3分で分かる「インド経済の強さと課題」

3分で分かる「インド経済の強さと課題」

近年、経済的に最も注目されている国といえばインドです。

長い歴史を持つこの国が、どのように成長してきて、今後どのような発展を遂げるのかを考えることは、これからの世界を知る第一歩かもしれません。

インド経済が成長した背景

インド経済が成長した背景

インド経済は1990年代から現在にかけて、驚異的な成長を遂げています。

その成長の背景には、いくつかの重要な要因がありますが、特に「IT産業の発展」と「人口増加」が大きな役割を果たしています。IT産業は、グローバルなビジネスの中心地として成長し、数多くの雇用を生み出しました。さらに、人口ボーナスにより若い世代は増え続け、大きな労働力としてインドを支えてきました。

2000年代にはインド政府は様々な経済改革を行い、特に2014年以降のモディ政権下では、デジタル化推進や製造業のキャンペーンなど、経済成長を支える政策が次々と導入されたことも大きな成長要因です。

モディ首相が推進した4つの施策

デジタル・インディア (Digital India)
インド全土でデジタルインフラを整備し、デジタルリテラシーを向上させること。

②メイク・イン・インディア (Make in India)
インドを製造業のハブにして、国内外の企業の製造拠点としての発展を目指す。

③スタートアップ・インディア (Startup India)
スタートアップ企業への税制優遇や資金調達の支援をして育成すること。

④クリーン・インディア (Swachh Bharat Abhiyan)
公共の衛生環境を改善し、清潔なインドを実現すること。

インドのスタートアップブーム

インドのスタートアップブーム

インドではここ数年、スタートアップ企業が急増しています。スタートアップとは、新しいビジネスモデルや技術を用いて短期間で急成長を目指す企業のことです。これらの企業は革新的な商品やサービスを提供し、経済に新たなエネルギーを注入しています。特に若い起業家たちが次々と斬新なアイデアを実現し、世界中から注目を集めています。

政府もスタートアップを支援するための政策を打ち出しており、その結果、ますます多くの企業が誕生しています。このスタートアップブームがインド経済の成長を支える新たなエンジンとなっていることは間違いありません。

ここ数年で、世界的な大手IT企業の幹部を務めるインド人も非常に増え、グローバルマーケットを動かす側にもインド人は欠かすことのできない存在となっています。

インフラ整備とデジタル化がもたらすインド経済の未来

インフラ整備とデジタル化がもたらすインド経済の未来

インドでは近年、道路や鉄道、電力などのインフラ整備が急速に進められています。これにより、物資の輸送や人々の移動がスムーズになり、経済活動が一層活発化しています。

また、デジタル化の進展やインターネットビジネスの発展も著しく、さらにインド国内でのスマートフォンが普及したことにより、多くの人々がオンラインショッピングやデジタルサービスを利用するようになり、これが経済に新たな活力を与えています。

これらの変化がインド経済に与える影響は大きく、技術革新とインフラの発展が結びつくことで「インド国内の物流」が活発となり、内需拡大による成長も期待されます。

中間層がお金を稼ぎ、そのお金をインド国内で使う、というサイクルが好循環することでインド経済がさらに加速すると予想されています。

インド経済が抱える課題

インド経済が抱える課題

インド経済は急成長を遂げていますが、同時にいくつかの重大な課題にも直面しています。貧困や失業、環境汚染にインフラ整備の遅れなどの問題は依然として解決されていません。

特に、貧困による所得格差の問題は深刻と言えます。

カースト制度と呼ばれる身分制度は今も存在し、カーストの階層によって教育や雇用の機会にも違いが生じます。これにより、所得格差が広がり、経済的不平等は拡大する傾向にあります。

カースト制度とは

インド社会において長い歴史を持つ階層的な社会制度。個人の社会的地位や職業を規定する仕組みで、生まれながらにして決まり、個人の努力や能力では変更できない。

カースト制度は、ヒンドゥー教の教義に基づいて生まれたこともあり、法律や仕組みの変更だけで解決できる課題ではありません。

世界的にも「人権のない身分制度」として問題視されるカースト制度は、成長を続けるインド経済の足かせとなっているのが現状です。

まとめ

インド経済は、IT産業の発展や人口増加、インフラ整備とデジタル化、スタートアップブームなど、さまざまな要因によって急速に成長しています。

成長要因も多い上に人口ボーナスの期待できるインドですが、課題が多いのも事実です。そのインドを「投資対象」として考える際には、「光と影」の両方に目を向け、「中長期の視点」で観察をすることで本質が見えてくるかもしれません。