グローバル化が進む現代社会において、子どもたちの将来の夢は国や地域によって大きく異なるといえるでしょう。
経済状況や社会構造の違いから、先進国と発展途上国では子どもたちが憧れる職業に顕著な差が見られます。
本コラムでは、先進国である日本、アメリカ、中国、スペインと、発展途上国であるナイジェリア、ブラジル、ベトナムの7カ国を例に挙げ、それぞれの国で人気の高い職業ランキングを紹介しながら、その背景にある社会的要因を探ります。
先進国の子どもたちの夢

日本:伝統と革新の狭間で
日本の子どもたちが将来就きたい職業のトップ5は、以下のとおりです。
- スポーツ選手
- 医師
- 教員
- 漫画家・イラストレーター
- 研究者
日本の子どもたちの夢は、伝統的な職業と創造的な職業のバランスが取れています。
スポーツ選手が1位を占める背景には、オリンピックや国際大会での日本選手の活躍が影響していると考えられるでしょう。
また、医師や教員といった社会貢献度の高い職業も上位に入っており、日本社会の価値観が反映されているといえます。
アメリカ:エンターテインメントとテクノロジーの国
アメリカの10代の若者が将来就きたい職業のトップ5は、以下のとおりです。
- プロスポーツ選手(男子)/ 医師・看護師(女子)
- オンラインコンテンツクリエイター(男子)/ 女優(女子)
- 音楽家
- 医師・看護師(男子)/ YouTuber・ストリーマー・ブロガー(女子)
- エンジニア(男子)/ 教師(女子)
出典:statista「What Do U.S. Teens Want To Be When They Grow Up?」
アメリカの若者の夢は、エンターテインメント産業とテクノロジー分野に大きく偏っています。
特に、オンラインコンテンツクリエイターやYouTuberなどのデジタルメディア関連の職業が上位に入っているのが特徴的といえるでしょう。
これは、インターネットとソーシャルメディアが若者の生活に深く浸透している現状を反映しています。
中国:テクノロジーと伝統の融合
中国の若者が将来就きたい職業のトップ5は、以下のとおりです。
- プログラマー
- 教師
- 公務員
- 医師
- 起業家
中国の若者の夢は、テクノロジーと伝統的な職業のバランスが取れているといえるでしょう。
プログラマーが1位を占めるのは、中国のIT産業の急速な発展を反映しています。
一方で、教師や公務員といった安定した職業も人気があり、社会の安定性を重視する傾向も見られます。
スペイン:多様性と創造性を重視
スペインの子どもたちが将来就きたい職業のトップ5は、以下のとおりです。
- 教師
- 医師
- 警察官
- 獣医
- エンジニア
スペインの子どもたちの夢は、社会貢献度の高い職業が上位を占めています。
教師や医師が上位にランクインしているのは、教育と医療が社会の基盤として重視されていることを示しているといえるでしょう。
また、獣医やエンジニアなど専門性の高い職業も人気があり、多様な分野での活躍を目指す傾向が見られます。
発展途上国の子どもたちの夢

ナイジェリア:ビジネスと技術の融合
ナイジェリアで最も需要の高い職業のトップ5は、以下のとおりです。
- ビジネス&マネジメント
- ファイナンス
- セールス
- 情報技術(IT)
- 管理、オフィス&サポート
ナイジェリアでは、ビジネスと技術関連の職業が上位を占めています。
これは、急速な経済成長と技術革新が進む同国の現状を反映しているといえるでしょう。
特に、ビジネス&マネジメントやファイナンス分野の専門家が高い需要を誇っており、経済発展を支える人材が求められていることがわかります。
ブラジル:テクノロジーとヘルスケアの台頭
ブラジルで最も需要の高い職業のトップ5は、以下のとおりです。
- ソフトウェア開発者
- データサイエンティスト
- サイバーセキュリティ専門家
- クラウドコンピューティング専門家
- ヘルスケア専門家
ブラジルでは、テクノロジー関連の職業が上位を独占しています。
特に、ソフトウェア開発やデータサイエンスの分野で高い需要があり、デジタル化が急速に進む同国の現状を反映しているといえるでしょう。
また、ヘルスケア専門家も上位にランクインしており、医療分野の重要性も高まっていることがわかります。
ベトナム:未来志向の職業選択
ベトナムで最も有望とされる職業のトップ5は、以下のとおりです。
- データアナリスト
- 人工知能(AI)エンジニア
- デジタルマーケティング専門家
- ブロックチェーン開発者
- サイバーセキュリティ専門家
ベトナムでは、最先端のテクノロジー関連職業が上位を占めていることがわかります。
データアナリストやAIエンジニアが高い需要を誇っており、デジタル化とテクノロジー革新に力を入れる同国の方針が反映されています。
また、サイバーセキュリティ専門家の需要も高く、デジタル社会の安全性確保に対する意識の高さがうかがえるといえるでしょう。
先進国と発展途上国の夢の違い

先進国と発展途上国の子どもたちの夢には、顕著な違いが見られます。
先進国では伝統的職業から創造的職業まで幅広く人気がある一方、発展途上国では経済成長に直結する職業に人気が集中しているといえるでしょう。
テクノロジーの位置づけも異なり、発展途上国ではIT関連職が圧倒的に人気です。また、先進国では社会貢献度の高い職業が重視される傾向にありますが、発展途上国では経済的安定性と成長性を兼ね備えた職業が好まれます。
しかし、グローバル化の影響により、デジタルメディアやIT関連の職業は両者で人気を集めています。これらの違いは、各国の経済状況、社会的ニーズ、文化的背景が複雑に絡み合った結果といえるでしょう。
まとめ
先進国と発展途上国の子どもたちの将来の夢には、それぞれの国の経済状況や社会的価値観が色濃く反映されています。
先進国では伝統と創造のバランスが取れた職業選択が見られる一方、発展途上国ではテクノロジーや経済成長に直結する職業への憧れが強い傾向にあります。しかし、共通して見られるのは、テクノロジーの進化に伴う新しい職業への関心の高まりです。
今後グローバル化がさらに進む中で、これらの職業の需要はますます高まると予想されます。子どもたちの夢を支援し、将来の社会ニーズに応える人材を育成するためには、教育システムの柔軟な対応と産業界との連携が不可欠となるでしょう。