商社はどうやって儲けているのか?三菱商事・三井物産のビジネスモデルを解説

商社のビジネスモデルとは?

「商社って何をしている会社なの?」「どうやって利益を出しているの?」就活生の多くが抱くこの疑問に、本記事では三菱商事と三井物産という日本を代表する2大総合商社を例に、そのビジネスモデルを分かりやすく解説します。

商社のビジネスは「トレーディング」「事業投資」「事業経営」という3つの柱で成り立っており、資源からインフラ、食品、IT、ヘルスケアまで幅広い分野で収益を上げています。各社がどのような戦略で利益を生み出しているのか、具体的な事例とともに見ていきましょう。

商社のビジネスモデル3本柱

トレーディング:貿易の仲介役

商社の原点ともいえるのがトレーディングです。トレーディングとは、売り手と買い手をマッチングさせる仲介ビジネスのことを指します。

例えば、自動車メーカーが車を製造するには鉄鋼が必要です。この時、鉄鋼メーカーと自動車メーカーの間に入り、貿易を成立させるのが商社の役割です。商社は仲介手数料と売値・買値の差額で利益を得ます。

総合商社の強みは、この仲介を川上(原料)から川中(製品)、川下(販売)まで、サプライチェーン全体でカバーしている点にあります。世界中に張り巡らされたネットワークと情報収集力が、このビジネスを支えています。

サプライチェーン:原材料の調達から製造、販売までの一連の流れ

事業投資:企業の株式を取得し経営に参画

近年、商社の収益の柱となっているのが事業投資です。事業投資とは、将来性のある企業の株式を取得し、その企業の経営に継続的に参画することを指します。

一般的な投資ファンドと異なり、商社の事業投資は「売却して利益を得る」ことがゴールではありません。半永久的なパートナーとして企業に投資し、既存事業とのシナジー効果を最大化することが重視されます。

シナジー効果:複数の事業を組み合わせることで、単独で行うよりも大きな成果を生み出す効果

商社は投資先企業に対して、資金提供だけでなく、人材派遣、経営ノウハウの提供、グローバルネットワークの活用など、多面的な支援を行います。これにより、投資先企業の企業価値を高め、配当や株式利益を得るのです。

事業経営:グループ企業としての価値創出

事業投資の先にあるのが事業経営です。商社は投資先企業をグループ会社として取り込み、複数の事業を組み合わせることでシナジー効果を生み出します。

伊藤忠商事とファミリーマートの関係が好例です。伊藤忠商事はファミリーマートの筆頭株主として経営に深く関与しています。コンビニという「消費者との接触点」を核に、食品の製造・卸売、金融サービスなど、多様なビジネスを組み合わせて展開しているのです。

なぜ「ラーメンからロケットまで」扱えるのか?

商社が「総合」と呼ばれる理由は、扱う商材の幅広さにあります。三菱商事を例に取ると、地球環境エネルギーや金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業など、8つの主要セグメントで事業を展開しています。

グラフ:三菱商事のセグメント別連結純利益
出典:三菱商事株式会社「2024年度決算及び2025年度見通し 説明会資料」

このグラフからは、地球環境エネルギー、金属資源、モビリティなど、多様な事業領域に分散投資されている様子が読み取れます。

この多角化戦略には明確な狙いがあります。資源価格の変動や特定業界の不況など、一つの事業が不調でも、他の事業でカバーできる体制を作ることです。自社の資産を数多くの企業・事業にバランスよく分散投資することで、ポートフォリオを最適化しているのです。

ポートフォリオ:複数の投資先や事業を組み合わせた資産構成

商社のビジネスモデルは、ほぼすべての業界に関与する「クロスセクター型」が特徴です。この柔軟性と多様性が競争力を支えています。例えば、資源分野で得た利益を非資源分野に投資する、あるいは異なる業界の企業同士を結びつけて新しいビジネスを創出するといったことが可能になります。

三菱商事・三井物産の戦略から見る商社の稼ぎ方

三菱商事:資源とLNGで成長を狙う

三菱商事は2025年度上半期で約8兆6,378億円の収益を上げています。セグメント別では、マテリアルソリューション、金属資源、地球環境エネルギーの3つで全体の約6割を占めます。

三菱商事の特徴は、資源分野への強いこだわりです。2027年度には純利益1.2兆円を目指しており、その鍵を握るのがLNG事業の拡大です。LNG事業では60年以上の歴史を持ち、ガス田開発からLNGの生産・販売までを手がけています。

LNG(液化天然ガス):天然ガスを冷却して液体にしたもので、輸送や貯蔵が容易になる

一方で、2025年8月には国内洋上風力事業からの撤退を決定しました。インフレや為替、金利の激変で機材価格が高騰し、事業の採算が見込めなくなったためです。採算性を重視した経営判断といえます。

三井物産:資源を軸に多角化を進める安定収益モデル

三井物産は、金属資源とエネルギー分野を中心に据えながら、機械・インフラや化学品など幅広い分野で収益を上げる商社です。

グラフ・表:三井物産のセグメント別売上総利益
出典:三井物産株式会社「セグメント情報」

まとめ

商社のビジネスモデルは、トレーディング、事業投資、事業経営という3つの柱で成り立っています。

三菱商事は総合力を活かし、資源からインフラ、食品、自動車まで幅広い分野でバランスよく収益を上げています。一方、三井物産は金属資源とエネルギーを軸に据えながら、機械・インフラや化学品など非資源分野でも着実に利益を積み上げ、市況変動に強い収益構造を築いています。

商社は「ラーメンからロケットまで」と言われるほど多角化しており、世界中のビジネスチャンスを捉えて成長を続けています。今後就職する若い世代の皆さんも、各社の戦略や強みを理解し、自分に合った商社を見つけてください。