みなさんは「ジェンダーギャップ指数」という言葉を聞いたことがありますか?これは、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している、世界各国の男女格差を測る指標です。
2024年の最新結果で、日本は146カ国中なんと118位。前年の125位から少し改善したものの、先進国の中では依然として最低レベルにとどまっています。
世界から見た日本の現状

北欧諸国との大きな差
1位のアイスランド(0.935点)を筆頭に、2位フィンランド(0.927点)、3位ノルウェー(0.919点)と、北欧諸国が上位を独占しています。一方、日本のスコアは0.663点。この数字が示すように、世界のトップ国との差は歴然としています。
北欧諸国では育児支援制度が充実しているだけでなく、政治や企業の意思決定層にも多くの女性が参画しています。たとえば、アイスランドでは国会議員の約47%が女性であり、企業の取締役会でも女性が4割以上を占めています。
なお、ジェンダーギャップ指数は0が完全不平等、1が完全平等とされているので、1に近いほど順位が高くなると覚えておきましょう。
G7諸国との比較
主要先進国(G7)のなかでの順位は、以下のとおりです。
国 | ジェンダーギャップ指数 | 順位 |
---|---|---|
ドイツ | 0.810点 | 7位 |
イギリス | 0.792点 | 14位 |
フランス | 0.781点 | 22位 |
カナダ | 0.761点 | 36位 |
アメリカ | 0.747点 | 43位 |
イタリア | 0.703点 | 87位 |
日本 | 0.663点 | 118位 |
これらの数字が示すように、日本は先進国のなかで特に大きな課題を抱えています。たとえば、ドイツでは女性のメルケル氏が16年にわたって国を率いていましたし、イギリスでも3人の女性首相が誕生していているのです。
一方、日本ではまだ女性首相が誕生していないどころか、女性の政治家自体が少ない状況が続いています。
分野別で見る日本の特徴
日本のスコアを分野別に見ると、以下のような特徴が見られます。
分野 | ジェンダーギャップ指数 | 順位 |
---|---|---|
教育分野 | 0.993点 | 72位 |
健康分野 | 0.073点 | 58位 |
経済分野 | 0.568点 | 120位 |
政治分野 | 0.118点 | 113位 |
教育と健康の分野では比較的高いスコアを獲得していますが、これは男女ともに教育機会や医療サービスへのアクセスが平等に確保されているためです。一方で、経済や政治の分野ではとても低い評価となっており、特に意思決定層における女性の少なさが目立ちます。
日本の政治・経済分野の課題

女性の政治参画における現状

国会議員に占める女性の割合を見てみましょう。2022年4月のデータでは日本の衆議院における女性議員の割合はわずか10.3%で、国際的に見ても大変低い状況です。
地方議会でも女性議員は少なく、47都道府県の知事のうち女性はわずか2名(東京都の小池百合子氏と山形県の吉村美栄子氏)にとどまっています。
この状況は、政策決定の場に女性の視点が十分に反映されていないといえるでしょう。たとえば、育児支援や働き方改革などの政策においても、当事者である女性の意見が十分に反映されにくい構造となっています。
経済分野での深刻な課題
経済分野における男女格差は、私たちの日常生活に影響を与える大きな問題です。たとえば、正社員として働く女性の平均年収は、男性の約7割程度にとどまっています。
この差は、以下のような要因が複雑に絡み合って生まれています。
- 昇進・昇格のスピードの違い
- 残業や転勤などの機会の偏り
- 育児・介護によるキャリアの中断
特に深刻なのは、出産を機に約5割の女性が仕事を辞めざるを得ない現状です。これは本人のキャリア形成だけでなく、日本経済にとっても大きな損失となっています。
若い日本人女性が考えるべきキャリアプラン

就職活動に向けた準備
これから就職活動を控える学生のみなさんには、以下の点に注目することをおすすめします。
- 企業の女性活躍推進への取り組み状況
- 育児・介護との両立支援制度の充実度
- キャリア形成支援プログラムの有無
これらは、就職後の長期的なキャリア形成に大きく影響します。特に注目したいのは、女性の管理職比率や育児休業からの復職率といった具体的な数字です。これらの指標は、その企業が本気で女性の活躍を推進しているかどうかを判断する重要な材料となるでしょう。
性別を超えたスキルの向上
また、在学中から意識して取り組むべき点としては以下の3つが挙げられます。
- 専門知識・スキルの習得
- リーダーシップ経験の蓄積
- 多様な価値観への理解
これらは性別に関係なく、社会で活躍するために必要なことです。特に、学生時代のサークル活動やアルバイト、インターンシップなどを通じて実践的なリーダーシップ経験を積むことは、今後の活躍の場を広げることになるでしょう。
まとめ
ジェンダーギャップの解消は、一朝一夕には実現できない課題です。しかし、若い世代の意識改革と社会システムの改革が同時に進むことで、必ず変化は生まれます。
特に学生のみなさんには、自分の将来を考える際に既存の枠組みにとらわれず、自分らしい生き方を選択してほしいと思います。それが結果として、日本社会全体のジェンダーギャップ解消につながっていくはずです。
一人ひとりの小さな意識改革と行動が、よりよい社会づくりの第一歩となります。私たちが目指すべきは、性別に関係なく誰もが自分の可能性を最大限に発揮できる社会なのです。