新興国の経済が拡大中! 日本が失った「人口ボーナス」の魅力とは

日本が失った人口ボーナスとは

日本の高度成長期は、人口の増加に支えられていました。ただ現在は出生率も低下し、人口は減少傾向にあります。

この記事では、人口構成が経済にどう影響するのか、また日本とは違い人口増加中のアフリカの成長のカギも含めてわかりやすく解説します。

人口が増え続ける新興国のGDPは20年で約2倍に

人口が増え続ける新興国のGDPは20年で約2倍に

新興国の人口増加は著しく、現在では世界人口の約90%を占めており、今後は特にアフリカ地域で生産年齢人口が増加する見込みです。

これにより、経済成長が期待され、先進国との経済格差が縮小する可能性があると言われ続けています。

しかし、人口が多い国が必ずしも経済的に強いとは限りません。例えば、インドネシアやパキスタンは人口が多いものの、経済成長は他の国に比べて緩やかです。インドネシアは約2.7億人、パキスタンは約2.3億人の人口を抱えていますが、インフラや教育・経済政策の遅れなどが経済成長の足かせとなっています。

新興国全体で見ると、これらの国々は世界のGDPの約40%を占めており、過去20年間でそのシェアは2倍に増えました。

ただ、今後もその割合はさらに増加すると予想されていますが、経済規模は人口規模だけでは決まらず、1人当たりの生産性や所得の高さが重要になってきます。

一部の新興国はここに課題を抱えており、先進国に比べ1人当たりのGDPが低いことで経済成長が伸び悩んでいます。人口増加の価値は高いものの、人口の多さが直接的に経済の豊かさにつながるわけではない、ということです。

「労働人口の増加」は「活発な消費者の増加」となる

「労働人口の増加」は「活発な消費者の増加」となる

また経済の成長は、単に人口増加や1人当たりのGDPだけでなく、年齢構成も大きく影響します。

特に労働力人口が多いと経済活動が活発化し、消費者も増えるため、経済規模の拡大が期待できます。これを「人口ボーナス」と呼びます。若い世代が増えることで労働市場が活性化し、消費も増加するため、内需拡大につながるのです。

例えば、ナイジェリアは人口2億人を超える大国で、若年層の割合が非常に高いため、今後の消費市場としても注目されています。

反対に、日本のように高齢化が進むと「人口オーナス」となり、経済成長が抑制されます。

日本は世界で最も高齢化が進んでおり、生産年齢人口の割合が減少しています。その結果、経済成長が鈍化し、社会保障費の増加や労働力不足などの課題が生じています。

人口ボーナスを活かしている国々と異なり、人口オーナスの影響を受けている日本では、経済の持続的成長が難しい状と言われています。労働力人口の減少は生産性の低下や消費の減少につながり、GDPの押し下げ要因となるため、日本が抱えるもっとも大きな課題の一つとなっています。

人口ボーナスで2030年に向け「アフリカの時代」が到来か

人口ボーナスで2030年に向け「アフリカの時代」が到来か

新興国の経済規模は過去20年間で大幅に拡大し、先進国との経済格差は縮小しています。

特にアフリカでは、2030年に向けて人口ボーナス期が続くと予測されており、今後の成長が期待される国々がいくつかあります。

例えば、ナイジェリアは2億人以上の人口を持ち、GDPも2023年には5000億ドルを超え、年平均成長率も4%と高いです。エジプトも人口1億人を超え、GDPは4000億ドル、成長率は5%と好調です。エチオピアも1億人近い人口を抱え、近年では年平均9%の経済成長を遂げています。コンゴ民主共和国は9200万人の人口と豊富な資源を持ち、年平均成長率は6%に達しています。ケニアも人口5400万人を超え、成長率は5%前後と安定しています。

これらの国々は、人口ボーナスの恩恵を受けると同時に、安定した政治環境や教育の充実、労働市場の活性化が経済成長に寄与しています。しかし、全ての新興国が同様に成功しているわけではありません。人口ボーナス期の国でも、経済成長率にはばらつきがあり、1〜9%と様々です。

アフリカの国々が人口の利点を最大限に活かすためには、社会の安定、適切な経済政策、教育とインフラの充実などが不可欠です。これらの要素が整えば、アフリカの国々は今後も強い経済成長を遂げ、世界経済における地位を高めるでしょう。

まとめ

新興国は今後も人口ボーナスを活かして経済成長が期待されますが、人口が増えるだけでは不十分です。

成長を続けるためには、教育の向上やインフラの整備、労働市場の改善が重要です。特にアフリカでは、これらの基盤をしっかり整えることで成長のチャンスを最大限に活かせます。

新興国が持続的に成長するには、政治の安定や適切な経済政策も必要です。人口を上手に活かし、未来の経済パワーになるための準備が求められます。