・ダマシを回避する方法を知りたい方
・ダマシに遭った後のFXでの稼ぎ方を知りたい方
本記事のテーマ
ダマシを回避する方法やダマシを利用するFX手法を徹底解説
<スキャル歴12年の専業_億トレーダーがお届け>
FXのダマシとは、水平線やトレンドライン、高値や安値など、節目となる価格をブレイクしたにも関わらず、再び価格がもとの水準以下に戻ってしまうことをいいます。
ダマシでは、テクニカル分析が効果を発揮しなくなるため、FXトレーダーにとっては非常に厄介な現象です。今回の記事は、ダマシはなぜ発生するのか、またダマシの回避方法について解説します。
FXのダマシとは?
ダマシとは、テクニカル分析で得られた結論とは反対方向に相場が動いてしまうことです。英語では「fakeouts」と呼ばれ、トレーダーは「ダマされた」と感じるような値動きが発生します。
具体的にいうと、ダマシとはチャートのセオリーを裏切っている状況を指します。例えば、ブレイクアウトしたにも関わらず、価格がもとの水準以下に戻ってしまうのは、ダマシの典型的なパターンといえるでしょう。
FXのダマシの典型的な3つのパターン
ダマシの典型的なパターン
・インジケーターのダマシ
・チャートの形状分析のダマシ
ラインブレイク時に発生するダマシ
ラインブレイク時に発生するダマシは、ダマシの典型といって良いでしょう。
ラインブレイクすると、ブレイクした方向に追随するのがトレードのセオリーです。しかし、ダマシが発生すると、そのセオリーとは反対方向に値動きが発生します。
抵抗線で発生するダマシ
実際にチャートで確認してみましょう。画像はドル円の5分足チャートです。この時、強く意識されていたラインが、127.55円付近(赤色のライン)です。
水平線に向かって上昇し、水平線を抜けて大衆に「上だ」と思わせたにも関わらず、その上昇を打ち消すように値動きしていることが確認できます。
この場合、ラインを抜けて追随しようと買いを入れてしまうと、その後の急落に巻き込まれて大きな損失を出してしまうでしょう。
インジケーターの売買サインによるダマシ
インジケーターで売買サイン(シグナル)が出現しているにも関わらず、売買サインが機能しないことがあります。例えば、チャートはドル円5分足にMACDを表示させたものです。
一般的にはMACDラインがシグナルラインを下抜けしたポイントが売りサインです。しかし、サインを見て売りエントリーすると、その後の上昇に巻き込まれ損失を出してしまいます。
インジケーターのダマシでは、売買サインを根拠にエントリーを行うと、損失を出してしまいます。
チャートパターン分析でのダマシ
チャート形状の分析を行った場合も、効果を発揮しないことがあります。下のチャートでは、ドル円5分足でヘッドアンドショルダーが発生しているため、ネックラインを割ったところが売りエントリーポイントです。
エントリー後は思惑通り一時的に下落していますが、すぐに買戻しが入り、急反発していることが分かります。
このようにチャート形状の分析が効かなくなるため、セオリー通りにエントリーすると含み損を抱えてしまいます。
ダマシは予測不可能だから、常にリスクも考慮することが重要!
