移動平均乖離率とは?
移動平均乖離率は「オシレーター系のテクニカル指標」
移動平均乖離率(Moving Average Deviation Rate)とは、「移動平均線とレート価格(ローソク足)がどのくらい離れているのか」を数値化したものです。
オシレーター系のテクニカル指標なので、チャートでは画面上部に移動平均線、画面下部に移動平均乖離率が表示されるため、セットで表示するとひと目で相場状況を確認しやすくなります。
移動平均乖離率は「相場の過熱感」がわかる
移動平均乖離率を活用すると、現在の価格レートが「買われ過ぎなのか、売られ過ぎなのか」がひと目でわかります。移動平均線から価格レートが上方向に離れている場合は「買われ過ぎ」となり、下方向に離れている場合は「売られ過ぎ」と判断します。
買われ過ぎ・売られ過ぎがわかる
・下方乖離・・・・価格レートが移動平均線の下方向に離れた状態(売られ過ぎ)
一般的に、買われ過ぎは「上方乖離」、売られ過ぎは「下方乖離」と呼ばれます。基礎用語として知っておくと、この後の説明がわかりやすいので覚えておきましょう。
「上方乖離」と「下方乖離」
まずは、実際のチャートで上方乖離と下方乖離をチェックしましょう。
上記のチャートでは、いくつかの乖離が発生していますが、目立った乖離が見られるポイントをピックアップしました。青色の丸印が上方乖離、ピンク色の丸印が下方乖離です。上方乖離と下方乖離は、ローソク足と移動平均線の位置関係に特徴があります。
移動平均乖離率の特徴
下方乖離の特徴・・・ローソク足が移動平均線よりも下に位置する(乖離率はマイナス値)
これらの特徴から、乖離率の値は「移動平均線とローソク足の位置関係によって決まる」ことがわかります。乖離率のプラス値が高いほど買われ過ぎ、乖離率のマイナス値が低いほど売られ過ぎとなるため、相場の過熱感をはかる目安にしましょう。
移動平均乖離率の計算方法
移動平均乖離率の計算式
移動平均乖離率の数値は、計算式を厳密に覚えなくても問題ありません。ただし、おおよその計算方法を知ることで、移動平均乖離率の理解度が深まるため、簡単に解説します。
計算式(日足の場合)
nとは、パラメータ値のことです。移動平均線でよく利用されるパラメータ値は、5・25・75・100・200ですが、25日移動平均線がもっともメジャーになります。移動平均乖離率は、計算式によって数値が算出され、自動でチャートに表示されます。
移動平均乖離率は「プラス」「マイナス」「ゼロ」の状態がある!
プラスの場合
マイナスの場合
0の場合
移動平均乖離率の設定方法
移動平均乖離率は、チャートツールで自由に期間を設定できます。移動平均線や移動平均乖離率でよく使われる「25」「200」などの期間を設定しましょう。
移動平均乖離率の設定値
・中期~長期目線で使用したいときは、設定値200
また、使用ツールに移動平均乖離率がないときは、MT4に専用インジケーターをダウンロードできます。専用インジケーターのダウンロード方法は、以下の通りです。
ダウンロードの手順
②ダウンロードしたファイルをMT4のインジケーターのファイルに移動させる
③チャート画面に表示させる
ダウンロードから設定まで約10分で完了!
移動平均乖離率の基本的な使い方
逆張りエントリーと相性が良い
移動平均乖離率は「売られ過ぎ・買われ過ぎ」をはかるテクニカル指標です。そのため、相場の流れに逆らってエントリーする「逆張り」で効果を発揮します。
また、グランビルの法則では「移動平均線から離れたレート価格(ローソク足)は、自然と移動平均線に戻っていく傾向がある」とされています。
例えば、磁石をイメージするとわかりやすいでしょう。移動平均線には磁力が働いており、ローソク足がどんなに離れても、いずれは移動平均線に引きつけられるのです。
このように、「ローソク足が移動平均線に引きつけられる力」を利用して利益を狙うのが、移動平均乖離率を使ったトレードの基本的な考え方です。
大きく乖離するタイミングを待つ
エントリータイミングは、移動平均乖離率が極端に高い(極端に低い)数値のときです。下記のチャートでは、水色の丸印で大きな上方乖離が発生しています。基本的には、このタイミングを待ってエントリーしましょう。
決済のタイミングは、ローソク足が移動平均線に近づいたときです。また、下方乖離が大きくなるまでホールド(ポジション保有)できれば、逆張りならではの大きな値幅を狙えます。
エントリー&決済のタイミング
決済の目安・・・移動平均線にローソク足が近づいたとき
乖離率の上下限の幅を意識する
直近の乖離率の上下限の幅を意識しましょう。なぜなら、「どのくらいの幅で推移しているか」を見ることで、エントリーの精度が上がるからです。
上記のチャートでは、「上限+5%~下限-5%」の幅で推移しています。そのため、その近辺まで過熱感が高まれば、逆張りで入るほうが優位性の高い取引と判断できるのです。
乖離率が0付近のときは、逆張りの優位性が低いこともわかる!
