SNSで横行する投資詐欺の手口とは

SNSでの投資詐欺を知ろう

スマートフォンが普及し、SNSが日常生活に溶け込んだ現代社会。便利になったものの新たな危険も増えており、特に若者を狙った「投資詐欺」がSNS上で急増しています。「簡単に稼げる」「初期投資なしで大金を得られる」といった甘い言葉に誘われ、貴重な資産を失ってしまう人も少なくありません。

金融庁の調査によると、2024年の投資詐欺被害は前年比30%増加し、その半数以上がSNSを発端としています。この記事では、SNSで横行する投資詐欺の手口とその見分け方について解説します。知識を身につけて、自分の大切な資産を守りましょう。

有名人やインフルエンサーになりすます偽アカウント詐欺

SNS上で最も多い詐欺の一つが、有名人やインフルエンサーになりすますアカウントによる詐欺です。これらのアカウントは、本物そっくりのプロフィール写真を使ってフォロワーを騙します。

偽アカウントには、以下のような特徴があります。

  • 本物とよく似たユーザー名(例:本物が「@tanaka_official」なら「@tanaka.official」など)
  • 本物のアカウントから盗用した写真や投稿内容
  • フォロワー数が不自然に少ない(または購入した偽のフォロワー)
  • 投稿履歴が浅い(数週間〜数ヶ月程度)

2024年には、実業家の前澤友作氏などの著名人を名乗ったなりすましが多く見られました。以下のように、本人が注意喚起しています。

これらのアカウントは「限定投資案件」や「特別な投資グループへの招待」を持ちかけ、DMやリプライで接触してきます。有名投資家や経済評論家になりすまし「今だけの特別な投資機会」と称して金銭を要求するケースが多発しています。

「簡単・確実」を謳う投資詐欺

「投資コミュニティ」への勧誘

「絶対に儲かる」「初心者でも簡単に稼げる」といった甘い言葉で投資コミュニティやグループチャットへの参加を促す手口です。参加費として数万円を要求されることが多く、実際には何の価値もない情報しか得られません。

出典:警察庁・SOS47「SNS型投資詐欺」

この例のように勧誘を受け、秘匿性の高いチャットツールなどに誘導される可能性があります。

「AI自動売買ツール」の販売詐欺

最近特に増えているのが、AIによる自動売買ツールを謳った詐欺です。「AIが市場を分析して自動で利益を出す」という触れ込みで高額なツールを販売します。

これらのツールの特徴は、以下のようなものが挙げられます。

  • 「勝率95%以上」など非現実的な成功率を謳っている
  • 「元本保証」「損失なし」といった投資では考えられない条件を提示
  • 実際の運用実績や仕組みの詳細が不明確
  • 短期間での高額リターンを約束

XのマネーポストWEBの投稿によると、実際にAIを使った自動売買を信じて1,250万円の詐欺被害に遭った人もいます。

実際には単なる表計算ソフトや、まったく機能しないプログラムであることがほとんどです。もちろん詐欺ではないツールも存在するので、投資の知識をつけて見極めていかなければなりません。

仮想通貨・NFTを利用した詐欺

テクノロジーの進化に伴い、詐欺の手口も年々巧妙になっています。特に仮想通貨やNFTを利用した詐欺は、若者をターゲットにしていることが多いので注意しなければなりません。

たとえば「これから価値が爆上がりする新しい仮想通貨」として、まだ一般に流通していない段階での購入(プレセール)を勧める手口があります。実際には存在しない通貨や、開発者が意図的に価格操作をする「ポンプ・アンド・ダンプ(Pump and Dump)」と呼ばれる手法が使われることが多いです。

また、有名な仮想通貨取引所と思い込んでいたがサイト自体が偽物だったという事例も。

さらに、NFT(非代替性トークン)の価値が上昇するという触れ込みで、実際には価値のないデジタルアートを高額で販売する詐欺も増えており、その手口は多様化しています。

投資詐欺から身を守るためのポイント

SNS上の投資詐欺から身を守るためには、以下5つのポイントを意識しましょう。

  1. 「簡単・確実・高利回り」の三拍子が揃った投資話は疑う
    投資には必ずリスクが伴います。「確実に儲かる」という話はありません。
  2. 公式アカウントの認証マークを確認する
    有名人や企業の公式アカウントには通常、認証マーク(青いチェックマーク)が付いています。
  3. 個人情報や銀行口座情報をSNSで教えない
    正規の金融機関がSNSのDMで個人情報を求めることはありません。
  4. 投資の基礎知識を身につける
    基本的な金融リテラシーを身につけることで、非現実的な投資話を見分けられるようになります。
  5. 「友人からの紹介」でも警戒する
    最近では友人のアカウントが乗っ取られたり、友人自身が知らずに詐欺の加担者になっているケースもあります。

投資詐欺の被害に遭ってしまった場合は、すぐに消費者ホットライン(188)や警察に相談することをおすすめします。証拠となるメッセージやスクリーンショットは保存しておいたほうがよいでしょう。

まとめ

SNS上の投資詐欺は年々巧妙になっており、その手口も多様化しています。「簡単に稼げる」「確実に儲かる」といった甘い言葉には必ず裏があると考えましょう。特に若い世代の皆さんは、将来への投資として金融リテラシーを高めなければなりません。正しい投資の知識を身につけて冷静な判断ができるようになれば、詐欺から身を守るだけでなく将来的な資産形成にも役立ちます。

金融庁や消費者庁のWebサイトでは、最新の詐欺事例や対策方法が定期的に公開されています。また、学校や大学の金融教育プログラムに参加することも選択肢の1つです。SNSは便利なツールですが、そこに潜む危険にも目を向けて賢く利用していきましょう。「簡単に稼げる方法」を探すよりも、地道に知識を蓄えて長期的な視点で資産形成を考えることが、結果的には最も確実な道なのです。