FXのダマシが発生する4つの原因
ダマシが発生する主な原因
・自然発生的なダマシ
・複数の売買サインによるダマシ
・上位の時間足によるダマシ
大口投資家による人為的なダマシ
大口投資家によるダマシが最も多く見られるシーンが、レンジブレイクです。
例えば、大口投資家が大量の買いを入れて、レンジを上方向にブレイクさせたとしましょう。そうなると、個人投資家は追随しようとして、買い注文を入れます。この時、大口投資家は、この買い注文にぶつけるように、先ほどの買いポジションを決済を入れてきます。
この場合、買いポジションの決済は売り注文なので、大口投資家の思惑通り下方向に値動きすれば、ダマシとなります。
ヘッジファンドと呼ばれる大口投資家は、個人投資家の逆を突くことで利益を上げるため、彼らの意図的なダマシを見抜ける力が必要になります。
長いレンジ相場では、あえてダマシを作った後に逆にブレイクすることも
その他にもヘッジファンドが仕掛けて稼ぐ場面では、必ず「ダマシ」が発生します。この仕掛けを利用することもスキャルピングでは重要です。大口投資家の仕掛け方については下記の記事をご参照ください。
自然発生的なダマシ
ライン際では、常に買い手と売り手の攻防が生じています。ブレイクアウトしても、売りの勢力が強いと、逆張りの要領で売り注文が継続し、以前の価格に戻ってきてしまいます。
ライン際ではさまざまな思惑をもったトレーダーの注文が交錯するため、人為的な力が働いていなくても不規則な値動きが発生する確率が高まります。
市場心理から生まれるダマシは経験をつめば回避しやすい
複数の売買サインによるダマシ
売買サインを得るために、インジケーターを使用する人は多いでしょう。しかし、インジケーターは、種類ごとにサインの出現の仕方が異なります。
自分が使用しているインジケーターで買いサインが出ていても、他人が使用しているインジケーターでは買いサインが出ていなかったり、場合によっては売りサインが出ていたりする場合もあるのが現実です。
その場合、買いサインでエントリーして一時的に価格が上昇しても、すぐに反転してしまう傾向が見られます。
上位の時間足によるダマシ
異なる時間足のチャートは常に確認しておきましょう。仮に下位足で下方向にブレイクしたとしても、上位足が上昇トレンドの場合はすぐに買いが入るので、もとの価格に戻ってしまいます。
上位足のトレンドに飲み込まれることはとても多い…
また、下位足で引いた水平線をブレイクした時、すぐその上に上位足で引いた水平線が存在する場合も、反転する可能性が高くなります。
FXのダマシの7つの回避方法
ダマシの代表的な回避方法
・逆張りのエントリーは控える
・ダマシの少ない時間帯に取引する
・複数のテクニカル分析(指標)を使って見分ける
・相互関係にある通貨をチェックする
・エントリーを小分けにする
・ダマシの多い通貨ペアは取引しない
エントリータイミングを遅らせる
エントリーのタイミングを遅らせることは、ダマシを回避するために手っ取り早い方法の1つです。価格が水平線をブレイクした時であれば、ブレイクした瞬間に飛び乗らないことが重要です。
また、水平線で反転した時も同じです。反転した直後はブレイクを狙った注文が入ってくるため、やはりダマシに遭う確率が上がってしまいます。
エントリーの具体的な目安は、ブレイクや反転を見せた時のローソク足が確定し、次のローソク足が形成しようとしているタイミングです。
逆張りのエントリーは控える
トレンドと反対方向のエントリーは避けた方が無難です。例えば、上昇トレンドラインが引けるような相場では、トレンドラインを下抜けしたからといい、安易に売りを仕掛けることは避けた方が良いでしょう。
逆張りを避けた方が良い理由は、ダマシが発生しやすいだけではありません。ダマシに遭わなかったとしても、再度トレンド方向への注文が入りやすいため、大きなリターンを期待しにくいためです。
勝率もリスクリワード比もあまり期待できない…
ダマシの少ない時間帯に取引する
ダマシには発生しやすい時期や時間帯があります。その時間帯とは、参加トレーダーが少ないにも関わらず、それなりにボラティリティのある相場です。
このような相場では、大口の注文が相場に与える影響が大きくなるため、大口トレーダーによる人為的なダマシが発生しやすくなります。
個人投資家の注文を利用してくるから注意が必要だ!
取引におすすめなのは、参加トレーダーが多く、値動きが比較的安定している時間帯です。特に米国市場などのマーケットががオープンしている、日本時間深夜以降がおすすめの時間帯です。
複数のテクニカル分析(指標)を使って見分ける
複数のテクニカル分析を使えば、分析の信頼度が上がり、ダマシを防ぐことに繋がります。ライントレードはもちろん、移動平均線・RSI・MACD・ストキャスティクス・平均足などのインジケーターを組み合わせてみましょう。また、一目均衡表などのチャート分析の手法の併用も有効です。
例えば、水平線を下方向にブレイクした時は、売りで仕掛けるのがセオリーです。しかし、RSIを使えば、「売られ過ぎの水準だからそろそろ反発しそう」というように、エントリーをみ遅れます。
複数の視点から相場をチェックすることが大切!