上位足の流れに逆らわない
乖離率によるエントリーは、上方乖離と下方乖離のどちらか片方にしましょう。なぜなら、長期足の流れに逆らった逆張りは、リスクが高いからです。どちらの乖離を狙うかは、上位足の流れ(方向性)を確認してから決めます。
上位足の流れを確認する
・1時間足や4時間足の移動平均乖離を見ているときは、日足や週足の流れを確認する
より大きな相場の流れをチェックしよう!
チャート(上)はユーロ/米ドルの5分足、チャート(下)はユーロ/米ドルの4時間足です。
5分足のチャートでは直近の値動きしかわかりませんが、4時間足のチャート(黄色の四角)を見ると、中長期目線では下落トレンドだとわかります。
この場合、上位足は下落トレンドを示しているため、上方乖離を狙った逆張り(売りエントリー)のほうが優位性の高い取引となるのです。
上位足の流れを見てから、短期足の乖離率で逆張りすればいいのか
ダイバージェンスを狙う
ダイバージェンスとは、「テクニカル指標の数値」と「レート価格の方向性」が反対になっている状態のことです。日本語では、逆行現象と呼ばれます。
さっそく、実際にダイバージェンスを探してみましょう。
上記のチャートでは、白色の丸印でダイバージェンスが出現しています。
ダイバージェンスのシグナル
・レート価格が下向きなのに、移動平均乖離率は上向きになっている
ダイバージェンスは、トレンド転換の強いシグナルです。ローソク足が上昇しているときは乖離率のラインは下向きに、ローソク足が下落しているときは乖離率のラインは上向きになります。
ダイバージェンスは強いシグナルなので、逆張りのチャンス!
似たようなインジケーターの使い方として「エンベロープの逆張りスキャル」があります。詳しい説明は下記の記事でご紹介しています。
移動平均乖離率×スキャルピング手法
スキャルピングでも移動平均乖離率を活用できます。ここでは、基本的な使い方として「上方乖離→下方乖離」「下方乖離→上方乖離」の値幅を狙う手法を紹介します。
スキャルピングは「エントリーから決済まで」を短期間で繰り返すので、上方乖離・下方乖離を目安にエントリーしたら、乖離率0(ローソク足と移動平均線が近づいたタイミング)で決済します。
エントリーから決済までの時間は短いものの、ボラティリティのある相場なら、しっかりと利食いできます(上記のチャートでは、15pipsの利確)。ローソク足は5分足を使っていますが、スキャルピングの場合は1分足を使ってもいいでしょう。
乖離したまま急騰・急落したときは、すぐに損切りしよう!
スキャルピング時の注意点
移動平均乖離率の注意点
損切りできない人は大損しやすい
移動平均乖離率を活用したトレードは、為替相場の流れに反した「逆張り」が基本です。そのため、「予想外に上昇・下落が継続したとき」に損切りできないと、損失がどんどん膨らみます。
逆張りでコツコツと積み重ねた利益を、一度の損切りでドカンと失わないために、厳格な損切りルールを決めておきましょう。
ボラティリティが低いときは使えない
ボラティリティが低いと上方乖離・下方乖離が発生しないため、エントリーの判断ができません。このような場合は、無理にエントリーしないで「乖離を待つこと」が重要です。
一方で、スキャルピングの場合は、小さなボラティリティも拾っていくため、コツコツと利益を積み重ねられます。