「休む力」を身につけよう!世界の休暇事情と日本の課題

「休む力」を身につけよう!世界の休暇事情と日本の課題

実は「働きすぎ」なアメリカ人の実情

実は「働きすぎ」なアメリカ人の実情

アメリカ人は上手にバカンスを楽しむイメージがあるかもしれませんが、実はアメリカでは「働きすぎ」が大きな問題となっています。

アメリカには、有給休暇の最低基準を規定する法律がなく、休暇の取得状況は企業のポリシー次第です。アメリカで働く従業員に与えられている年間の有給休暇は10日程度が平均で、これは国際的な基準と比べて非常に少ない数字です。

さらに、アメリカの労働者の多くは与えられた休暇を全て取得しておらず、約55%の休暇が未使用のまま残っているという現状があります。<参照:clockify

この背景には、職場の文化や個々のプレッシャーが大きく関係しています。

例えば、「休暇を取ると仕事が溜まるのが心配」「同僚に迷惑をかけたくない」と感じる人が多く、日本と同じように、このことが休暇取得率の低さに繋がっています。

この結果、従業員の健康や仕事のパフォーマンスに悪影響が出ることが懸念されています。アメリカの社会全体で、休暇を取りやすい環境の整備が求められています。

ヨーロッパ人は休暇の達人

ヨーロッパ人は休暇の達人

ヨーロッパでは、有給休暇が法律で保障されており、その日数も多くの国で20日以上となっています。

世界の有給休暇の平均日数(年間)

 参照:VISUAL CAPITALIST <画像をクリックで拡大>

例えば、フランスでは年間30日、スウェーデンは35日、フィンランドでも31日以上の休暇が付与されています。ヨーロッパの労働者は、休暇をしっかりと取得し、家族や友人との時間を大切にすることが一般的です。これにより、心身の健康を保ち、仕事の効率や創造性を高める効果もあります​。

ヨーロッパでは、有給休暇の消化率も非常に高く、多くの国では90%以上です。

フランスの消化率は98%、ドイツでは約95%といった具合に、ほぼ全ての有給休暇が取得されています。このような高い消化率は、労働者のリフレッシュと長期的な生産性向上に寄与しています​。

北欧を中心としたヨーロッパで一人当たりの労働生産性が高い理由は、メリハリの効いた労働と休暇のバランスにあるのかもしれません。

有給休暇があっても取れない日本人

有給休暇があっても取れない日本人

日本でも有給休暇の日数は平均して26日ありますが、実際に取得されているのは10.9日で、消化率は62.1%にとどまっています。

政府は2025年までに消化率70%の達成を目指していますが、まだ道のりは遠い状況です。

調査によると、約4割の労働者が「休むと周囲に迷惑がかかる」と感じており、「職場の雰囲気が休暇を取りづらい」「上司が休暇を快く思わない」といった理由が休暇取得を阻んでいます。

日本も、ヨーロッパのように休暇を積極的に取得する文化を取り入れ、働く人々がリフレッシュできる環境を整えることが必要な時代となってきました。企業や社会全体で「休むことは悪いことではない」という意識が広まり、実際に休暇を取りやすい職場環境が整備されることが求められています。

休暇は単なる休みではなく、自分自身を大切にし、次のステップへの活力を得るための大切な時間です。これからの社会で、休むことが自然で当たり前になるように、私たち一人ひとりがその意識を持ち続けることが重要になりそうです。