相互関係にある通貨をチェックする
為替相場は世界で連動しているため、異なる通貨であっても似たような動きをすることがあります。
例えば、オーストラリアとニュージーランドは地理的に近く、経済的な繋がりも深いです。また、どちらも資源国という共通事項があるため、豪ドルとNZドルは似た動きをすることが多くなります。その際は、日足でおおまかな流れを確認することも有効でしょう。
その他、米国とカナダも地理的に近く、米ドルとカナダドルも似た動きをする傾向があります。
エントリーを小分けにする
一気にまとめてエントリーを行うと、ダマシに遭ってしまった時の損失が大きくなってしまいます。そこでエントリーを小分けにすることをおすすめします。
エントリーを小分けにするメリットは、ダマシに遭ってしまっても、FX口座内の残りの資金を追加でエントリーすることで、ダマシの損失を小さくできる点です。逆にダマシが無くても、残り資金でエントリーし、ポジションの追加もできます。
試し玉を入れるイメージだ!
ダマシの多い通貨ペアは取引しない
米ドルや日本円、ユーロなどの取引規模が大きな通貨は、大口注文が入ったとしても全体への影響力が小さいため、ダマシが起こりにくい傾向にあります。
反対に、トルコリラやメキシコペソは全体の取引規模が小さく、人為的なダマシのターゲットにされやすいでしょう。トルコリラやメキシコペソは高金利通貨として人気ですが、これらマイナー通貨は闇雲に取引しないことをおすすめします。
ダマシは回避できないと認識する
ここまで解説した方法で、ダマシに遭う確率は減らせますが、決定的なダマシ回避の方法はありません。FXトレードを行っている限り、ダマシは付き物といえます。
ダマシが発生する一番の理由は、大口投資家の売り買いのパワーバランスであり、チャートでは見えてこない部分になります。また、最近のアルゴリズムは節目を狙った仕掛けも多く、「回避のしようがない」と割り切った方が良いでしょう。
マルチタイムフレームでのトレンド把握
ただし、ダマシに遭う確率を減らすことは可能です。マルチタイムフレームなどを用いて出来る限り状況を俯瞰して、ダマシの回避に努めることはおすすめです。
マルチタイムフレーム分析とは?
具体的には、少し時間の長い足(30分足や1時間足)のトレンドには注意を払いましょう。
例えば、1時間足でハッキリと上昇トレンドが確認できれば、レジスタンスラインを突破する可能性が高まります。逆に1時間足が下降トレンドであれば、レジスタンスラインを突破する可能性は低くなります。
マルチタイムフレーム分析を活用すれば、ダマシはある程度まで防げます。
また、スキャルパーにとって重要なのは「素早い損切り」と「次のエントリーチャンスの発見」です。ダマシで損切りをさせられても、次に利益を穫れるスタイルをもっていれば問題ありません。
ダマシに遭う確率を下げながらエントリーの根拠を増やそう!
FXのダマシに遭った際の3つの対処法
ダマシに遭った際の対処法
・ポジションの一部を決済する
・ダマシと同じ方向にエントリーする
ダマシだと気づいた時点で損切りする
ダマシに気づいた時点で損切りを行いましょう。ダマシに遭うと、エントリーの方向にトレンドが発生することが多く、損失がどんどん膨らんでしまう可能性が高くなります。
この場合は、次のトレードにつぎ込む資金をしっかりと確保しておくことが大切です。また、損切り後は、なぜダマシに遭ってしまったのか検証することも重要です。
ポジションの一部を決済する
ダマシに遭った後でも、ダマシと反対方向に値動きしそうな場合、つまり含み損が膨らんでいかない場合は、ポジションの一部を決済する方法もアリです。もし含み損が膨らんでいった場合でも、含み損が増えるペースは半分にできます。
ただし、この場合は「ダマシが発生した後でも、大きな流れは変わらない」という根拠が必要です。そのためには、上位足の流れをチェックしておくことをおすすめします。
ダマシと同じ方向にエントリーする
ダマシと同じ方向にトレンドが強く発生した場合、ダマシの方向にエントリーすることも1つの方法です。
プライスアクションを見ながら、ダマシと同じ方向にエントリーすることで、その後続くトレンドによって利益を得られます。
スキャルピングで有効活用できる方法だ!
FXのダマシで痛手を負わないおすすめトレード手法2選
おすすめトレード手法
・ブレイクアウトからの戻りを狙う
小ロットの分割でエントリーする
下のチャートの場合、水平線を上抜けしたタイミングで、買いのエントリーを仕掛けますが、ダマシに遭ってしまい、一時的な急落に巻き込まれてしまいます。
1回目のエントリーではダマシに遭ってしまいますが、小ロットでエントリーしておくことで、含み損を最小限に留められます。
その後、下落してきたところで残りのロットで買いエントリーを行いましょう。これにより、ダマシによるリスクを大幅に軽減できます。
レートが乱高下することのリスクを小さくできるのがメリット!
ブレイクアウトからの戻りを狙う
「ブレイクアウトに飛び乗らない」と事前に決めておくことは、ダマしを回避するための手っ取り早い方法です。
下のチャートでは、水平線を下方向にブレイクしているポイントがありますが、ブレイクした瞬間は様子見と決めて、エントリーを見送ります。
その後、反発して再び水平線まで戻ってきたところで売りエントリーを行いましょう。チャートではブレイクアウト時にダマシは発生していませんが、ブレイクアウト時のエントリーを見送れば、ダマシに会う可能性を大きく減らせます。
また、押し目や戻り目でダマシに遭ってしまっても、損切りラインを水平線に設定できるため、損失は小さく済みます。
押し目買いや戻り売りを意識すればダマシを防ぎやすい!
FXのダマシを見分けるおすすめのインジケーター2選
ゴールデンクロスのダマシにはMACDを使う
移動平均線のゴールデンクロスは買いエントリーポイントとして意識されますが、ダマシが発生することもあります。
ダマシを見極めるためには、MACDを使用することをおすすめします。下のチャートでは、移動平均線でゴールデンクロスが発生していますが、直後にMACDを見るとデッドクロスが発生していることが確認できます。
ゴールデンクロスだけを見ずに、MACDもあわせて見ることで騙しを回避できます。
RSIのダイバージェンス
上昇トレンドラインが引ける時は、トレンドライン付近で押し目買いするのがセオリー通りのトレードです。
しかし、下のチャートのようにトレンドライン付近でエントリーしたものの、下抜けしてしまうことがあります。このダマシを見分けるのに有効なのが、RSIのダイバージェンスです。
ダイバージェンス発生はトレンド転換の合図です。ローソク足とRSIが逆行していることが確認できたら、「上昇トレンドラインを割るかも知れない」とあらかじめ準備できるでしょう。
複数の視点から相場を分析することが大切だ!
【番外編】FXのダマシ後の稼ぎ方:ボリンジャーバンド&スキャル手法
ボリンジャーバンドを利用した高勝率スキャルピング
ダマシを利用したスキャルピング手法では、水平線に加えてボリンジャーバンドを使用します。下チャートのドル円5分足チャートでは、レジスタンスとして機能する水平線と+2σにタッチしていることから、売りサインと読み取れます。
下落の可能性は高まりますが、ここではエントリーを見送ります。なぜなら、水平線付近では節目の攻防が行われ、ダマシには更に複合技である「ダマシのだまし」というパターンも存在するからです。
これはダマシが発生したと見せかけて一気にレジサポを突破するパターンです。なので、落ち着いて一度押しや戻しを待ちましょう。
センターバンド付近での反発パターンに注目
エントリーの際は、センターバンド付近の値動きに注目しましょう。センターバンドまで戻ってきたものの、すぐに下落したことが確認できたら売りエントリーを行います。
戻り売りが入るタイミングを狙っていこう!
エントリー後、一度反発したポイントも見られますが、その後は陰線が続き、-2σに沿うように下落トレンド入りしていることが分かります。
利確&損切りの幅
また、利益確定と損切りについてですが、スキャルピングであれば損切りを10pips、利益確定を10pipsにすることが、1つの目安として最適でしょう。
ただし、ダマシが発生したことを加味して、利益確定を15pipsぐらいにしても良いかもしれません。もう少し欲張るのであれば20pipsでも無理はないといえます。リスクリワード比は小さくても1:1、できれば1:2にすることで、ダマシに遭った時の損失をカバーしやすくなります。
利益確定と損切りの目処はその時のボラティリティにも寄るので、ボラティリティは常に考慮した上でポイントを決めましょう。
FXのダマシの見分け方と回避方法 まとめ
FX相場や株式相場ではダマシは付き物で、ダマシの完全な回避はできません。しかし、ダマシに遭う確率を減らせられます。
代表的なダマシ回避方法は、上位足に沿ってエントリーを行ったり、エントリーのタイミングを遅らせたりするものです。
それでもダマシに遭ってしまったら、素早く損切りを行い、次のトレードに備えることが大切です。損切りを行った後は、しばらく様子を見ても良いですし、後半で紹介したダマシとボリンジャーバンドを利用した手法を使ってもOKです。
ダマシを把握した上手く付き合っていこう